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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
38/276

37




「最初は誰になった?」


「私です。」


みんなで壁沿いに並んでいたが、呼ばれたため前に出て返事をする。




「ミリアさん、昨日ぶりね。」


1羽のハトがユノカの方に飛んでいき肩にとまった。



「私のティーは見ての通りハト。ハトって近くによることはできてもいざ捕まえようと思ったら大変なのよ。」


ハトに限らず鳥類や動物は自分に意識が向いた瞬間がわかっている節がある。


無関心なほど近くに寄ってくるがいざ目線を向けると何もしていないうちから逃げていく。



「それじゃあ、スタート!」


ユノカの大きな声に数羽のハトが飛び立つ。しかしまだ床を歩いているハトもいる。



(全部捕まえるなら、やることは一つ。)



自分の足元に目を向ける。


濃い影にしっかり意識を集中させ、しゃがみ込み声をきちんと下に届けるように話かける。



「羽ばたく彼らを捕まえてください。」


ハトたちの影が一瞬濃くなったと思ったら一瞬にして居なくなった。


空中を飛んでいたハトたちは遠い床から伸びる影に捕まったと思った瞬間その場から消えた。


最後の2羽のハトが一生懸命に羽ばたき逃げるが、自身の影から逃げることはできず捕まる。


一瞬の静寂の後、足元の影に手を入れ掴み出したそれは影でできた大きい鳥籠でそこにはしっかり10羽のハトが収まっている。



「こんなにアッサリおわる!?」


そう言ったのはユノカだった。


檻の形になっていた影を崩しハトを放す。



「上手くいってよかったです。」


「実技試験の時みたいにはしなかったんだ。」


「あの時は全部が見えてない空間だったので。」


それにアレをまたやればクラスのみんなも巻き込んでしまう。



「まぁ、いいわ。ミリアさん、課題クリア!!」


次の子と交代と言われ小走りでみんなのところに戻る。


途中、2番手のテルマとすれ違う際、手を挙げて来たのでハイタッチを交わす。



「一発合格おめでとう!」


「ありがとう、テルマもがんばって。」


短くそう言葉を交わした。




その後はひたすら見学をする時間が続いた。


2番手テルマが10分で捕まえられたのが2羽。


3番目のコナミはペンから出した線で捕まえようとするもその伸ばせる距離が足りず0羽。


その次のミチカは最初こそ効率よく捕まえていくが高い位置を飛ばれると手も足も出ず半ばやけになったようになり3羽。


コウヤはユノカと能力が同じく数を増やせるということだったが、コウヤのツバメは増やせる数の最大が7羽。飛んでいるハトとぶつかって体制を崩したところを捕獲していたが、ハトの方が体格が大きいので大したダメージにならず逃げていくことが多く結果6羽。


最後のユウガは自身の体ごと変身してキツネの姿になるが、明らかな捕食者にハトたちの緊張感がまし逃げまどったため捕まえられたのは最初に奇襲できた1羽。




「一度みんなで作戦タイムとりましょうか。」


ユノカがそう声をかける。


息を荒げて変身を解きながら戻ってきたユウガを交えて円形に座る。



「とりあえずクリアしたミリアはいいとして、何をどう改善しようか?」


「どうしたものかなぁ。」


各々頭を抱える。



「ミチカとコウヤはいい感じだったと思う。できることがあるとすれば、ミチカはティーのサポートに回って捕獲の補助に専念。コウヤはみんなで追いかけるんじゃなくて、追う子と逃げ道を塞ぐ子とぶつかっていく子にや配り分担してみたらいいかも。」


参考までにしてと付け加える。



「コナミは線で追うのは動物相手にはきついかも。だから線で何か捕獲に適した形を作った方がいいと思う。それから、ユウガは変身するなら違うもののほうがいいかもしれないね。」


「僕は?」


最後に残ったテルマだが、彼が1番どうすればいいかわからない。



「テルマはそもそも能力がよくわかってないんだけど、教えてもらってもいい?」


テルマは白イヌを連れているが、その能力がいまだによくわからない。だからアドバイスのしようがない。



「あっ、そういえばミリアには言ってなかったね。僕のティーは僕がわかる言葉で話してくれるんだ。」


ワン!とティーが吠える。



「みんなには鳴き声にしか聞こえないと思うけど。僕には普通に喋ってるように聞こえてるんだ。それでティーたちは僕たちにはわからない言葉で会話してるんだけど、僕のティー経由ならその言葉を伝えることができるよ。」


「ごめん、予想の2、3倍くらい上を飛び越えてたわ。」


完全に予想外の能力だった。



もはや見た目からは想像も連想もできない能力があるということを知った。


そのタイミングでユノカがあと10分くらいで2回目の挑戦を始めると声をかけてきた。




とりあえず作戦相談時間を有効に使うため、テルマ以外は先ほどのアドバイスを参考に動きの考察と練習をすることにした。





「そうすると、先生のハトも何喋ってるかわかるってことだよね?」


「それが先生のハトは10羽とも数字をずっと喋ってるみたいなんだ。」


「それって、2、3個の数字?それとも0から9まで全部使ってる感じ?」


「実際に見ながら聞いてもらった方がいいかも。」


ユノカはハトを出しっぱなしにしている。


今はその全部が床にいる状態だ。


「今ほとんどのハトは『5』って呟いてる。2羽だけ『8』って言ってる奴がいるみたい。」


フロア上を見渡す。


2羽だけが違う数字を言っているということは何か条件があるということだ。



「どれか1羽だけの声に絞って聞くことってできる?」


ワン!とテルマが答えるよりも前にティーがこたえた。



「あの頭に白い線が入ってるハトだけ言葉を教えて。」


「わかった。」


1番手前に居てなおかつ他のハトたちから少し離れたところにいる1羽に狙いを定めた。



「5、5、5…」


テルマがティー経由で聞こえた声を代弁してくれる。おおよそ1秒に1回と言ったところだろう。



「5、5、7、9、8、8、8…」


ハトの足元の影をほんの少し動かしてみる。


イメージとしては人差し指で足先を突く感じだった。



何か得体の知れないものに触れられたと感じたハトはすぐに飛び立った。


その瞬間に数字にも変化があった。



「僕、なんとなくわかったかも。」


先に声を出したのはテルマだった。



「これで捕まえられそう?」


「全部は結構運が必要かも知れないけど、1回目よりは行けるはず。」


ワン!


どうやらティーの方がやる気と自信があるようだ。





「はい、みんなお疲れ様!今日全羽捕獲できなかった子たちは木曜日の午後にもう再挑戦ね。合格できた子は木曜日の授業は参加自由よ。」


それじゃあ、今日の授業はここまで。

そう言いユノカは鼻歌を歌いながら一足先に部屋を出ていった。




「結局合格できたのはミリアとテルマだけだったね。」


床に手足を伸ばして寝転びならミチカが言った。



「みんな2回目は記録伸びたし、木曜日は1発合格を目指そう!」


そう言いながらユウガも同じように寝転ぶ。



「たぶん、ミリアもテルマも捕獲の仕方は俺たちには流用できそうにないよね。」


「それはそうだね。」


能力の使い方が特殊すぎる。それに尽きる。



「さぁ、上に戻ろうか。他のクラスの授業が終わる前に。」


テルマの掛け声で、みんなで立ち上がり部屋を出る。





オンラインゲームとか好きですよ(今はほとんどやらないけど)

モンハンフロンティアとか一日中やってたのはいい思い出。

でもあの頃の操作って左手操作が多かったなぁ…。

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