ろぎーと男の定め(と言う名のパシリ的扱いのお話)ウィズ戦闘フェーズ
通常運転と急展開的5話目
~サブタイが長いのは仕様です~
注意ガキ:今更ですが、ネットスラング的ギャグが飛び交う小説です。ご注意ください。
「なあ碓氷。これはどういうことだろうな」
「うーん、分からないね。ただ、僕にはどうやら、不満を口にする権利はないみたいだ」
「ちゅーかよ、どうして水代は往来で縛られてたんだ? そういうプレイ?」
「そんな訳ないだろ」
「僕はそんなMじゃあないよ」
つーか、なんでてめぇが居るんだ。
俺たちは今、テンション高い2人の女子(片方は怪しい)の後ろを、ゆったりぐったり追いかけていた。
両手両腕両肩をフル稼働して、箱だの紙袋だのをひーこら運びながら。
「なあ、大和」
「何だよ」
「後悔してないか?」
「…………………………めっちゃしてる」
女性と買い物に行ったことのある男ならば、今の状況は容易に理解できると思う。
俺たちは、荷物持ちをやらされていた。
だがこれだけは言っておく、これはパンチラの罰ではない。
……最初からこうなる運命だったらしい。さっき高木の口から告げられた。結局こうなるのかよ…………。
ちなみに、どうして束縛されていた碓氷と、呼ばれていない大和がいるかというと、だ。
暇すぎて散歩していた大和が偶然にも縄に縛られて騒いでいる碓氷を発見し、開放してから事情を問いただしたところ、自分が遊びにお呼ばれしていない事を知って怒りのままに追ってきたというわけである。
その結果が荷物持ちとは、悲しすぎるぞ大和……っ! だが彼女持ちなので哀れみこそすれ、同情はしてやらない。散歩しちゃうくらい暇なら彼女と遊べばいいのに。あんまり上手くいってねぇのかな。
「そこんところどうなんだ? 大和」
「え? いきなりなに?」
「察しろよ、使えねぇ」
「使えないとか言うなぁぁああ! どうしろってんだよ! 以心伝心でもしろってのかよっ」
以心伝心……? 大和と……? うわぁぁああ嫌だぁぁああ!
「なにキモイこと言ってんだよ死ねよてめー」
「理不尽! 圧倒的理不尽だぁー!!」
「まあまあろぎー、そのへんにしてあげなよ」
碓氷がよろめきながら微笑んでストップを掛けてきた。
「大和の味方かてめー。あとろぎーって呼ぶな」
「まあ、大和君は恩人だから」
にっこり、と笑ってっけど、3人の中で唯一罰として俺の1.5倍くらいの多荷物(誤字にあらず)を持ってるからシュールで仕方ねぇぞ。分かってんのか。
「ろぎーと変態とその他、遅いよ」
碓氷の扱いが酷い。大和は知らん。
「へいへーい」
「俺はその他かよッ」
「凛って、意外に根深いよね」
三者三様に返事をして急ぐ……つっても、重くて早歩き以上の速度にはならねぇ。碓氷に至ってはほとんど加速できてない。
「あ、ねえねえ凛ちゃんっ。あそこの服屋さん、昨日オープンしたばかりみたいですよっ」
「へぇ、じゃあ行ってみようか」
「はいっ」
これは荷物が増えるフラグですね分かります。
「荷物が増えるよ、やったねたえち」
「「おいやめろ」」
俺と大和のシンクロ食い気味ツッコミが炸裂した。じゃなくて、何をテンプレなネタを振ってくるんだこのアホは。
「っておい、この店レディース専門じゃねぇか」
「あ、本当ですねっ」
嫌なよかーん。
「それじゃ仕方ないね。3人は外で待ってなよ」
「あ、やっぱり?」
店内に入れば小休止を入れられると思ったんだが、どうやら無理らしい。
両腕の握力が消滅していくぅぅうう。ってレベルの一歩手前くらいには疲労してるんすけどぉー。
もうさ、靴の箱とか、下に置いていいんじゃね? てかいいよね。異論は認めねぇ。
「あ、荷物は地面に置かないでよ? 汚れるから」
……高木は俺たちに絶望を送り、穂花の背中を押しながら店内に入っていった。
「耀が不参加で助かったぜ……」
「そうだな……」
「うん……」
