第二十七話 脱落者
【審査まで残り 2分】
モニターの数字が静かに減っていく。
【現在最下位 真白 29】
真白の指が震えていた。
「……どうしよう。」
九条が腕輪を操作する。
「私がもう一度——」
だがその瞬間液晶に赤い文字が表示される。
【ERROR】
九条が眉をひそめる。
「……何?」
凛が覗き込む。
液晶に現れた表示を読む。
【同一対象への再譲渡は禁止されています】
久我が舌打ちする。
「は?」
御影の声が上空から響く。
『説明が遅れましたがポイント譲渡には二つ制限があります』
モニターに文字が浮かぶ。
【一度ポイントを渡した相手には再度譲渡できない】
【最下位の参加者はポイントを受け取れない】
その瞬間空気が凍る。
真白が顔を上げる。
「……え?」
つまり最下位の真白には誰もポイントを渡せない。
久我が吐き捨てる。
「最初から詰んでんじゃねぇか。」
御影が楽しそうに続ける。
『価値とは他者から与えられるもの。それを証明していただきます。』
玲央が静かに言う。
「……なるほど。」
凛が腕輪を見る。
「だから探索が必要ってことね。」
九条が真白を見る。
「端末を見つけるしかない。」
【審査まで 1分40秒】
真白が俯く。
「私が犠牲になれば、、」
久我が遮る。
「勝手に諦めんじゃねぇ。」
玲央が都市を見上げる。
「高さ。」
久我が振り向く。
「何?」
玲央が言う。
「西の端末どのくらいの高さにあった?」
久我が答える。
「三階くらいだったはずだ。それがどうした?」
玲央が頷く。
「この都市は層構造だ。つまり」
凛が理解する。
「同じ高さに端末がある可能性が高い?」
玲央が短く言う。
「まだチャンスはある。端末を探そう。」
【審査まで 1分】
全員が走り出す。
西側。久我が壁を叩く。
「頼む……!」
だが何もない。
北側。朝比奈が橋を駆ける。
反応なし。
「違うか。本当にあんのか?」
南側。立花が通路を走る。
扉を開ける。
その中は空。
「……ない。クソ、ほんと性格が悪いな。」
中央。真白が壁に手を当てる。
コン。ここだけ音が違う。
「……?」
九条が振り向く。
「どうしたの?」
真白が言う。
「この壁……」
九条がそこを押すと壁が開く。
そこには端末があった。
九条が叫ぶ。
「玲央。見つけた!」
真白が端末に触れると腕輪が光る。
【真白 29 → 31】
モニターが変わるかと思われたが
【現在最下位 真白 31】
凛が静かに言う。
「……まだ最下位。真白のポイントが少ない。」
真白が覚悟を決め息を止める。
【審査まで 10秒】
久我が歯を食いしばる。
「急いでもう一個探せ!」
だが時間がない。
【審査開始】
モニターが光る。
御影の声。
『第一審査終了』
そして
『今回は警告のみとします』
久我が言う。
「……は?」
御影が微笑む。
『初回ですのでサービスです。』
モニター更新
【次回審査まで 15分】
御影が静かに言う。
「さて皆さん、ここからが本番ですよ。次からは脱落者が出ます。頑張ってくださいね。」
都市の外縁。湊はまだ都市を1人で歩いている。腕輪が光液晶に映し出されているポイントが変わる。
【湊 114 → 118】
湊が小さく呟く。
「……やっぱり増える。これじゃああいつらと一緒に行動するわけにいかないか。」
不穏な雰囲気が全体に渦巻いていた。




