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青い霧  作者: 田中元一


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第3話―⑥ 空からの別れ

機体は、シンガポール乗り継ぎで西へ向かう。窓の下に、日本列島が連なっていく。

「見て、真君。富士山、雪がない」

「夏の富士山だな」

やがて、九州上空。阿蘇の外輪山が、遠くに見えてきた。

千鶴は、そっと自分の手を握りしめ、小さく呟く。

「……さようなら、お父さん……」

声は、隣席の真一に、かろうじて届くほど。

頬を伝う涙は、絶望だけではなかった。感謝と、哀しみと、そして――静かな決別。

真一は、窓の外を見つめながら、心の中で告げる。

(……千鶴は、俺が必ず守ります)

そっと手を握ると、千鶴は驚いたように顔を上げ、微笑み、さらに強く握り返した。

機体は、ゆっくりと進路を西へ。

小さくなっていく日本列島の向こうに、静かに――地中海への道が続いていた。


―――――――――――次回予告――――――――――――――ー

舞台は再び、警視庁特別捜査本部へ。事件は、まだ終わっていない。

静かに積み重ねられてきた違和感が、やがて一つの「確信」へと変わっていく。

――――――――――――――――――――――――――――――――――


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