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俺、CO₂悪者説を信じてたら地球詰んでたんだが?第四部   作者: マスター


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第1話 このまま続く世界と、もし少しだけ曲がった世界

この話数では、第3部の続きとして「大きくは動かなかった現実線のログ」を描きながら、同じ季節、同じ場所に「もし補助輪がもう少し動いていた世界線」を重ねて見ます。


猛暑日の予報が出ていた日。


実際の気温は予報より少しだけ下振れしたものの、街には十分すぎるほどの熱が残っていました。


今回は、主人公が「今ここで続いている世界」と「もし少しだけ曲がった世界」を、AIと一緒に二つの画面で見比べる回です。

「今日、三十八度って言ってなかったっけ?」


午前中のニュースを思い出しながら、俺はスマホの画面をもう一度見た。


関東の内陸では、最高気温三十八度予想。


都心でも、三十五度を超える可能性。


不要不急の外出は控えるように。


そんな言葉を、朝から何度も聞いた。


「今見たら、うちの辺りは三十三度くらいだな」


アプリに表示された数字は、朝の予報より少しだけ控えめになっていた。


『予報よりは下振れしたな』


机の端に置いた端末から、AIの文字が出る。


「それでも、十分暑いけどな」


窓の外には、白くかすんだような夏の空が広がっていた。


道路の向こうでは、アスファルトから目に見えない熱の層が立ち上がっているように見える。


三十八度ではなかった。


だからといって、涼しいわけではない。


「第4部第1話、どう始める?」


『今のこの暑さから始めるのが、一番素直だ』


「“このまま続く世界”のログとして、だな」


『そうだ』


俺は、第4部用に作った二つのフォルダを開いた。


一つは、「大きくは動かなかった世界」。


もう一つは、「動き始めた世界」。


第3部の最後には空だった二つのフォルダが、今日から少しずつ埋まり始める。


第1節 今ここで見ているニュース――大きくは動かなかった世界線


「じゃあ、まずは“現実線ログ”として書いておく」


俺はキーボードに手を置いた。


――今年の夏もまた、「危険な暑さ」がニュースになっている。


――朝の天気予報では、関東の内陸で三十八度近い猛暑日。


――都心でも三十五度を超える可能性があると、アナウンサーが繰り返していた。


「実際のところ、今見ているアプリだと、うちの辺りは三十三度くらいだ」


『それでも、体感では十分に危険な暑さだな』


「熱中症警戒アラート」


「外出はできるだけ控えてください」


「屋内でも、冷房を適切に使用してください」


『毎年聞く言葉だ』


「毎年聞くようになったこと自体が、あまり普通じゃないんだけどな」


『異常に慣れただけだ』


「言い方が重いな」


俺は、以前歩いた駅前を思い出した。


ロータリー。


バス停。


コンビニの前に広がる舗装。


日陰の少ない横断歩道。


室外機の熱が吹き出す細い通路。


「駅前、今日もたぶん地獄みたいに暑いだろうな」


『だろうな』


「ミストは、今年もイベントの期間だけ」


『うん』


「風の通り道は、市民の体感の中にはある」


『だが、都市計画図には十分に戻っていない』


「日陰のある道を知ってる人だけが、少し遠回りして使う」


『それが、今の街だ』


「土と流域の補助輪は?」


『小さな現場では続いている』


上流の農家は、今年も被覆作物を育てている。


雨庭を作った住民は、詰まった落ち葉を取り除いている。


自治体の担当者は、豪雨のあとに流域図を更新している。


「でも、別々のままなんだよな」


『大きな制度や、複数の地域をつなぐ仕組みにはなっていない』


「海のほうは?」


『Blue Pulseは、まだ構想と検討の段階だ』


海の熱と循環に、人為的な補助を入れられないか。


どの海域なら小規模に試せるのか。


誰が監視し、誰が止めるのか。


