再会 02
「それで本題だけど。兵士である貴方が、反乱者である私に何の話があるの?」
警戒は解いたと言ったものの、雪妃の口調には未だに緊張感がある。
「それは、雪妃さんが本当に反乱者なのか、どうしてあの殺人犯と一緒にいたのか、ちゃんと話がしたかったから」
「・・・そういうことね」
雪妃は一度間を空けて、近くに置かれていた椅子に腰かけた。
「あの異界人が私を助けてくれたのは偶然よ。彼が反乱者だという話は聞いていたけど、会ったのはあれが初めて」
でも、と雪妃は話を続ける。
「私が反乱者なのは間違いない。言い逃れするつもりもないわ」
「・・・そっか。そうだよね、これだけ僕の事を警戒しているんだから当然か」
「それで、聞きたいことはそれだけ?」
突き放す様な冷たい態度の雪妃だが、コハクは怯むことなく口を開く。
「雪妃さんはこのまま反乱者として生きていくつもりなのか、前みたいにカノールさんの店とか、あのバイトしていた店とかには顔を出さないのかなと思って」
「そうね、私は・・・そのうち、戻るよ」
雪妃は、重い息を吐きながら天井を眺める。
「今は軍の警戒が強いから、無暗に外に顔出したくないだけ。だから、また落ち着いたら戻るよ」
「そっか、良かった。今は軍も反乱者をどうにかしようと必死になってるからね。
それともう一つ。重要な話があるんだけど」
「重要な話?」
喉が詰まりそうになりながら、コハクはその言葉を吐き出す。
「近いうち、この街の反乱者たちを討伐する作戦が起きる」
それを聞いて、今まで冷静だった雪妃が、驚いた表情を見せる。
「ちょっと待って。それって、私に言ったらダメな話じゃない? 貴方が今していることは、軍を裏切っている事だと思うけど?」
「知り合いが殺されるかもしれないのに、ただ黙っているなんて僕には出来ない。僕は雪妃さんには無事でいて欲しいから、だから・・・その」
言葉に詰まりながら、コハクは話を続ける。
「僕と一緒に来て欲しいんだ」
「えっ?」
それを聞いて、雪妃は更に驚いた表情を浮かべた。
「軍には引き渡さない。僕が雪妃さんの安全を確保する。僕が雪妃さんを守るから」
雪妃は、数回程ぱちぱちと瞬きをして、そして、くすりと笑った。
「・・・ふふ。なんか、告白みたい」
「え、いやっ、別に、告白なんて訳ではっ・・・!」
「え、違うの? 今のは完全に告白だよ」
コハクは真面目に話をしているつもりだったのだが、しかし雪妃は面白そうに笑顔を浮かべていた。
「と、とにかく。さっき言ったことは本気だよ。一緒に来てくれれば、安全は確保できるから」
「・・・うん、ありがとう。そんな事考えていてくれたなんて、凄く嬉しい」
けど、と雪妃はコハクから目を逸らしながら、呟いた。
「ごめん。私、コハクと一緒には行けない」
「・・・そっか」
それを聞いて、コハクは全身から力が抜けるのを感じた。
そうして二人の間には、しばらく沈黙が流れる。
二人とも、どうやって話を切り出そうか悩んでいる様である
「あのさ。私もコハクに話たい事がある」
先に口を開いたのは雪妃であった。
「私の、昔の話なんだけど」