俺たちは、現実逃避にIFの話をすることでしか、この仕打ちに耐えることができなかった。
✽
地獄の休日がようやく終わった。
あのあと、さらに2、3、店を回って高木と穂花の買い物は終わったらしく、荷物持ちの仕事は15時頃に終了したのだ。すべての荷物を高木と穂花の家に運ぶという苦行はやらされたが。
どうでもいいが、大和は穂花の家に入れてテンション上がってた。本当にどうでもいい。
最終的には高木の家で少しお茶をして、17時には解散となった。なんだかんだで楽しかった。が! もう女子の買い物に荷物持ちで付き合うのはゴメンだっ! 穂花も高木もやけに金持ちなので、買う量が異常に多いのも辛かった。
何はともあれ俺の土曜日はこれで終了か。今日の晩飯なにかなー。
とかを考えながら家路についていると、ズボンの尻ポケットに入れているケータイが最近人気のアーティストの新曲を歌いだした。もちろん本当に歌っているわけではなくて、着メロがなったという意味だ。
「耀か、なんだっていまさら……」
この曲を歌っている歌手に耀がはまっているらしく、『私の着メロはこれにしてよねろぎー』と言ってきたので素直に従っている。
つーか、メールじゃなくて電話かよ。
「もしもーし」
さていたずら電話か嫌がらせ電話かおふざけ電話か、と身構えつつ、それを悟られないように軽ぅーく電話にでた。
返ってきたのは、
「やばいやばいとりあえず本気でメチャクチャサイキョーにやばぁい展開だよろぎーまじでッ。今すぐ即すぐ直ちにきなって本当にもう究極で御用達で御用達な使い古されたありふれマックスの展開だけどやばいってこれ!」
という弾丸電話だった。マシンガントークというかガトリングトークすぎて内容は1割も頭に入ってこなかった。とにかく、やばいってことだけは分かったから落ち着かんか。
「もちっと分かりやすく簡潔に」
「とにかくいーから来いっ!」
うわーわっかりやすーい。
「へいへい分かりやしたよー。んじゃ5秒後に耀の目の前に出現しまーす」
言って、返事を聞かずにケータイを閉じた。
ちなみに、5秒って時間は俺の心の準備タイムだ。
はいよーん。さーん。にぃー。いーち……
「ほい」
カウントダウンのラストと同時に、目を閉じて、目を開けたら目の前に耀がいた。
耀が突然現れた。わけではない。周囲の風景は、俺がいた住宅街の十字路から、ってここどこだ? 廃ビルが立ち並ぶ廃れた道……って感じの風景になっていた。
「うーん、なんど目撃しても、ろぎーのワープは驚きますねぃ」
「安心しろ、俺も結構驚くから」
たまに心の準備なしにやって心臓が止まるほど驚くことがある。
「きゃぁあ」
唐突に、背後から高い悲鳴が聞こえた。耀との会話で気がつかなくて、人がいたのか? と思って、振り返った。説明とかかったるいなぁとか思っていたが、杞憂だった。
「わーお」
こりゃ確かに、正義の味方御用達の展開だわ。
俺が目撃したのは、廃ビルの路地で、結構可愛い女性が、2人のチャラい感じの男に迫られている風景だった。
「ねねね、ろぎろぎ、楽しそーでしょ?」
とんでもなく喜悦な場面に出くわしたとでも言うように、耀が目を輝かせて、弾んだ声を出しながら擦り寄ってきた。
「良かったなー」
2つの意味で。女性は助けられるし、耀は極上のショーを見られる。まあ、
「女の人とチャラ男には、災難かもしれんけど」
最初に謝罪の意を込めて、心の中で合掌。南無。
「いーからさっさとヤろうよ」
殺ろうよ。と聞こえた俺は病気かな。耀の遊びに付き合ってると、倫理観がぶっ壊れるぜー。
ま、倫理観なんざ中学生の時に捨てて高校生なってからまた拾ったから、安物のパチモンだけどね。
そんなこんなでバトルフェイズとつにゅーだぜ。
【続く】
何はともあれお粗末様でした。
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