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俺、CO₂悪者説を信じてたら地球詰んでたんだが?第四部   作者: マスター


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10/11

第10話 川沿いの住宅地と、「水辺を遠ざける町」と「水辺を見ながら暮らす町」

第4部第9話では、流域の下流にある遊水地と堤防を舞台に、「水をできるだけ押し返す町」と「少しだけ受け入れる町」という二つの世界線を見ました。


第10話では、その流れを受けて、川沿いの住宅地に視点を移します。


大きくは動かなかった世界線では、「水辺を遠ざけて暮らす町」。


少しだけ曲がった世界線では、「水辺を見ながら、いざというときに備える町」。


主人公とAIが、川のそばで暮らす人たちの夏と、増水の気配を前にした日常を見つめる回です。

「遊水地の次は、やっぱり川沿いの町だよな」


俺は、流域の地図をさらに下へスクロールしながら言った。


川の蛇行。


住宅地。


堤防の内側の細い道。


川を見下ろす小さな公園。


橋のたもとにある水位表示。


『水辺に近いほど、暮らし方の差が出るからな』


「水が近いって、いいことでもあるし、怖いことでもある」


『どちらか一方ではない』


「そうだな」


俺は、地図上の川沿いの住宅地を拡大した。


上流では、斜面と畑が水を受け止めた。


中流では、雨庭が水を一度庭に置いた。


下流では、遊水地が水を受け入れる場所になった。


その先にあるのが、実際に人が暮らしている川沿いの町だ。


「第4部第10話は、“川沿いの住宅地”でいこう」


『いい流れだ』


第1節 大きくは動かなかった世界線の「水辺を遠ざける町」


川の堤防の内側に、細い住宅地がある。


道路は川に沿っている。


けれど、家々の窓は、なるべく川を見ない向きに作られている。


玄関は内側の道路に向き、川側には高い塀や生け垣が多い。


「水辺を遠ざけてる感じだな」


俺は、現実線のログを開いた。


――川は、町にとって景色ではある。


――けれど、毎日見ているものではない。


――堤防の上には散歩道や自転車道があるが、真夏の昼間は人が少ない。


――住民の視線は、川ではなく、内側の道路と生活のほうへ向いている。


『水辺を遠ざけること自体は、悪ではない』


「そうだな」


水は怖い。


川は、静かな日にはきれいでも、豪雨のあとには別の顔になる。


水辺に背を向ける家の形には、それなりの理由がある。


――高い塀は、視線を遮るためだけではない。


――不安を日常から遠ざける役割も持っている。


――川を見ないことで、毎日を落ち着いて過ごしている人もいる。


『日常の不安を薄めるための距離だな』


「うん」


夏の日。


川沿いには、少し風がある。


ただし、その風がいつも涼しいとは限らない。


湿った熱い風の日もある。


川の近くでも、猛暑日は猛暑日だ。


――家の中は閉め切られている。


――外の風はあまり取り込まず、エアコンで内側を守る。


――川が近いからといって、水辺の空気が暮らしに自然に入ってくるわけではない。


『増水時の備えは?』


「あるにはある」


――ハザードマップは配られている。


――避難経路の看板もある。


――自治体の防災メールも登録できる。


――橋の近くには、水位を示す目盛りもある。


「でも、住民の感覚としては、かなり受け身だな」


『どういうことだ?』


「めったに来ない大きな水に、来たら逃げる」


『うん』


「それくらいの感覚で止まっている」


――普段は川をあまり見ない。


――雨が強くなってから、ニュースや通知で川を意識する。


――増水の情報が出ると、急に「今どれくらい上がっているのか」が気になり始める。


――けれど、普段の川の高さや流れの速さを見慣れていないため、どの変化がどれくらい危ないのかを感覚として持ちにくい。


『増水時に川を見に行くのは危険だ』


「そこは、絶対に書いておかないとな」


俺は、ログに一行加えた。


――本当に危ないとき、川へ直接見に行ってはいけない。


――しかし、普段から川を見ていない町では、危なくなる前の変化にも気づきにくい。


川の水が少し濁ったこと。


護岸の草がやけに倒れていること。


雨のあと、いつもより水が引くのに時間がかかっていること。


そういう小さな変化は、普段から見ている人にしか残りにくい。


『大きくは動かなかった世界線では、水辺は“遠ざけるもの”のままなんだな』


「そう」


――川は、日常の背景から外されている。


――危険になったときだけ、急に見るものになる。


――そのため、備えはあっても、暮らしの中に水辺の変化を読む感覚が入りにくい。


「これが、水辺を遠ざける町のログだな」


第2節 少しだけ曲がった世界線の「水辺を見ながら暮らす町」


『では、ここからは“少しだけ曲がった世界線”の川沿いの住宅地を見てみよう』


