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第三十話 父の遺書、止まる足音

「ごちそうさまー!」

「とても美味しかったです」

「そうかい? 口に合って良かったよ!」


 ふぅー……もう何も食べられん。

流石にハードすぎるわこのラインナップは……


「叔父さん、食器洗って、仕事してるからね! あ、お風呂出来てるから入っていいよ! ごゆっくり」


 なーにがごゆっくりだ。

 叔父さんは食器を重ね、台所へ持って行った。


「……シェダル、先に風呂入っていいよ」

「いいのか? 卓郎さんのニュアンスから一緒に入れって……」

「乗らなくていいから」

「そうかぁ? 別に私は構わんのだが」

「……」


 こいつ羞恥心ってのがないのか? 偏見かもしれないが、ウトピアの連中はこんな奴ばっかりなのか?


「俺ちょっと苦しいから……部屋戻ってる……」

「おう」


 階段を上がり、シェダルは自分の部屋に入った。

 俺も戻ろう……



「はぁー……食い過ぎた……」


「食べた後にすぐ寝ると牛になるぞ!」と言うが、今の俺には無理だ。

 実際、食べた後に横になると消化によくなるとか言うらしい……と言っても、血糖値上がるからどの道良くないんじゃないか? という意見もあるみたいだが。


『なんか昇くん、以前よりも明るくなったんじゃない?』


 叔父さん……あんなこと言ってたけど、そうか?


 そういえば叔父さん、いつもテンション高いけど、叔父さんでも、落ち込んだりすることってあるのかな?

 俺がここ最近落ち込んだことといえば......


『君のお父さんの遺書だ』


 父さんの遺書を受け取った時だ。

 父さんが自殺した数日後に渡された遺書、最初は意味が分からなかった。


『スキル社会が到来し、議員スキルを持つ者のみが議員になる時代が来る、私が再び政界に足を踏み入れることはほぼ不可能だと判断し、死を決断する』


 その意味が分かったのは数日後、テレビで、スキル社会導入が可決された時だった。


 そして俺は鍵スキルになり、みんなから馬鹿にされ、徐々に暗くなった……のかもしれない。


 叔父さんのスキルってなんだったっけ? 覚えてないや。

 変なスキルなんか押し付けられて、嫌じゃないのかな?


 そんな事を考えていると突然、ドシドシと階段を駆け上がる音が聞こえ、そのままその重い足音が、俺の部屋の前で止まる。


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