第302話 鬼械の正体
ノートパソコンの変換キーだけパンタグラフが終わったかもしれない。真面目に使い勝手が悪いです。
「よっと」
霧の狭間を出たグリム達。
真横には危険なダンジョン、エシュラガル密林がある。
全身に疲労が溜まっているので、今襲われたら勝てる見込みが見えない。
「なんとか無事に出られたね」
「はい! 皆さん、お疲れさまでした」
「お疲れー。あれ、屈折が無くなってる?」
フェスタは振り返ってみた。
光の屈折が完全に消えている。
霧の狭間の出入り口が塞がれているのだ。
「どうやら一回しか入れないみたいね」
「そうだね。でも、充分かな。成果はあったよ」
霧の狭間は一度きりのダンジョンだった。
それならば、もう少し探索してもよかったかもしれない。
もちろん、これ以上探索を続けていれば、命は無かっただろう。
とは言え、グリムにとっては大きな成果だった。
イベントに参加は出来ないが、実際に登場するモンスターを相手に出来た。
結局勝てなかったものの、楽しむことが出来たのは確かだ。
「まさか実像が敵だったなんて」
「ぅん~? それは違うよぉ」
グリムはレーン・クドジャルの正体が、実像だと仮定していた。
そこに口を挟まれると、ニャーぷるが否定する。
欠伸をしつつ、口元に手を当てると、目元も擦って隈がより深くなる。
「違うってどういうことですか?」
「そうだよ、ニャーぷるさん。教えて欲しいな」
「ニャーぷるでいいよぉ。ふはぁ~、アレは実像……と虚像のちょうど中間かなぁ~」
「実像と虚像の中間?」
ニャーぷるの見解は、グリムとは全く違っていた。
実像と虚像の中間に位置する存在。それが鬼械だと言う。
何を根拠にしているのか、グリムは眉根を寄せた。
「どういうことかな、ニャーぷる」
「実像だったら、実体はないでしょ~?」
「確かにそうだけど、それは虚像も同じ筈だけど?」
「だから中間なんだよぉ。実像でもあり虚像でもある。けれど実態を持った不思議な化物、それが鬼械。サイレントダークに登場するエネミーだよぉ」
ニャーぷるが持ち出したのは、サイレントダークの知識だった。
残念ながらグリムは遊んだことがないので、ゲーム性はよく分からない。
実際にプレイしたことのあるニャーぷるの見解だと、鬼械と言い、実像であり虚像。その中間に位置しておきながら、特殊な動力源を持っているせいか、こちらからは触れることが出来ない代わりに、向こうからは普通に触れることが出来る。面倒な性質を持った邪魔エネミーらしい。
「まさかここまで再現されているとはねぇ。VRで作るのはぁ、相当大変だと思うよぉ」
「手が込んでいるってことですか?」
「そうだねぇ。いやぁ、本当にそっくりだったよぉ。ふはぁ~」
運営陣が相当頑張った痕跡が目に見える。
サイレントダークは本来、テレビゲームだ。
VRで表現するには労力が掛かってしまうので、ここまで正確に造形しているのは、愛があるからこそ出来る技だった。
「ってことは、完全にコラボなのね?」
「そうだねぇ。ネットだと、勝手に盛り上がってるよぉ」
ネット上に広がる掲示板では噂になっているらしい。
また勝手に盛り上がっているみたいだが、残念なことにグリムは知らない。
キョトンとした顔をすると、話をグッと元に戻す。
「ニャーぷる、実像であり虚像の中間ってどういうこと?」
「そのままだよぉ。鬼械の設定は、働く車なんだぁ。それが特殊な結晶状の動力源を搭載することで、光が屈折し合って生み出した実像。これが大きく見えている原因なんだけど、虚像の性質も持っているんだぁ」
「虚像の性質ですか?」
「そうだよぉ。簡潔に言ったらねぇ、実際にそこには無いってことかなぁ? だから実像と虚像の中間。どう? 面白いでしょぉ」
ニャーぷるのテンションは相も変わらない。
常にローな状態でスイッチが入ると、ゲームの知識を披露した。
如何やら鬼械の正体も概ね合っているらしい。
グリムが実像だと思ったのは、あまりの巨体が故だ。
けれどそれは実像の持つ性質だったものの、こちらからの攻撃は一切通用しない。
それこそが虚像。そこにあるかのように見えているだけだった。
もちろん、倒すことも可能だ。
現にニャーぷるはやってみせた。
理由は動力源になっている結晶体を破壊したため。
動力を失えば最後、存在を維持できなくなり、勝手に消滅してしまう。
儚くてか弱い存在だったと知ると、あれだけの巨体も破壊力も、全てが防衛行動だと想像する。
「確かに、面白いかも」
「グリムさん!?」
Dは驚いているが、グリムは感心していた、
運営の本気度もそうだが、何よりもニャーぷるが楽し気な所が可愛らしい。
本当に好きな物の話をしていて、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「もしかしてニャーぷる、ゲーム好き?」
「好きぃ、大好きぃ!」
ニャーぷるは背筋を伸ばした。
耳と尻尾が生えていたら、きっとピーンと伸びている筈だ。
可愛らしい。Dとはまた別の角度から可愛くて面白かった。
グリムは愛でるような目で見ると、フッと笑ってしまう。
「そうなんだ。それじゃあ、他にも気が付いたことってある?」
「うぅ~ん、あるよぉ」
グリム達では気が付けない部分が多かった。
ゲームが好きなニャーぷるだからこそ、引っ掛かる部分があるらしい。
一体どんな所なのか興味はあったが、まず先に……
「グリム、そろそろ帰らない? シャワー浴びたいわ」
「そうだね。とりあえず街に戻ろうか」
「賛成ー」
グリム達は疲れていた。
だからまずはフォンスまで戻ることにする。
ダンジョンを完全に後にしたグリム達は、転移装置に乗り、街へと帰還した。
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