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読んでいただきありがとうございます

 「あんまり偶然が続くと恐くなるわね」


「向こうの思うツボかもしれません。お嬢様を狙っているんでしょうか。確かに美人で性格も優しくて頭も良くスタイルも良いと欠点なしですけど」


「あまり褒めないでよ、恥ずかしいわ。それにもう結婚する気はないわ。お父様のように外交官になるのも有りだと思っているの」


「あのクズは問題外ですが、お嬢様に相応しい方はおられます。お茶の時間でした。紅茶を持ってきますね」


ララが気を使うように出て行った。


ミルフィーヌは飛び級で母国を出て来たのでまだ十七歳だ。夏季休暇に母と弟が来ると連絡があったのでその時に近しいものだけで誕生日を祝ってもらうことになっていた。


母国なら十八の誕生日は盛大に祝うのが恒例だ。親族や婚約者を招いて大きなパーティーをしなくてはいけないのだ。来年もこちらにいるはずだ。トレイルに来ていて良かったとミルフィーヌは胸を撫で下ろした。





ハロルドから百合の花とメッセージカードが贈られてきた。



麗しのあなたへ


寝ぼけて腕を掴んでしまい申し訳ありませんでした


お詫びを込めて花を贈ります


    ハロルド・ミラー



「麗しのあなたってどういうことかしら、取り敢えずお礼の返事を書くわ。

ララ、便箋と封筒を用意して」


花のお礼と腕のことは気にしないでくださいと返事を書きララに託した。







 母と弟とがやってくる日が近づいてミルフィーヌはソワソワが止まらなかった。

一週間は大使館でゆっくりし、避暑地に三日ほどかけて馬車で行き一週間高原のホテルに泊まる。帰ってきても一週間は大使館にいることになっていた。

もしかするともっといてくれないかしらと密かに期待していた。


自分は案外寂しがり屋だったのかなとこの時ミルフィーヌは自覚した。


母と弟の泊まる部屋は念入りに掃除をさせた。普段からしてあり埃一つないのだが力が入ってしまうのは許してもらいたい。


「リリとララ、母様はお疲れになっていると思うからマッサージをお願いね」


「ご満足いただけるまで存分にいたします。お任せください」


「いよいよ明日ね、早くならないかしら」




翌日、馬車が大使館のアプローチを入ってくると連絡が入ると待っていられなくなったミルフィーヌは玄関まで走り出していた。

「ミルフィーヌ、走ってはいけないよ」という父の声に

つつっとブレーキをかけお淑やかに歩き出したミルフィーヌだが、馬車から父にエスコートされて降りてくる姿を見て母に抱きついてしまった。


「母様会いたかったです。クリスも会いたかったわ。身長がまた伸びたのね」


「綺麗になったわね、ミルフィーヌ。会いたかったわ。活躍は父様から聞いていてよ、頑張っているのね」


「姉さま美人になりましたね、頭が切れると評判ですよ」


「まあ、口が上手になったこと」


「お世辞じゃありませんよ」


「さあ中に入ろう。お茶にしようじゃないか。部屋に案内するよ」


侍女がお茶を持って入ってきた。手早く淹れるとさっと下がっていった。


「素敵なところね、どう?楽しく過ごせている?」


「とても穏やかに過ごせていますわ。暫くここでゆっくりしたら高原の避暑地に行きましょうね。楽しみにしていましたの」


「良いわね、ミルフィーヌの誕生日のお祝いもそちらでするのよね」


「親しい人にお祝いしてもらうのって楽しみです」


「ドレスを沢山買ってきたのよ、他にもプレゼントが沢山。楽しみにしててね」


「母上は姉さまで着せ替えがしたかったようで随分買い込んでいましたから覚悟したほうが良いですよ」


「着せ替え・・・」ミルフィーヌはコルセットを締めドレスを着たり脱いだりすることを考え少しだけ憂鬱になった。何枚も着替えると疲れるのだ。でも愛するお母様の楽しみを奪ってはいけない。頑張ろう。


「会えなかった時に出来なかった分よ、まあお母様のストレス発散かしら、ミルフィーヌ協力してね」


「わかりました。あっお母様、リリとララが素晴らしいマッサージをマスターしましたの。疲れが取れますし若返ります」


「なにそれ、楽しみなのだけど。夕食の前に出来るのかしら?」

ベルを鳴らしてリリとララを呼んだ。


「リリ、ララマッサージの準備をお願いね。お母様長旅でお疲れだからゆっくり癒やして差し上げて」


「かしこまりました。お風呂の用意をしてきますので少しお待ち下さい。奥さまラベンダーの香りと薔薇の香りどちらが今日のご気分ですか?」


「薔薇かしら」

「では用意ができたらお迎えに参りますのでお待ち下さい」



「姉さま何か思いついたの?」

そこで経緯を父と弟に話すことにした。

「領地に帰ったら新しい産業として流行らせようかしら」


「王子妃様から専属侍女にって言われてるじゃないか、忘れたの?」


「私がマッサージをするわけではないから、お母様を代表にして女性のための癒しサロンを開けば、領地が潤うかなって思ったのよ。広告塔はお母様になっていただいて、働いてもらう人材も育てて」


「ミルフィーヌが前向きになったのは良いことだ。その時には父様も応援しよう」


「まだ具体的に何かを考えたわけではありませんのでじっくり時間をかけたいと思います。そうなったらよろしくお願いしますね」



そうしてマッサージをされた母は疲れも取れ若さを取り戻した。




 そして行った高原のホテルは最上階がバルモア家の貸切になっていた。

眺めが良く窓の外は山脈が連なりかなり大きな湖もあった。散歩道には白樺の木が植えてあり木陰を作り出していた。


王都からシェフを引き抜いているらしく宮殿の料理と比べても遜色が無かった。

「来年も来たいわ」

と言わせることの出来る素晴らしい避暑地だった。

明日も朝と夕方投稿します。よろしくお願いします。

誤字とミスを教えていだだきありがとうございました。助かりました。

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