AIが言う。


俺は、右側のログを開いた。


そして、最初に一行だけ書いた。


――ここからは、“水辺を見ながら、いざというときに備える町”としての世界線である。


同じ川沿い。


同じ堤防の内側。


同じように住宅が並ぶ。


ただし、この世界線では、川に背を向けるだけではなく、川の変化を暮らしの一部として見る工夫が少しだけ入っている。


「たとえば、こうだ」


――堤防沿いの道には、低いベンチと小さな案内板がある。


――案内板には、平時の水位、雨のあとに上がりやすい高さ、避難情報を確認する目安が、簡単な図で描かれている。


――近くには、自治体の水位情報やライブカメラへつながる二次元コードも表示されている。


――住民は、散歩のついでに川を見て、普段の水の高さや流れの速さを少しずつ覚える。


『川を“見ないもの”ではなく、“普段から見ておくもの”にしているわけだな』


「そう」


――ただし、豪雨の最中に見に行くためではない。


――危ないときほど、現地へ近づかず、ライブカメラや水位情報を見る。


――平時に川を見ておくことが、非常時に近づかないための判断材料になる。


『重要な違いだ』


「うん」


川を見ることは、危険に近づくことではない。


危険になる前に、いつもの川を知っておくことだ。


そして、危険になったら、現地ではなく情報を見ることだ。


この世界線では、その線引きが町の中で共有されている。


――川側の塀を、場所によっては低い植栽や透ける柵に変えた家もある。


――ただし、開放しすぎるわけではない。


――増水時に使う止水板の置き場所、非常用の荷物の場所、二階へ上げるもののリストが決められている家もある。


――川を景色として見ながら、危ないときの遮り方も同時に準備している。


『水辺を見ながら暮らすことは、無防備になることではない』


「むしろ逆だな」


――堤防沿いの小さな公園では、親が子どもに言う。


「今日は昨日より水が高いね」


――その一言は、川へ近づくためではなく、近づかない判断のきっかけになる。


――町内会の掲示板には、「大雨時は川を見に行かず、水位情報を確認してください」と書かれている。


――普段の散歩で見ている川と、画面上の水位情報が、少しずつ住民の中でつながっていく。


『この世界線でも、増水は怖いままだ』


「もちろんだ」


――豪雨のニュースが出れば、避難の気配は同じように訪れる。


――堤防があるから安全、という話にはならない。


――水辺が見えるから大丈夫、という話にもならない。


――ただ、日常の視線が川に少しだけ向いている分、早めの気づきと早めの声かけがしやすい。


「川を遠ざけて忘れるんじゃなくて」


『うん』


「近づきすぎずに、見ておく」


『それが、この世界線の距離感だな』


第3節 二つの川沿いの町を並べて見た主人公の一言


俺は、頭の中で二つの住宅地を並べた。


左側。


川を見ない向きに家が並んでいる町。


堤防は、いざというときだけ意識するものになっている。


水辺は、不安を遠ざけるために日常から外されている。


右側。


川を少し見ながら暮らす町。


散歩道、案内板、水位表示、ライブカメラ、非常時の持ち物リスト。


それらによって、日常の中に水位の変化と避難の感覚が少し入っている。


『どう違う?』


AIが聞く。


「左側の町では、川は“危なくなったら逃げる相手”だ」


俺は、言葉を選びながら答えた。


「普段はあまり気にしない」


『うん』


「でも、増水したら避難する」


『うん』


「そのための準備は、あるにはある」


『右側では?』


「右側の町では、川は“日常の中で見ておく相手”だ」


――川の高さと流れを、普段の散歩や案内板から少しずつ覚える。


――危なくなる前に気づくために、日常の景色の中に水辺を置いている。


――危なくなったら近づかず、情報で確認する。


――そして、早めに声をかけ、早めに動く。


『補助輪の違いは、遠ざけるか、見ながら備えるかの差でもあるな』


「そうだな」


どちらの町も、水が怖いことは変わらない。


どちらの町も、堤防と避難の準備を持っている。


どちらの町も、豪雨そのものを止めることはできない。


ただ、右側の世界線では、水辺が「ただの背景」ではなく、「備えの一部」として暮らしに入っている。


『この物語では、川沿いの住宅地を“水辺とどんな距離で暮らすか”の分岐として描いているわけだ』


「第4部第10話は、そのことを一度、静かに書いておく回だな」


俺は、二つのログの最後に書き込んだ。


――これは、水辺を遠ざけて暮らす町のログだ。


――これは、水辺を見ながら、いざというときに備える町のログだ。


「どちらの町も、現実にありえる」


俺は、画面を見つめながら続けた。


「水辺を遠ざけることにも、理由はある」


『恐怖を日常から切り離すためだ』


「川側を閉じることにも、安全上の意味がある」


『うん』


