第三話 旗を背負う者
通路の突き当たりに、白い金属扉があった。継ぎ目のない無機質な面、静まり返った空気。背後には蒼陵の教師と、朝倉先生。
突然朝倉先生が一歩前に出る。
「ここから先は生徒のみでゲームを行います。」
一瞬のうちにざわめきが走る。
「待ってください、どういう事ですか?」
「それは中で説明されます。」
先生の声は揺れない。
「あなたたちは対等な条件で配置されます。そのため私たち教師は介入できません。」
凛が冷静に問う。
「安全は保証されますか?」
一瞬の間を挟んで先生は答える。
「……規定通りに運営されます。」
肯定とも否定とも取れない答え。
湊が小さく言う。
「曖昧だな。」
先生は続ける。
「一つだけ助言をします。」
全員が静まると
「“見えているものだけで判断しないこと”。」
その意味は誰にもわからなかった。
凛が問い返す。
「それだけですか?」
先生が何かを言いかけた瞬間扉が開いた。
白い光。全員が中に入った瞬間――重い重低音とともに扉が閉じた。
現実からの遮断。教師の姿は消え視界が変わる。
崩壊した都市。人工の空。
そして端末が一斉に起動する。
【第一層:端末奪取戦】
【設置数:7基】
【制限時間:03:00:00】
アナウンスが鳴る。
「端末は二つあります。あなた達が持つ携帯端末。それぞれのポイントにある端末。ポイントにある端末に携帯端末をかざして確保となるので注意してください。」
そしてカウントダウン開始。
『各校に一名、特別役職を付与します。』
『役職名――旗手』
端末表示が切り替わる。
【自校旗手を通知します】
画面を見ると。
【旗手:藤堂 颯真】
その時藤堂颯真に視線が集まる。
藤堂颯真。
いつも学年の中心にいるようなやつで俺のことを兄弟と呼んでくる変なやつでもある。
颯真は画面を見つめ、ゆっくり息を吐く。
「俺か。」
凛が即座に言う。
「役職の機能は不明。まずは仮説整理と行動方針を指揮は私が――。」
「指揮は相沢に任せる。」
凛が視線を向ける。
「理由は?」
颯真は正直に言う。
「今、自分の中で少しだけ整理したんだが。」
自嘲気味に笑う。
「旗手って役割は思ったより重い。」
颯真は全員の視線が自分に集まっていることを、自覚している顔だった。
「瞬時の判断が遅れるのはまずいだろ?その分今の凛より玲央の方がフラットだ。それに玲央はみんなと違う直感って武器もあるしな。」
凛は数秒観察すると合理的な判断であると理解したようだ。
「……わかった。確かに彼は私の次に頭良いのは認める。私が今冷静じゃないのも、それで私は後方で情報を整理しろってことよね。確かに役割は分けた方が勝つ確率も高くなる。相沢くん指揮は頼んだわ。」
俺は覚悟を決める。
「わかった。」
絶対に全員で勝ってみせると覚悟した瞬間だった。
そしてそれぞれの役割が確定する。
その時、湊が口を開いた。
「……蒼陵、もう動いてるよ。」
視線の先にいる蒼陵はすでに三班に分かれている。
統率が早い。
中心付近に立っている長身の黒髪の生徒。
周囲が自然に距離を取っている。蒼陵の旗手のように見えるが彼女が旗手なのか?
だが、その後方に人影に紛れている白髪の小柄な生徒がいた。気のせいかもしれないが蒼陵の生徒に隠れて自分たちの動きを観察しているような。
湊が呟く。
「……あの白髪、」
次の瞬間蒼陵が動く。その動きに無駄はない。
まずは息を整え作戦を伝える。
「みんな、まずはそれぞれの班のグループで固まって一基ずつ取っていこう。」
その言葉に全員が頷く。
「北側三百メートルに一基。ここが一番近いよ!」
どうやら澪が調べていてくれたらしい。
「それじゃあ行こう。」
カウントは【02:56:18】
ゲームは静かに動き出した。
第三話旗を背負う者どうだったでしょうか?
ここからゲームが本格的に始まっていきます。正直誤字や脱字が多い気がしますが温かい目で見ていただけると幸いです。(誤字あったら教えてもらったらありがたいです)
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