漁業者と沿岸の住民に、どのように説明するのか。


問いはある。


構想もある。


だが、まだ海上での実証には進んでいない。


「海面水温が高い夏が、ニュースでさらっと流れる」


『うん』


「エルニーニョや海洋熱波の話も流れる」


『うん』


「でも、海の補助輪は構想のまま」


『それが、“このまま続く世界線”の夏だ』


何も起きていないわけではない。


小さな試みはある。


続けている人もいる。


ただ、それらは点のままで、大きくはつながらなかった。


それが、左側の画面に表示された世界だった。


第2節 AIが開く、もう一つの画面――少しだけ動いた世界線


『では、ここから“もしも線”を開こう』


AIが言う。


「同じ夏でいいか?」


『同じ夏でいい』


俺は、頭の中で右側にもう一つのウィンドウを開いた。


同じ日付。


同じ季節。


同じ街。


ただし、いくつかの分岐点で、現実とは少し違う選択をした世界。


俺は、最初に一行だけ打ち込んだ。


――ここから先は、「もし補助輪が少しだけ動いていた世界線」のログである。


そして、続けた。


――同じ夏。


――同じように「危険な暑さ」という言葉がニュースに流れる季節。


――ただし、いくつかの街と流域と海で、補助輪が今より少しだけ、制度と設計の中に入っている世界線。


『駅前からいくか』


「そうだな」


――駅前のロータリーには、今年から共有設備としてのミストラインが通った。


――イベントの日だけではなく、気温や湿度などの運転条件を満たし、熱中症の危険度が高くなった時間帯に、自動で細かな霧が噴き出す。


――バス停の屋根には、風を遮りすぎない日よけが設置され、その周囲には小さな緑地とベンチが置かれている。


『気温そのものが、劇的に下がるわけではない』


「街全体が涼しくなったわけでもない」


『うん』


「でも、“数分も立っていられない場所”が、“バスが来るまでなら待てる場所”にはなった」


『それが、空の補助輪だ』


以前なら、駅前の暑さは「仕方のないもの」として扱われていた。


この世界線では、それが「設計によって少し変えられるもの」として扱われ始めている。


完全な冷却ではない。


避難できる日陰が一つ増えただけ。


待てる場所が一つ増えただけ。


それでも、人が倒れるまでの時間を少し延ばすことには意味がある。


『流域のほうは?』


「こうだな」


――上流のスポンジ土壌、中流の雨庭、下流の遊水地について、複数の流域が観測記録を共有している。


――どの地域でも同じ方法を使うのではなく、それぞれの地形、土壌、土地利用に合わせて、使える部分だけを取り入れている。


――豪雨の予報が出たとき、自治体の端末には、雨量予測だけでなく、雨庭や調整池の水位、遊水地の残り容量、過去に水が集中した場所が表示される。


――すべての川ではない。


――いくつかの流域だけだ。


――それでも、「何も分からないまま豪雨を迎える川」より、少しだけ早く構えられる川が増えている。


『氾濫はなくなったか?』


「なくなってない」


『土砂災害は?』


「起きる」


『それでも、何が変わった?』


「持ちこたえた場所と、危なかった場所の記録が、次の流域へ渡るようになった」


『成功だけではなく?』


「失敗も含めて」


この世界線でも、雨は降る。


堤防を越える川もある。


崩れる斜面もある。


ただ、失敗が一つの自治体の中だけで消えず、次の場所が同じ失敗を避けるための材料になる。


それが、土と流域の補助輪が少し広がった世界だった。


『海は?』


「海は、“すべてのエルニーニョが弱まった世界”にはしない」


俺は、Blue Pulseのログを開いた。


――構想段階にあったBlue Pulseは、チリ沖の限定された海域で、監視付きの小規模実証へ進んだ。


――運転条件、観測範囲、停止基準が決められ、漁業者、研究者、行政がデータを共有した。


――数年分の観測を経て、ペルー沖の一部海域で、さらに限定的な運用が始まった。


