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【夢現】
「ん……」
温かな腕に抱かれながら目が覚めた。
確かめなくてもわかる。
松太朗が、自分を抱き枕よろしく抱いている。そして、知らずの内に、足までしっかりと織りの体に巻き付けていた。
織りが少し体をずらすと、それに合わせて、松太朗も織りのからだを追い、腕を絡ませる。
離すつもりはないらし。
(少し…暑いし、重いわね…)
目を閉じて、織は思う。
特に足は無意識の松太朗の体重が乗せてあるので、下になっている織りの左足は痺れそうだ。
織りが体をずらしたので、松太朗も夢の淵に立っているのであろう。
現へと気持ちが向かおうとしている。
そんな松太朗が、言葉にならない言葉を紡ぎながら、織りの頭をポンポンと撫でる。
まるで、小さい子供を寝かしつけるかのようなその仕草が、いたく心地よい。
(寝ておられるのだから…起こしてはいけないわね)
織はそう思いながら、ふぁぁっと、ちいさく欠伸をする。そして、そっと松太朗に、己の手を遠慮がちに回した。
「お休みなさいませ…」




