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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
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「とりあえず全員課題提出お疲れ様!」


月が変わった10月1日。


前日の課題提出と本日午前中の歴史レポート提出が終わり、昼食時間にジュースではあるがみんなで乾杯した。




「今日も午後の授業は中止だったっけ?」


「そうだよ。」


実技の授業は先週も2回とも中止になり、今週も中止が決定している。



許可をとれば多目的室の使用はできるため、先週の木曜午後はティーを使った擬似鬼ごっこをした。



「ミリアのティーからは完全に逃げ切るのは難しいな。」


今日も午後から多目的室を使って何をするかと言う話をしている時にテルマがそう言った。



「鬼ごっこして全員瞬殺されて、ミリアに目隠ししてもらってコウヤのティーが逃げ切れるくらいだもんね。」


正直視界に入っていれば逃す事はないだろうと思っていたため、試しに視界を塞いでみた。


結果としては視界がなくなった分音に敏感になり音のする方に投網のようにティーを放つだけで捕まえられる。


例外としてコウヤのティーだけは飛ぶスピードが速く必ず捕まえられるとは言えなかった。




「あれは結局ミリアの意思で動かしてるの?それとも別の何か?」


「うーん、正直私にもよくわかってない。」


ティーへの指示はあくまでお願いのかたちだ。



何かをしてほしい、こうできますか。常に命令にならないように心がけている。



「それは先輩からの教え?」


「うん、そんなところ。」



底が知れないなら、もし全てを出し切ってもできない命令はしない方がいい。




その底もわからなければ命令したことによって不都合が起きないようにできる予防策の結果だった。





「僕のティーが完全にミリアのティーを新しいおもちゃだと思ってる。」


足元にあると思えば急に目の前に現れたり、足を持ち上げひっくり返されたり捕まえようと思ってもなかなか捕まらなかったり。


テルマのティーにとって気まぐれでもなく、手の届かないところに逃げるわけでもなく。


ワンと元気に返事するその声はテルマが訳してくれなくてもわかるほど楽しさが伝わってくる。



そしてまた遊んで欲しいと寄ってきたシロイヌのティーをジッと見つめ影を動かす。


最初は全力で遊んでいたシロイヌが、昨日今日は緩急をつけ始めた。



シロイヌなりに全てを追っていては捕まえられないと悟ったのか、それともテルマの入れ知恵か。





「・・・・!」


その瞬間は突然だった。



シロイヌが影に対して初めて体当たりが成功した。


しかし影に強くぶつかればその後に起こることはつい最近経験している。




テルマが何かを感じ取って見たのは影の中に体の半分を突っ込んだ状態で尻尾を振る自分のティー。


驚いているテルマや他のみんなの顔を気にしている余裕はなかった。




思わず両手で耳を塞ぐ。


それでも聞こえてくる声に混乱する。




「ミリア!ミリア!!」


横で大声を出すミチカの声が他の声にかき消される。



(泣き声…?とにかくたくさんの子供の泣き声が聞こえる…。)


それはほんの少し離れた場所でたくさんの生まれたばかりの子供が泣いているような声だった。



そのほとんどが何を訴えているのかもわからず、ただただずっと聞こえてくる。


ほんの少し後、ハッキリと聞こえる声があった。





『…ほしい、…ほしい。あのこが、あの…。』


突然聞こえた声は、また突然その他の声と一緒に聞こえなくなった。


少し顔を上げてみればシロイヌがこちらを見ながら尻尾を振っている。




汗がどっと額や身体中からあふれてくる感覚。


ボッと頭が熱くなったかと思うと、水をかけられたように冷えていく。


それと同時にボヤける視界。





ミチカの慌てる声とみんなの慌てふためく様子を他人事のように見ていた。


ほんの数秒後意識が途切れるまでの間だけ。


次に目をあけた時には同時にたくさんの声が聞こえてきたが、その全ては知っている声だった。




「私、どれくらい寝てた?」


その声を聞き取ったコウヤとユウガが振り返り、顔を覗き込む。




「ミリア!大丈夫?」


ユウガがそう大きな声を出したことによって、他のみんなにも起きたことが伝わったようだ。



「私は大丈夫。」


「大丈夫なわけないでしょ!!」


聞かれたことに対して答えた言葉にミチカの大声がかぶる。



とりあえずミチカをなだめながら何が起きたのかを聴く。


どうやら、突然両耳を押さえたかと思ったら急に顔をあげそのまま後ろに倒れた。


何が起こったかわからず、先生を呼びに行くかと話していたところで意識を取り戻したとのことだった。





「それで、ミリアの方は何が起こった?」



状況を整理し改めてコウヤが問いかける。





 

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