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134:カジャール襲撃イベント2

『ベナムクラッシャー』の効果時間は二十秒。その間に同じスキルを重ねがけすれば、持続ダメージ量が増加する。

 重ねがけは二回まで。ただ、三回目からは持続時間を上乗せできるのか、それともまったくの無意味なのかが解らない。

 美味くエリートコボルトどもを一纏めにして、俺にだけヘイトが集まるようにする。


「受付嬢、お前はキングにだけ集中攻撃だ。雑魚には一発も食らわすな。あと範囲攻撃があっても、雑魚に中らないようにしてくれよ」

『はい。承知いたしました。しかし、何故ですか?』

「何故ってそりゃあ、一発でも攻撃があたったら、ダメージ量に差が出るだろ」


 差が出るのは、蓄積されるダメージ量だ。

 あるコボルトには毒ダメージしかない。あるコボルトはそれプラス別の攻撃によるダメージもある。

 持続性のある毒攻撃を食らっていればいずれ死ぬ。

 だが、ダメージ量に差が出てしまうと、死ぬタイミングにずれが生じてしまう事になる。

 そうなると、確実に再召喚されてしまうからな。


 俺が確かめたいのは『ベナムクラッシャー』で多種属性モンスターに等しくダメージを与えられるか。

 ということと、

 全部を同時に倒すことでも再召喚が起こるのかどうか――だ。

 再召喚される場合、各属性ごとに生き残りを一匹用意して再検証する予定だ。

 その為にもまずは、一発も殴らず、毒ダメージだけでコボルトを倒す必要がある。


『なるほど、そういう事でございますか。では、ワタクシはコボルトキングにだけ攻撃を集中いたします』

「おう。コボルトキングはどうやっても俺にヘイトを向けてくるから、お前は背後から攻撃してくれ。俺は上手く自分の後ろに雑魚を集めて、出来るだけ回避に専念するから」

『はいっ』






 スキルのCTが十五秒というのもあり、CT空け直後に重ねがけ。

 残念なのは、二回目以降の致死毒状態を持続させることが出来なかった事か。

 効果が終わった後、またいちから『ベナムクラッシャー』を掛け直さなきゃならない。

 コボルトキングの攻撃も躱しつつ、致死毒ベナム状態の三試行目でエリートコボルト集団を死滅させることが出来た。

 よし、こいつらHPは全部同じだったようだな。助かったぜ。


「さぁ、雑魚はいなくなったぜ。呼ぶのか? 呼ばないのか?」


 単騎となったコボルトキングと対峙する。

 ふぅ、ギリギリで生き残ったな。さすがに取り巻き雑魚がいる間はバカスカ攻撃も食らったし。ポーションがぶ飲みだったぜ。

 だが、回避率もこいつ一匹ならフルで機能する。

 勝負はこれからだっ!






「遅くなってすまん」

「生きておるであるか?」

「ごめんっ。すぐに体勢整えるからねっ」

「カイトぉ〜。これぇ〜」


 暫くして皆が駆けつけてくれた。

 アオイが投げて寄こしたのは短剣。

 刃の部分がやたらと真っ赤な、妖しい雰囲気をかもし出した品物だ。


「ソルトからか?」


 そう尋ねると、アオイはこくりと頷いた。

 ココットからふる支援を貰い、鋼のおっさんが俺とコボルトキングの間に立ち塞がる。

 どうやっても奴のヘイトは俺に来てしまうので、攻撃を直接おっさんの二枚盾で防ぐ作戦だ。


 周囲にエリートコボルトの姿は無い。

 奴等を一掃して数分間だが、再召喚される気配も無い。


「どう、して?」


 みかんの疑問に、俺がやった『ベナムクラッシャー』の事を説明した。


「全属性コボルトを同じタイミングで殺した――か」

「あぁ。毒属性コボルトとかいなくてよかったぜ」


 実際モンスターには毒属性の奴もいるからなぁ。まぁ種族が動物で毒属性つったら、そう多くはないしな。蛇とか蛇とか……。毒攻撃を仕掛けてくる動物型モンスターはいるが、だからって毒属性って訳でもないからなぁ。

 とはいえ、まだ再召喚されないと決まった訳じゃない。気を抜かず、何時でも再召喚に備えておかなければ。

 その為にも皆に『リカバリーレジスト・ポーション』を配っておく。数はそれほどないので、前衛メンバーだけだ。後衛はヒーラーからの『リカバリー』を貰ってくれと頼んでおく。

 あとはコボルトキングのHPを削っていくだけだ。


 コボルトキングの大振りな攻撃モーション。

 あれを食らったら俺は即死だな。


「ってことで、おっさんの隙間から――『カウンター』だっ!」


 振り下ろされる拳に合わせて、意識を集中し、ソルトから貰った『コボルトキラー』を閃かせる。

 常識で考えれば、ショベルカーに人間がナイフで挑んでいるような、そのぐらいのサイズ差がある。

 が、ここは――な世界だ。

 そんな常識、通用しないっ!


 コボルトキングの拳が地面に打ちつけられる前に、俺の短剣が奴の拳に触れる。

 その瞬間、コボルトキングは悲鳴を上げて拳を天に向って突き上げた。


「よっしゃ! スキルキャンセル出来たぜっ」

「よくやったぞいカイト」

「やったわね。これで死人が出ずに済むわ」

「とか言ってるわりに、皆俺の後ろから逃げてんじゃねえかっ!」

「だってぇ〜、カイトさんの後ろにいたら、死にやすいですよぉ〜」


 こいつら、よく解ってるじゃねえか……。

のんびり更新再開です。

*6/8:みんなと合流した直後の毒属性動物のくだりを少しだけ弄りました。

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