「でも、自分としては、“見ながら暮らすほう”を、ましな補助輪として書いておきたい」


『見に行くのではなく、見ておく』


「危なくなったら近づかない」


『その線引き込みで、だな』


「そう」


水辺を見ながら暮らすことは、川へ無防備に近づくことではない。


水辺を恐れないことでもない。


むしろ、水が怖いことを知ったうえで、普段の川と、危なくなった川の違いを、暮らしの中に少しずつ入れておくことだ。


上流では、崩れ方を覚えた。


中流では、雨の通り道を見た。


下流では、水を受け入れる場所を決めた。


そして川沿いの町では、水辺を見ながら、近づきすぎない距離を覚える。


『上流から下流まで、流域の補助輪が一通り見えてきたな』


「そうだな」


俺は、流域図をもう一度眺めた。


山から始まった水は、畑を通り、庭を通り、遊水地を通り、川沿いの町を過ぎていく。


その先にあるのは、河口だ。


川の水が、海に触れる場所。


そして、漁港。


海面水温のニュース。


Blue Pulseが届かなかった世界と、届いたかもしれない世界。


「そろそろ、海に戻る時間だな」


『第4部後半の海のログだ』


「ここまでの流域の水を持って、海へ戻る」


『いい流れだ』


第4部第10話は、ここで区切る。

第4部第10話では、川沿いの住宅地を舞台に、大きくは動かなかった世界線の「水辺を遠ざけて暮らす町」と、少しだけ曲がった世界線の「水辺を見ながら、いざというときに備える町」を、主人公とAIの視点から並べて描きました。


大きくは動かなかった世界線では、川沿いの住宅地は、水辺を日常から少し遠ざけています。


家の窓や玄関は、川ではなく内側の道路へ向いています。


川側には、高い塀や生け垣があり、日常の視線は川へ向かいにくくなっています。


これは、必ずしも悪いことではありません。


川は、静かな日には景色になりますが、豪雨のあとには危険な存在にもなります。


水辺を見えにくくすることで、不安を日常から遠ざけている面もあります。


ただし、普段から川を見ていないと、平時の水位、雨のあとの変化、流れの速さ、護岸の様子などが暮らしの中に入りにくくなります。


増水のニュースが出てから急に川が気になっても、そのときに直接見に行くのは危険です。


そのため、「普段は見ないが、危なくなったら気になる」という状態は、備えとしては弱さも持っています。


少しだけ曲がった世界線では、川沿いの町が、水辺を暮らしの中で少しだけ見えるものにしています。


堤防沿いの散歩道には、低いベンチや小さな案内板があります。


案内板には、平時の水位、雨のあとの変化、避難情報を確認する目安が、簡単な図で示されています。


水位情報やライブカメラへつながる二次元コードもあります。


住民は、散歩のついでに平時の川を見て、普段の高さや流れの速さを少しずつ覚えます。


ただし、危険なときに川へ見に行くためではありません。


むしろ逆です。


平時に川を見ておくからこそ、豪雨時には現地へ近づかず、ライブカメラや水位情報を確認するという判断がしやすくなります。


川側の窓や柵を、場所によって少し開く家もあります。


しかし、それは無防備に川へ開くことではありません。


止水板の置き場所。


非常時の荷物の置き場所。


二階へ上げるもののリスト。


大雨時にはどの段階で閉めるのか。


そうした備えとセットで、水辺を日常の景色に戻しています。


この話数で描いた補助輪は、設備だけではありません。


水辺を見る習慣。


平時の川を知っておくこと。


危険なときは近づかないという線引き。


水位情報やライブカメラを確認する方法。


近所へ早めに声をかけるきっかけ。


そうした「視線と判断の補助輪」です。


第4部の流域編では、上流のスポンジの畑、中流の雨庭、下流の遊水地、そして川沿いの住宅地を見てきました。


上流では、崩れ方の記憶を土の扱い方へ移しました。


中流では、雨の通り道を庭の中に見えるようにしました。


下流では、水を受け入れる場所として遊水地を位置づけました。


川沿いの住宅地では、水辺を遠ざけるだけでなく、見ながら備える暮らし方を描きました。


どれも、豪雨を止めるものではありません。


水害を完全に防ぐものでもありません。


ただ、水の通り方と、水への向き合い方を少しだけ変える補助輪です。


次回からは、視点を流域から海へ戻します。


川の水が海へ触れる河口。


漁港の夏。


海面水温のニュース。


そして、Blue Pulseが届かなかった世界線と、届いたかもしれない世界線。


第4部後半では、ここまで見てきた流域の水を持ったまま、海のログへ入っていきます。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:リアル(Perplexity)

校正・文体調整:G(ChatGPT)

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