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裏切りはいらない  作者: もも


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読んでいただきありがとうございます

 結婚までの間にやることは沢山あったが、そういえばあまりデートをしていなかったのではないかとノア様が言いだし、観劇やピクニック、カフェ巡り、街歩きを楽しむことになった。


服飾店に行きデイドレスを何着も着せ替えさせられ靴から帽子までコーディネートしてくれるのだ。それもセンスが良い。勿論夜会用のドレスは誂えだから屋敷に来てもらい作ってもらうのだが吊るしまでこれ程とは思っていなかった。


「全部フィーヌに似合うよ、買おう」

「こんなに要りません。身体は一つですし」

「毎日着替えればいいじゃないか。見る楽しみが増える」

そう言われれば断れない。


図書館に篭っていたのではなかったの、というミルフィーヌの疑問は当然だと思う。女性のお洋服詳しいんですね、なんてもやっとした気持ちを言えるわけもなかった。





 ある日マリア様の用事で王太子様に急ぎの書類を届ける用事ができた。

抜け道を知っていたミルフィーヌが中庭に差し掛かったその時、図書館にいるはずのノア様が綺麗な令嬢と笑いながら薔薇の花の前で楽しそうに話しているのを見てしまった。ノア様の手が令嬢の髪に触り、その腕を令嬢が嬉しそうに掴んだ。


その途端ミルフィーヌの足は、縫い付けられたように動けなくなった。

女性は怖い、苦手だ。ミルフィーヌだけを愛してるよと言った言葉は嘘だったの?また騙されたの?ここまで好きにさせておいて奈落に突き落とすの?


悲しくて苦しくて真っ白になった頭は何も考える余裕がなくなって、どうにか踵を返し彼らから見られない所へと逃げていた。



それでもやらなければならないことは身体が覚えていたらしい。溢れそうになる涙を我慢し王太子様の執務室の前にいる近衛に書類を渡すと、リリの待っている自分の部屋にたどり着いていた。



「お嬢様どうされました?お顔の色が真っ青ですよ。取り敢えず座ってください」


「鍵 を か け て。誰にも 会 い た く な い」


「鍵は掛けました。もう安心ですよ。変なやつに襲われそうになったんですか?」


「違うの、言 い た く な い」


「どなたも入れませんし入れません。落ち着くお茶を淹れますね。大きく息をしてください」



お茶を飲み息を大きく吸っても身体の震えは止まらなかった。リリは抱きしめて背中を擦った。


「大丈夫ですよ、大丈夫です。リリがお守りしますからね」




ドアを叩く音がした。誰かの声がした。


「申し訳ありませんが、ミルフィーヌ様は急に具合が悪くなられたようで、どなたにもお会いすることができません。暫く王太子妃様にも休むとお伝えください。看病は私がいたしますのでご心配ないとお伝え下さい」




「嫌なの、嫌なの、人に会うのは嫌。怖い、人は怖いわ、リリ。リリやララたち家族以外信じてはいけなかったのに」

ポロポロと涙が零れて周りが見えなくなった。


「お嬢様、大丈夫ですよ。お守りしますからね」



ここまでお嬢様に衝撃を与えることが出来るのは、あの方だけだろう。何をしてくれやがったんですか?当分会わせない。パニックを起こしたお嬢様をどうやってお屋敷に連れて帰ろうかとリリは考え始めた。


さっき来たのは王太子宮の侍女だった。近衛からミルフィーヌの様子がおかしかったと連絡を受けた殿下が寄越してくれた。直ぐに王太子妃様にも連絡が行くだろう。


さっきのお茶に睡眠薬を入れておいた。眠れば落ち着かれるだろう。お召し物はそのままにしよう。できれば御屋敷に連れて帰りたかった。


眠っている間に王太子妃様に相談できれば良いけど。駄目なら急いで屋敷に帰り奥様の判断を仰ごう。この部屋には内鍵と外鍵がある。外から開かないようにして窓から出ても良い。もうすぐララが来るはずだ。なんとかなる。主の危機にリリは拳を握りしめたのだった。



ミルフィーヌの背中を撫でながらリリは計画を巡らせ始めた。

薬が効いてきたようでミルフイーヌの寝息が聞こえて来た。




扉を叩く音がした。「どなたですか?」「マリアよ」

まさかの王太子妃様だった。違った場合に備えてナイフの鞘に手を当て少しだけ扉を開けた。後ろに見知った近衛と侍女が数人付いていた。


「急にミルフィーヌの具合が悪くなったと聞いて心配になって来てみたの」


「ありがとうございます。王太子妃様だけ入っていただいて良いですか?主が眠っていますので」


「良いわ、お前たちここで待っていなさい」


「信用していただいてありがとうございます。実は・・・」


「それは確かに原因はあの方ね、時間は一時間ほど前ね、確かに王太子殿下に書類を届けてもらったわ。その時に何かを見たのかしら。

良いわ、落ち着く迄休みをあげるから連れて帰りなさい、あの方が何をしたのか確認をしないとね。ここまでになるのも私がいらぬことをクズに話したせいだもの。責任はあると思ってるの。フードを被せて、近衛に馬車まで運ばせるわ」


「はい、なんとお礼を申し上げてよいやら。すっかり克服されたようでしたのに痛々しくて見ていられませんでした」



ミルフィーヌはこうして密かに伯爵邸に連れて帰られた。






ミルフィーヌが具合が悪いと聞いたノアが伯爵邸を何度訪れても、お嬢様は具合が悪いのでと言って家令に屋敷にさえ入れてもらえなかった。



誤字報告ありがとうございます!訂正しました。

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