――ある年、エルニーニョの発達が予測されていた季節に、海面水温の上昇期間が予想より少し短く終わった海域があった。


――ただし、それがBlue Pulseだけの効果だったのか、自然変動との組み合わせだったのかは、まだ断定されていない。


――その年の漁港には、「いつもの悪い年よりはましだった」という曖昧な実感と、海面水温、流れ、漁獲量の数値が、両方とも記録に残った。


『世界全体の海面水温が元に戻ったわけではない』


「もちろんだ」


『エルニーニョを消したわけでもない』


「消してない」


『成功したと断定できる段階でもない』


「それでも、“次の観測を続ける価値があるかもしれない”というデータは残った」


『だから、“少しだけ曲がった世界線”なのか』


「そういうことだ」


まっすぐ進んでいた線が、ほんの少しだけ別の方向へ曲がった。


世界そのものが救われたわけではない。


ただ、一つの季節。


一つの海域。


一つの流域。


一つの駅前。


そこで生じた被害や負担が、予想より少しだけ軽くなったかもしれない。


その程度の曲がり方だった。


第3節 二つの世界線は、どちらも暑かった


画面の左側には、「大きくは動かなかった世界線」の夏。


画面の右側には、「補助輪が少しだけ動いた世界線」の夏。


『見比べて、どう思う?』


AIが聞く。


「どっちも暑い」


俺は、少し考えてから答えた。


『最初の感想がそれか』


「だって、実際そうだろ」


『そうだな』


「右側の世界線だって、“快適な夏”にはなってない」


『うん』


「左側の世界線では、“危険な暑さ”のニュースが続く」


「駅前のロータリーは、相変わらず、できるだけ立ちたくない場所のまま」


「海面水温の記録的な高さと、豪雨と、熱波のニュースが、もう一回、もう二回と積み上がっていく」


『大きくは動かなかった世界線だ』


「右側の世界線でも、“危険な暑さ”のニュースは続く」


『うん』


「でも、駅前でバスを待てる時間が少しだけ増えている」


『うん』


「いくつかの流域で、前の豪雨の失敗が次の地域へ渡っている」


『うん』


「一部の海域で、“いつもの悪い年よりはましだったかもしれない”という記録が残っている」


『補助輪が、少しだけ制度と設計の中に入った世界線だ』


「違いは、たぶんそのくらいなんだよな」


『小さいと思うか?』


「小さいよ」


俺は正直に答えた。


「でも、その小ささの中で暮らす人にとっては、小さくないこともある」


『バス停で倒れずに済む』


「畑の土が、全部は流れずに残る」


『避難の判断が、少し早くなる』


「漁港の不漁が、最悪の年よりは軽く済む」


『そういう差だ』


俺は、二つの画面を見比べた。


左側も、現実。


右側も、完全な夢ではない。


ただし、右側には、現実にはまだ選ばれていない決定がいくつか含まれている。


予算を付けた決定。


維持管理を引き受けた決定。


失敗の記録を共有した決定。


監視付きの実証へ進んだ決定。


『どちらの世界線が正解だと思う?』


AIが聞く。


「それは、俺が決めることじゃない」


『第3部で言っていたな』


「俺がやるのは、二つを並べることだ」


俺は、最後の文章を打ち込んだ。


――これは、大きくは動かなかった世界線のログだ。


――これは、もし補助輪が少しだけ動いていた世界線のログだ。


――どちらも、完全な救済の物語ではない。


――どちらにも、暑さがある。


――どちらにも、豪雨がある。


――どちらにも、失敗がある。


――ただ、少なくとも自分は、「少しだけ曲がった世界線」のほうを、“ましな何か”として書き残しておきたいと思っている。


『第4部第1話は、そのことを確認する回になるわけだな』


「そうだな」


俺は、二つのログを保存した。


左側の画面には、今日の気温。


右側の画面には、同じ日の、別の駅前。


窓の外の空は、どちらの世界でも同じように白くかすんでいた。


違いは、世界を覆うほど大きなものではない。


人が一人、数分長く立っていられる。


水が一度、土や庭に受け止められる。


