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プロローグ「白の少女」





遥か昔。


この世界が、無限に広がる空だけだった頃の話。


一振りの剣が生まれた。


生まれた、という表現は正しくないかも

しれないが、そこにあったのだ。





その剣は、意思を持っていたそうだ。


剣は自らの刀身を砕き、大地と海を創った。


次に、自らの意思を捨て、

そこから人に連なる種族を創ったという。





人は、その剣を『創世の剣』と呼んだ。


全盛期の力を失ってなお、

その剣は人々から讃えられたという。




しかし、人の種族は愚かにも、

その剣を模倣しようとした。


欠片によって創られた大地から

見つけた鉱石から、『意思持つ剣』を造った。


『意思持つ剣』は使い手を選び、

そして最も信頼した者にのみ、『顕現』した。

顕現した姿は人に近いものであったり、

獣だったりしたという。


剣を造った者たちは覇権を争って戦い、

そして、幾度も戦争が起きた。



それを見た『創世の剣』は怒り、

人の種族や剣の負の意思を変換し、

『剣の悪魔』を創った。



剣の悪魔は『意思持つ剣』を圧倒するほどの

力を誇り、全生命を刈り取るために

人やそれに連なる種族に憑依し、活動を始めた。





人の種族たちは考えを改め、

協力し合うことを誓う。


そして、

人間、エルフ、獣人、巨人、竜人が

持っていた5本の『意思持つ剣』によって、

『剣の悪魔』を憑依していた人間ごと、

それぞれの『聖域』と呼ばれる場所に封印した。





だが、人の種族の負の感情を吸収していた

『剣の悪魔』が封印され、負の感情エネルギーは

行き場を失い、それが収束して『魔物』と

呼ばれる怪物たちが生まれた。






幸い、『魔物』の力は『意思持つ剣』で

倒せる程度のものが多かった。


そのため、数億年が経過した現在でも

『魔物』は生まれているが、

人の種族たちは平和な生活を送れている。










~とある森の中~




「せ、ッ!」


魔物の首を剣で斬り飛ばし、絶命させる。

魔物は霧散し、紫に淡く光る宝石がその場に出現、

オレはそれを拾い上げ、見定める。


「800ガル、ってとこかな。

 今日の稼ぎはここまでにしよう」


木漏れ日の光が赤くなっている。

剣を背中の鞘に戻し、魔石を腰の袋に入れる。

そして森の外へ歩き出そうとした時だった。


「……………」


「!」


背後に気配を感じ、振り向く。


────人間?


そこにいたのは、純白の腰まである長髪、

布を纏っただけのような服装の少女だった。

靴も履いておらず、裸足だ。

だが、どこか人間離れた神秘的なものを感じる。


「あっ、おい!」


少女は森の奥へふわり、と軽やかに走り出す。

追わないと。

あんな武器も持っていないような彼女じゃ

すぐに魔物に襲われて終わりだ。


「待てって!」


「…………」


こちらを追ってくるのを確認したのか、

少女は一度振り返り、こちらを見て

微笑んでから再び軽やかに走り出す。

これがまた以外と速いのだ。


「はっや………!

 どんな体力してんだよ!?」


「…………」


「だぁーっ、待てって!!」









そして木漏れ日が月明かりになる頃。


「ぜぇーっ、ぜぇーっ、キッツ………

 やべぇ、どこだここ………」


オレが走り着いた場所は、

森に囲まれた神殿のような所だった。

こんな場所があったのか………

少女は、その入口に立って微笑んでいる。

そして………やっと口を開いた。


「おつかれさま………」


「……………喋れたのかよ……」


「……ふふっ……ついてきて……」


やっと歩いて神殿(?)の奥へ行く少女に

オレも言われるがまま付いていく。

神殿に入ると、唐突に壁の燭台に火が灯る。

明かりの魔法の一種だろうか。

中は、巨大な祭壇のようになっていた。

2、3メートルはあるだろうか。上が見えない。


「でっか………すげぇな」


「こっち……」


誘われるまま祭壇を上がると、

そこには1本の純白の剣が突き刺さっていた。

装飾こそ全くと言っていいほど無いものの、

引き込まれるような刀身の美しい剣だった。


「抜いて。きっと、貴方なら……」


「い、いいのか?」


「うん」


剣に近づき、そしてその柄を手に取る。

…………予想以上に軽いな。

そのまま、ゆっくりと剣を引き抜いた。










─────その、瞬間だった。



「試練が始まる…………頑張って」


「なんだ、何が起きたんだ!?」


足元に巨大な魔法陣が広がる。

そして、剣が刺さっていた場所から

凄まじい光の柱が発生する。

その光の柱によって天井に風穴が空いたかと

思うと、空から《《黒い何か》》が降ってくる。


天井が崩れ落ち、そしてその黒い何かは、

大きくその3対6枚の翼を広げた。


「……来る、構えて!!」


巨大な黒い竜が、

こちらをその深紅の双眸で見据える。


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