表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/148

変わった事 変わらない事


 基地の玄関ホールの広場。


 そこに着いたコハクは、行きかう兵士達の奥にあるベンチに、フローラの姿を見つけた。 



「おはよう、フローラさん」


「あっ・・・コハクさんも、おはようございます」


「センリさん達は、何時頃に到着する予定?」


 そう尋ねながら、コハクはフローラの隣へ座った。



「もう直ぐ着くと思いますよ。馬車は予定よりも早く進んでいるそうです」


「そうか、それは良い事だな」


 反乱が終わった後、コハクとフローラは軍に反抗した裏切り者の容疑で身柄を拘束され、

そしてそのまま、南の街に強制移住となった。


 南の街に移住してから、兵士の少年に危害を加えたのは、あくまでもコハクだけだという事で、フローラはすぐに自由の身となったが。


 コハクは、任務に出る時以外は外に出る事は許されていない。


 フローラとの話で、センリとアルスフォードがコハクの事を心配しているとは聞いていたが、

どんな顔で二人と会えばい良いだろうかと、コハクは少し緊張を感じていた。



「センリさんとアルスフォード、二人とも元気かな」


「はい。きっと元気ですよ。ほら先週、新聞にセンリさんとアルスフォードさんの記事が載ってましたよ」


「あぁ、僕も見た。2人とも、活躍してるみたいだな」


「そうですね。2人とも、すっかりいつもの調子で良かったです」



 そうしてしばらく、コハクとフローラの二人が話をしていると。


 4足歩行の使い魔に引かれた馬車が、専用の出入り口から基地の中に入ってくる。 


 やがて馬車の扉が開くと、中からは10人程が降りてきた。


 その中に、センリとアルスフォードの姿が見える。



「あっ、見えました!」


 コハクとフローラはベンチから立ち上がり、二人へ向かい手を振った。

 

 気のせいか、センリとアルスフォードの二人は、前よりも貫禄がある様に見える。



「・・・よう、久しぶり」


「お久しぶりです。センリさん、アルスフォードさん」


 そして4人は、半年振りに挨拶を交し合った。




 フローラは、まるで何年間も会えなかった恋人と再会したかの様に、泣きそうな笑顔を浮かべていた。


「全く。なんて顔をしてるんだ、フローラよ」


 笑顔で話すアルスフォードだが、その表情は、以前と比べるとかなり大人びて見える。


「ごめんなさい、ずっとデバイスでしか話が出来なかったので、嬉しくてですね・・・」


「あぁ、我も嬉しいぞ」


 アルスフォードが、フローラの頭を優しく撫でた。 



「アルスフォードは、なんだか大人っぽくなったな」 

  

 コハクがそう言うと、アルスフォードは「なぁに、そんな事はないさ」と返す。


 その返事を聞いて、やっぱり雰囲気が変わったなと感じるコハクであったが。



 彼女のお腹から、ぐう、と音が鳴り、空腹を知らせる。


「ところでだな、我はお腹が空いて死にそうなんだが」


 アルスフォードはきりっとした表情でお腹を擦った。


 

「・・・食堂に、行こうか」


 やはり、変わったと感じたのは、気のせいだったかも知れないと思うコハクであった。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