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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
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38




カチッ。


階段を登る途中、何かを蹴った音がしてそれを拾い上げる。



「ミリア、それ昨日無くしたってって言ってたペン?」


「たぶんそうだと思う。」


でもおかしい。



「昨日、多目的室になんて来たの?」


首を横に振る。


昨日は午後の授業時間中は常に誰かと一緒に居たし、そもそも用事がないのに来る必要もない。



「2人ともどうしたの?」


先に行っていたユウガが階段の上から声をかけてくる。



「ミリアが昨日無くしたペンがここに落ちてたの。」


ミチカが完結的に状況を説明する。



「どこかで拾ったのをまた誰かがここに落としたのかな?」


「そんなめんどくさいことする?」


「そうだね、落とし物を拾ったらまず先生か教職員室に持っていくだろうしね。」


「だとしたら、いたずら?」


「でも、ミリアが無くしたのって1211室だったんでしょ?」


あの時いたメンバーは限られてるし、わざわざ他のクラスの人間がこっそり侵入したとも考え辛い。



「それにこんなわかりやすいところに落ちてるのに授業前にここを通った時は誰も気が付かなかったよね?」


「うーん…。」


これは考えても答えは出なそうだと思考が捻る。



「とりあえず部屋に戻ろう。」


2人をそう促して急いで階段を登る。







「そういえば、落とし物や無くし物って結構多いらしいよ。」


着替え中にミチカがそう言い出した。



「先週のクラスミーティングで先生が言ってた。最近Sクラスに限らず無くし物をする生徒が多いって。」


「そうなんだ。」


新生活にまだ慣れてないのかはたまた浮き足立っているのか。



「で、それが他のクラスで見つかったり、棚の上とか外の植木の中とか変なところから見つかることが多いんだって。」


「何それ。」


わざわざ他の部屋にあるのはいろいろ可能性が考えられるが、棚の上や植木の中はあまり考えたくない可能性が出てくる。



「誰かがティーを使ってイタズラしてるんじゃないかってもっぱら噂になってるよ。」


「なるほどね。」


やっぱりそういう考えに至るのはよくわかる。


わかりたくないが、可能性としてありうるのだから疑われて仕方ないというところまである。



「それ以外にもいろいろあるのに問題起こさないでほしいわよね。」


いろいろという点について聞こうかとも思ったが、部屋の外に人の気配を感じた。


ミチカは着替えが終わり、走り回って毛がボサボサになってしまったティーをブラッシングしていたためまだ気づいていないみたいだ。



扉を開けると扉の横にタモンが立っていた。


「…迎えに来たが忙しかったか?」


「いいえ、授業は終わったので。荷物をまとめるので少し待ってもらってもいいですか?」


「わかった。」


タモンの返答を聞いて一度扉を閉める。



「ミチカ、ごめんみんなに伝えておいてくれる?」


まだ授業時間的には余裕があったためみんなで作戦会議という名のおやつ会をしようという事になりユウガとは階段を上ったところで別れた。


なのでそちらには参加できない旨を伝えてもらうことにした。



「わかったわ。でもミリアも疲れてるでしょうからこれ持って行って。」


そう言って小さめのバスケットを手渡してきた。


バスケットの中身は瓶のジュースが2本に残りのスペースは入れられるだけのお菓子が詰まっていた。


タモンと話している短時間に用意してくれていたみたいだ。



「ありがとう、ミチカ。」


「私は明日も朝から来て勉強してるから、また明日ね。」


水曜日は授業予定は決まったものは入っていないが、ミチカは朝から来るようだ。



「わかった、また明日。」


そう伝えて、受け取ったバスケットを影の中に入れて部屋を出る。



「お待たせしました。」


「行こうか。」


タモンは先ほどと変わらず扉の横の扉に寄りかかるようにして立っていたが、歩き出す瞬間ツンっと何か小さな音が聞こえたような気がするした。




クラブハウスの前まで車両が来るとタモンは他に用事がある、何かあればアズハがいるはずだと言い残してさっさと行ってしまった。


自分の部屋まで上がる間にも誰かに会うことはなかった。


相変わらず椅子とテーブルしかない。


ミチカから受け取ったバスケットを出しテーブルの上に置く。


椅子に座れば大人用の大きな座面は広すぎて、靴を脱いで膝を抱えるようにして座ってもまだ余裕がある。


そうやって座れば 硬すぎず柔らかすぎず包まれているような感覚がやはり妙に心地良い。


ジュースを取り出し口を付けると受け取ってからそれなりの時間が経っているはずなのにとても冷たい。


ジュースを置きお菓子を一つ口に入れながら考える。



(自分だけのティールーム…。)


全くイメージができない。


姉さんのように思い出の場所を造ろうにも育った街での記憶は自宅と教会と街の外に広がる畑。


好きなもので飾るにしても好きなものって何かと聞かれて即答できない。



(例えば、みんなで昼食をとる暖炉の前、みんなで勉強する大きな机。夜空の綺麗な2階の部屋、彼女が用意してくれるご飯が並ぶダイニング…。)


近しい記憶から楽しい思いっでの場所を思い出していくそのどれもが何か共通点があるかと言われればそんなことはなくシチュエーションも様々過ぎてまとまらない。



(明日なるようになるかな…。)


自分1人で解決できない時は頼れる人に頼る。


今すぐでなくていいと結論づけて思考を諦める事にした。




時間が過ぎ姉さんが帰るように促してきた。





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