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裏切りはいらない  作者: もも


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読んでいただきありがとうございます

 結婚式が近づきミルフィーヌ達王太子妃付き侍女はものすごく忙しくなった。

各国の王族への招待状の文字が間違っていないかどうか。国内貴族への招待状の最終チェック。宮殿に飾る花や式場に飾る花の打ち合わせ、披露宴会場とお二人の寝室に飾る花やお風呂に浮かべる薔薇に至るまできりがない。



各国王族への招待状の宛名書きは殿下とマリア様が書かれたが、間違いがないかチェックしておかなければ下手をすれば国際問題になる。外務部の語学の得意な職員が目を通し、もう一度ミルフィーヌがチェックをした。

気を張る作業だった。


「お茶になさいませんか」とワゴンを押して来たのはリリだった。顔を見ただけで気が緩んだ。机の上を片付けソファーでマカロンと紅茶を口にすると疲れが取れる気がした。

「ありがとう、美味しいわ、ほっと一息つけたわ」


「王太子妃の侍女様って大変ですね。教養がないとできない大変なお仕事です」


「支えてくれるみんながいるからよ。結婚式だから王妃様付きの侍女の方もいるし良かったわ」


「凄くベテランって感じですものね。公爵家から来られた方も頼りになりそうな方ばかりで良かったですね」


「マリア様が小さな頃からお仕えしてた方ばかりだそうよ。私お話し相手くらいが良かったわ。まだ料理のチェックとドレスのチェックが残ってるの」


「マリア様のたっての希望ですからね、諦めてください。その代わり仕事が終わったらマッサージしますから」


「約束よ、それを楽しみにがんばるわ」




毎日が慌ただしく過ぎ結婚式当日になった。国の最高峰のレース職人の力を尽くしたウエディングドレスは長いトレーン部分にダイヤが縫い付けられ煌めきを放ち、ダイヤモンドのネックレスとイヤリング、薄いベールの上のダイヤモンドのティアラがマリア様の神々しさを強調していた。


王太子殿下は白の軍服に金のモールが付きエポレットが金色でとても凛々しい。


参列者がお二人に見惚れているのがわかる。なんとお似合いの二人なのだろう。

後で宮廷画家を呼んで描かせるのだろうな。そうなったら私も一枚欲しい。家宝にするからとミルフィーヌは拳を握り締めていた。



ベールガールは殿下の一番下の妹姫様だ。王子様のような男の子はマリア様の年の離れた弟君の小公子様だ。可愛らしさに参列者から微笑みが浮かんでいた。




式は大教会で滞りなく行われ、休憩を挟んでパレードをされた。全ての騎士が気を抜けないところだ。後ろに立つ近衛騎士は神経を張り巡らせ身体を張ってお守りしていた。お城に帰られたらバルコニーに出られて国民に顔を見せられ手を振られることになっていた。


実はご夫妻には防御魔法を掛けさせていただいた。今日一日は有効だ。

お二人にはお願いして内密にしていただいている。


学院でかなり精度を上げ王宮魔術師並みの力を付けたのだ。

もっと実力のある魔術師なら破られてしまうかもしれないが、出来るのは筆頭魔術師くらいだろう。

近衛騎士が守ってくれると信じたい。




魔術はそれくらいなのでそれを活かして生きていこうとかはないが、自分の安全の為に使っている。リリとララとビルの三人はいてくれるだけで安心なので手放す気はない。




その後が披露パーティーだ。そして初夜を迎えられる。守る近衛は二人、扉の前に。侍女は横の部屋でベルが鳴るまで待機する。初夜の支度までがミルフィーヌの役目で、待機するのは公爵家から付いてきた侍女のうちの一人に決まっていた。



三日は蜜月に入られるので漸くタウンハウスに帰れる。サロンにも行ける。

忙し過ぎて半年ほど顔を出せていない。仕事を終えて自分の部屋に戻るとリリにお風呂の世話を頼み、終わると夕食を食べ、後は泥のように眠る生活が続いていたのだ。



「お嬢様、今日のパーティーの為のお支度にかかりますよ。マッサージの間は寝ててください。ドレスになったら起こしますね」


「うん、お願い。もうひと頑張りね」








「お嬢様、起きてください。ドレスを着ますよ。裾にかけて紫色のグラデーションが素敵なシルクのドレスです。奥様の見立てです。真珠のネックレスとイヤリングも届いています」



やはり眠っていた。

「嬉しいわ、リリのマッサージとこのドレスで元気が出たわ」


「それと最高級のポーションを旦那様からいただきました。もうひと頑張りです」


「ありがとう」




そうして結婚披露パーティーが始まったのだった。会場はむせ返るような香水の香りが混ざり、色とりどりのドレスの花が咲いていた。

ミルフィーヌは防御魔法のおかげで匂いから守られ助かっていた。


各国の王族や国内の殆どの貴族が顔を見せていた。王太子殿下夫妻の前には最初に近隣国の王族が、その後には国内の高位貴族という順で挨拶が始まっていた。

会場は騎士団が正装で任務にあたっていた。

庭園にも目を光らせているのだろう。騎士達がピリピリと神経を研ぎ澄ましているのが分かった。

王族はにこやかに対応されていた。




王太子殿下ご夫妻にも遠方の国から来られた大使の言葉で理解が難しいものがあった。その時にはミルフィーヌが呼ばれて言葉を補ったりした。チラッと父の方を見たが頷いてくれたので安心ができたのだった。


そうして恙無くパーティーは続いていたが先にマリア様が抜けられ殿下も抜けられることになった。

ミルフィーヌ達はマリア様の初夜の支度でまたまた慌ただしくなったのだった。


夕方もう一話投稿します。次回はやっとハロルドがアイリスの正体に気づきます。

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