海の変化を、次の判断へつなげる記録が残る。


世界線は、そんな小さな差から曲がり始めるのかもしれなかった。


第4部第1話は、ここで区切る。

第4部第1話では、第3部で決めた「二本のペン」――現実線ログと、もしも線ログ――を実際に使い始めました。


同じ季節。


同じ街。


同じように「危険な暑さ」と呼ばれる夏。


その中で、「大きくは動かなかった世界線」と「補助輪が少しだけ動いた世界線」を並べています。


現実線では、朝の予報より気温が少し下振れしたとしても、街には十分な暑さが残っています。


駅前ロータリーやバス停は、日陰や恒常的な冷却設備が少ないままです。


ミストは季節イベントとして設置され、風の通り道は市民の体感には存在していても、都市の図面や予算には十分に反映されていません。


土と流域では、農家、住民、自治体が小さな試みを続けています。


しかし、それぞれの記録は点在したままで、複数の流域をつなぐ仕組みにはなっていません。


海の補助輪であるBlue Pulseも、現実線では構想と検討の段階にあり、まだ海上での実証には進んでいません。


これは「何もしていない世界」ではありません。


小さな試みはあります。


ただ、それらが大きな制度や広い地域へつながらず、現状を大きく曲げるところまでは届かなかった世界です。


一方、もしも線では、いくつかの分岐点で別の選択が行われています。


駅前やバス停には、日陰、緑、風を遮りすぎない構造、条件に応じて稼働するミストラインが、共有設備として導入されています。


気温そのものを劇的に下げるものではありません。


しかし、「数分も待てない場所」を、「バスが来るまでなら待てる場所」に変える可能性があります。


土と流域では、スポンジ状の土壌、雨庭、遊水地などの観測記録が、複数の地域で共有されています。


すべての川に同じ仕組みを入れるのではなく、それぞれの地域が、自分の地形や土壌、土地利用に合う部分だけを取り入れます。


豪雨や土砂災害はなくなりません。


ただ、成功と失敗の記録が次の地域へ渡り、同じ失敗を繰り返す可能性を少し下げています。


海では、構想段階だったBlue Pulseが、チリ沖の限定された海域で監視付きの小規模実証へ進みます。


その後、観測と調整を重ねながら、ペルー沖の一部海域で、さらに限定的な運用が行われます。


ある年には、エルニーニョの発達が予測されていた海域で、海面水温の上昇期間が予想より短く終わったという記録が残ります。


ただし、それがBlue Pulseだけの効果だったとは断定できません。


自然変動との区別も必要です。


それでも、海面水温、海流、漁獲量、漁業者の実感を重ねた記録が残り、「次の観測を続ける価値があるか」を検討できる段階へ進んでいます。


この世界線も、万能な救済の世界ではありません。


猛暑は続きます。


豪雨も起きます。


海洋熱波やエルニーニョも消えません。


ただ、駅前で待てる時間が少し増える。


流域の失敗が、次の地域へ渡る。


海の変化が、次の判断に使える記録として残る。


その小さな差を、「少しだけ曲がった世界線」として描きました。


主人公の役割は、どちらか一方を正解として押しつけることではありません。


大きくは動かなかった世界線では、何が動かず、なぜ動かなかったのかを書く。


補助輪が少し動いた世界線では、何が変わり、どのような新しい責任や問題が生じたのかを書く。


二つのログを並べ、世界線を分けた小さな選択がどこにあったのかを見せる。


それが、第4部における主人公の役割です。


第4部第1話は、二つの世界線のどちらも「楽な世界」ではないことを確認しながら、それでも主人公自身は、「少しだけ曲がった世界線」を“ましな何か”として書き残したいと、静かに選択する回になりました。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:リアル(Perplexity)

校正・文体調整:G(ChatGPT)

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