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アートバンビーノ  作者: 凩夏明野
第二章-狩-
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殲滅主義

「おはよう。さて朝だね。」


「……朝だから何なんだよ。つーかまだ朝じゃねえよ!お前は俺達に恨みでもあるのか!」


現在時刻午前3時。

午前だが、朝じゃない。


「深夜だ!し・ん・や!朝ではない断じてだ!」


「はて。午前だから朝で良いんじゃないかな。ほらアリスやクレアだってばっちり起きてる。」


「起きてまふ……ぐう。」


「僕も起き……ZZZ。」


「おいこらマラッティーア。」


「さ、朝の挨拶を済ませた所で作戦について話そう。」


この野郎……。

早起きとかそういうレベルじゃねえぞくそ。


「って雨がいねえじゃねえか。」


「概要はこうだ。」


無視しやがった。

やっぱり雨を起こすのはマラッティーアでも怖かった様だ。

奴の寝起きの悪さは尋常じゃないからな。


「ジェニトーレの支部が此処から20km程南に行った所にある。それをぶっ壊すのが今回アフリカに来た理由なんだ。という訳で、今から潰しに行くよ。」


「潰しに行くのはいいんだが、こんな朝早く行く必要あんのかよ。普通夜行くもんじゃねえのか。」


「今だってよ……じゃない。ほら、敵はお寝坊さんかもしれないし、朝行った方がいいかなって。」


夜って言いかけただろこいつ。

やっぱり恨みがあるんだ。

まあそれは置いといて。


「ジェニトーレって支部まであんのか。思ってたよりでけえ組織なんだな。」


「僕もそれには驚いたよ。書類によればジェニトーレは半年程前に出来たばかりの組織で、指導者は不明。だがその求心力は異常な物で、現在確認されているアート使いはおよそ100人。支持者は数えきれないらしい。」


「100ってかなりだな。バンビーノと同じ規模じゃねえか。」


それは暗にそれだけバンビーノに大して不満を持っている人間がいるという事だ。

ま、仕事とは言え人を殺すんだ。

殺された人間の家族やら友達やらからは恨まれて当然だろう。


「このアフリカ支部にいるアート使いは、昨日アリスが殺したなんとかって人以外に15人程いる。また、雑務をこなす者達が50名程。それら全てを皆殺しにする。」


「……一般人まで殺るのか。」


「当然だよ。恨みを買いたくなかったら全人類を殺さなきゃならない。それと同じさ。」


「……。」


一理ある。

あるが、無抵抗の人間を……いや。

俺だってもう無抵抗の人間を殺しているのか。

何だかなあ。


「何でもいいが早く行った方がいい……と思う。せっかく早起きをしたのだから。」


「うんそうだね。爽君。君にはまず雨君を起こすという重要な任務を果たしてもらいたい。」


「あーはいはい分かったよ。」


俺もあいつを起こすの結構怖いんだが。

ま、雨を起こす所は華麗に省略。

俺の顔に引っかき傷や青痣が出来た事についても省略。

ついでに支部までの道程も省略。


「という訳で、現在時刻午前4時30分。ジェニトーレアフリカ支部前に到着だね。」


「……まさか敵さんもこんな朝っぱらから襲われるとは思ってねえだろうな。」


「そうだねー。あの建物中から感じる意識はざっと見積もっても20人くらい。その内起きているのは、今門の前で警備をしている2人。アート使いではないよ。中で起きているのは一階に3人。アート使いが1人。地下に5人。アート使いは2人。後は二階で寝てるー。寝てる人の内2人がアート使いだよ。」


「アート使いは全部で6人か。以外と多いね。」


門から約20mほど離れた岩陰から、雨が建物の中の人数及びアート使いの数を把握する。

何とも便利な力だ。

敵もまさか把握されるとは思うまい。


「ではまず門番を殺すとしよう。悪いけどクレア、頼むよ。君が一番静かに殺れるだろう。」


「まーそうだね。じゃあ行ってくる。」


言うが早いか、クレアツィオーネは砂と同化して消えた。


「さて、クレアが門番を殺すまでに役割を決めておこう。雨君は此処で待機。常時無線を使って中の様子を皆に知らせてくれ。」


「あいあいさー。」


びしっと敬礼して雨が了解。


「切り込み隊長は爽君にやってもらう。殺り方、元いやり方は任せる。」


「分かった。」


切り込み隊長を引き受ける俺。


「アリスはクレアと一緒に地下を頼む。」


「分かったわ。」


ペットボトルの中の水をストローで吸うアリスレット。


「サエッタは僕と一緒に二階を掃除。いいね?」


「分かった……と思う。」


詰まりながらも頷くサエッタ。


[……リーダー。門番2人終わったよ。]


「分かった。では行こう。」


無線から聞こえてきたクレアツィオーネの言葉で全員が立ち上がる。

さてと、海外のお尋ね者になるべくさっさと片付けよう。

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