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第22話「お仕事終わり」


「ノノ、今日はありがとね。いろいろと助かったわ」


「ノノさん、今日はありがとう、また機会があればって、明後日には居ないんだった」


 ちょっとボンヤリしていると、エミリーさんとカリンさんが話しかけてきた。


「お役に立ったなら良かったです。明後日からはよろしくお願いしますね」


 そう、明後日からは馬車での旅なので、エミリーさんとはまだ暫く縁がある。


「こっちこそ。それじゃあ、街まで送って行くね」


「エミリー、これも持って行って。今日のポーション代とかのことが書いてあるから、途中で詰め所に寄ってね」


 カリンさんがエミリーさんにサインの入った紙を一枚渡している。


「じゃあ、行こうか」


「それでは、カリンさん」


 私はカリンさんにお辞儀をして、エミリーさんと詰め所に向かって歩きはじめした。


「ノノ、明日はどうするの?」


 エミリーさんが聞いてきた。


「特に予定はないですよ。ゆっくり過ごして明後日からの旅に備えようとは思ってますが」


 そう、明日は街をぶらぶらしてみようかとは思っているが、予定はない。


「そうなんだ、それじゃ明日のお昼を一緒に食べない?」


 お昼のお誘いか。さてどうしようか。


「おいしいお店があるのよ。どう?」


 おいしいお店か、ふむぅ。


「いいですよ、何処で待ち合わせますか?」


 ここは一つ、おいしいご飯に釣られてみよう。長旅で同行するのだから食べ物の趣向を知っておくのも悪くはないでしょうし。


「中央広場って分かる?」


「人が多くて露天が結構ある辺りですか?」


 噴水とかもあって、結構広く、露店も並んでるとことがあったのは知っているので、そこかと聞いてみる。


「そう、そこよ。そこの噴水前が割と待ち合わせに使われてるの。そこでどう?」


 やはりそうらしい。まあ、わかりやすい場所で良ければ良いか。


「良いですよ、お昼前ぐらいで良いですか?」


 お昼の予定が入った。まあ、何かすることもないしね。

 

「んじゃ、カリンと行くからよろしくね」


 気のせいか、エミリーさんがちょっと悪い顔をしているように見えたので、気にはなったけど、詰め所に着いてしまったので、確認は出来なかった。


「ノエル、居る?」


 エミリーさんが詰め所に入りながら声をかけた。

 私はエミリーさんと一緒に詰め所に入った。

 詰め所には机がいくつかと、奥に扉があり、ちょっと休憩が出来るエリアも整備されていた。机には事務作業をしている人がおり、あと、休憩中の人も何人かいる。


「あれ、エミリーさん、詰め所に何か用か?」


 奥の机事務作業をしていた女性がエミリーさんの呼びかけに席を立ち上がって、こっちにやって来た。


「これ、精算して欲しいんだけど、お願い出来る?」


 エミリーさんはそう言って、カリンさんから渡された紙をノエルさんに渡している。


「はいはい、カリンさんからかね。どれどれ……」


 ノエルと呼ばれたその女性は手渡された紙を見て奥の部屋に入って行った。暫くして、巾着袋を持って戻ってきた。


「初級・中級ポーションと初級ポーションの作成指導代金として、はい、1,200ギルだから銀貨120枚っと。エミリーさん、ちょっと確認して貰える?」


 そう言って、詰め所の開いてる机に銀貨を並べだした。

 中級ポーションが結構な金額になるんだろうとは思ってたけど、全部で1,200ギルか。適正価格かどうかは分からないねー。まあ、ぼったりはしないだろうからちょっと高めなのかも知れない。


「エミリーさん、ちょっと高めな気がするけど、その辺は大丈夫なの?」


 やはりちょっと高めらしい。苦労はほとんどしてないのでなんとも言えない。


「中級ポーションが大樽に一樽あるのよ。しかも不純物がなくて高品質なんだって」


 ああ、中級ポーションでもいろいろあるんだったわ。不純物が入ってると効果がイマイチになるんだよね。それでも初級ポーションの倍近くは効力があるんだけど、不純物がなけれないほど効果は高くなる。勿論、値段も変わってくる。

 私が作るのはどうやっても高品質にしかならない。作り慣れているのと精霊に好かれるほどの性質の良い魔力が原因だって、母様に聞いたことがある。


「それは助かるね。えっと、その子に頼んだの?」


 ノエルさんと目が合ったと思ったけど、目線が耳に向いている?


「ああ、その耳はハーフエルフってとこかな、なら魔導師?」


 何故か一発で見抜かれた。


「さすがノエルね、そこに目が行くか」


 エミリーさんは納得しているように言ってるけど、初見で耳を見てくる人ってそうは居ないし、気付いても全くエルフ耳とは違うので、ハーフエルフであることに気付く人もほぼ居ない。


「うちには結構いろんな人が来るからね。その耳だと人族と言っても通じるかもだけど、中級ポーションを一樽作って、倒れることもなく、普通に歩いているということを考えれば魔力が豊富なエルフ族か、それに近い者となるでしょう。エルフ族なら耳がピーンとなってるけどそうじゃ無いから、ハーフエルフで魔導師が順当でしょう?」


 ノエルさんは事もなげに言い切った。あながち間違ってないだけになんとも言えません。


「はい、ノノ、間違いなく銀貨で120枚あったわ。あなたも確認する?」


 そう言って、エミリーさんが机の上の銀貨を私にも確認するかと聞いてきた。


「いえ、大丈夫です」


「そう、じゃあ、これを」


 ノエルさんが机の上の銀貨をトレイに移して、私の方に持ってきてくれたので、受け取って、自分の巾着袋に移した。小銭がざっくざっくである。


「ノエル、手間かけたね、ありがとう」


 エミリーさんは、そう言って私と詰め所から出て行こうとした。


「はいはい、またね」


 ノエルさんからは引き留めもなく、詰め所をあとにした。絶対何か聞かれると思ったんだけど、なかったので肩透かしみたいな感じ。


「ノエルはね、個人的なこととかにはあまり首を突っ込んでこないのよ。知らなければ巻き込まれることも無いでしょって言ってね」


 なるほど、確かにそうだね。


「それでも、相談すれば親身なってもの凄く気を遣ってくれんだよ」


 エミリーさんとそんな話をしながら歩いていると、兵舎の出入り口に着いた。


「ノノ、今日はありがとう。明日もよろしくね」


「こちらこそ、お役に立てたなら良かったです。お金も増えましたし」


 そう言って、私はエミリーさんと別れて、街の宿屋に向かった。

 

今回の更新はここまでになります。

なんか変な仕事が回ってきたのです……。

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