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 月光の森での収穫の一つに、五尾のレベルがあった。

 かあちゃん曰く、


『おんしらの言うレベルとやらで言えば、75といったところかのぉ』


 だそうだ。


 ……75か……ふ、ふふふ。

 最近のレベリングでめきめき上がったが、それでもまだ54だぜ。21も差があるじゃん。

 余談だが、アオイの話しだとかあちゃんの方がとうちゃんよりずっと強い――と本人が言っていたと。

 99だな。絶対99だぜ。


「あぁぁーっ。せめてあとレベル15、いや18は上げねぇと無理ゲー過ぎるだろっ」

『そう、ですね。しかし急ぎませんと』


 月光の森から戻った翌日。朝から受付嬢とレベリングに来ているが、一昨日上がったばかりだし、いいとこ夜まで頑張らなきゃ上がりそうにねえな。


「今の最高レベルってどのくらいなんだろうな」

『……えーっと、57ですね。それほどカイト様との差はありません』


 サーバーから情報を取りやがったな。まぁサポートAIの特権みたいなもんか。

 57かぁ。こいつがら70近くになるまで、どのくらい掛かるか。

 レベルが上がれば上がるほど、次のレベルに必要な経験値は増える一方だし、敵だって強くなってくる。

 今一日でレベルを一つ上げられていても、レベルが60になっても同じかといえばそうじゃなくなってしまう。

 それに――


「五尾は全然動かないようだが、町を襲撃したりとかしねえだろうなぁ」

『……解りません。五尾に関する情報は全て覗けなくなっておりますので』


 しゅんっと肩を落とす受付嬢。

 お、お前が落ち込むことなんかねえし。

 こいつが頑張って情報を覗き見しようとしてくれていることは俺にも解る。

 だから……とりあえず、撫でておこう。


『はっ。な、何事ですか!?』


 ばっと俺から距離を取り、なでてやった頭を抱える彼女。

 そんなに警戒することか?


「いや、ちょっと頭をだな……」

『え? 寝癖でも付いていましたか? いやだ、恥ずかしいっ』


 そう言ってとととと走っていき、少し離れた所でインベントリから鏡と櫛なんかを取り出しはじめた。

 おいおい、いつの間にあんなもの持ち歩くようになったんだ。寧ろレベリングに必要か?

 それとも――

 なんかこいつが普通の、どこにでもいる女と変わらないんじゃなかろうかと思えてしまう。

 手鏡を見ながら髪に櫛を通す仕草が、なんとも可愛らしく映る。


『ど、どうですか?』


 頬を染めてそう尋ねられると、俺の心臓はどっきゅんとした。


「ど、どうって……。い、いいんじゃないか? うん、いいよ」

『そうですか! よかったぁ〜』


 胸を撫で下ろすとようやくこっちに戻ってきて、再びレベリングを再開する。


 レベルを上げて、アオイのとうちゃんと一旦(・・)は倒して、願いを叶えて貰ってログアウトする。

 でも、必ずまたログインする。

 こいつに会う為に。


 なーんて、かっこつけて言えればいいんだけどなぁ。

 はぁ……。






 五尾のレベルは既に他のプレイヤーも周知となっていた。俺らが情報を流したからな。おかげで野良パーティー募集も盛んになり、全体的なレベルの底上げも出来ている。

 ただそれでもレベル75までは遠い。


 ある日、どこかの馬鹿が五尾に挑みに行きやがった。もちろん勝てる見込みなんてないし、本人達も勝つつもりは無かったようだ。

 目的は五尾の戦闘情報の入手。

 奴の属性はなんだとか、特殊攻撃はどんなものなのかとか、そういうのを調べたかったようだ。

 結果、奴は聖属性だというのが解った。それ以外は解らなかったみたいだ。なんせレベル差があり過ぎて一撃死だからな。


 また別の日。違う馬鹿が五尾に特攻していった。

 結果、奴が闇属性だというのが解った。


「ってどういう事だよ!? 聖じゃないのか?」

「そう思って今度のパーティーは闇属性の武器を用意していったらしい。だが、最初の一撃だけダメージを与えた後は、ダメージがそのまま回復になったと。他属性の魔法攻撃は相変らずだったそうだがな」


 ちょ、回復って……。

 聖属性モンスターの弱点は闇だ。

 厄介なのは闇属性の攻撃魔法が現時点では存在してないという点だ。だが魔法が効かない訳じゃない。だからといって有効でもない。なんせ聖属性は闇以外の属性の効果を半減させちまうからな。

 ちなみにレベル差がありすぎるので、中てるのも至難の業らしい。

 そんな状況で特攻する勇者に合掌。


 しかし――

 まさか属性チェンジでもしてるのか?


『カイト様。九尾様が仰っていた、気が穢れているというのがどうも引っかかります』

「ん? そういやそんな事言ってたな」

『聖獣ですので、それを考えれば聖属性は当たり前だと思うのです』

「それもそうか。じゃあ何かの理由でとうちゃんが穢れてて、闇属性にもなってると?」


 こくりと受付嬢が頷く。

 まぁ戦略的なものなんだろうが、聖と闇がころころ入れ替わる可能性ってのが出てきたわけだ。

 よりにもよって聖と闇かよ……。


 聖属性に有効なのは闇属性。

 闇属性に有効なのは聖属性。


 闇は武器に付与するぐらいしか出来ないが、聖ならプリースト系が使う攻撃魔法が全部聖だ。

 とはいえ、どのタイミングでチェンジするか解らねえと、かなり苦労しそうだなぁ。


 更にこの翌日――


「属性が変わる法則がわかったそうだ」


 食堂で飯を食っている時、教授が俺たちに告げた。


「弱点属性の攻撃がいっぱつ中るたびに、自身の属性を変えている――と」


 それ、反則じゃね?

 タコ殴りが基本の巨大モンスター討伐イベントで、一発ごとに属性変えられたら……タイマンでもしろってのか!?

サブタイトルネタがもう……

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