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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
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27/419

26




「確かにそれは書かなくて正解だったかもな。」


「えっ、今のどうやったの?っていうかどういうこと?」


タモンは納得し姉さんは軽くパニックだった。



「中に入れられるものに上限があるのかもわかりませんし、自分が入った後に移動したはずの距離と出た場所が微妙にずれている気もするしで本当に未確認の要素が多いんです。」


「物と自分自身は入れることを確認してると。」


「そうですね。できれば他の人も入れるかとか確認したい気もするんですけど。」



姉さんをチラッと見るが、まだ理解が追いついていないのか落ち着くために飲み物を一気に飲んでいた。




「気になるならやればいい。」


タモンはそう言って立ち上がった。


「アズハ。お前も協力しろ。」


そう言うと姉さんの方へ行き腕を引っ張り立ち上がらせる。



「へっ?」


「能力の底を知るのに先輩の協力をお願いすることはよくあることだ。」


「それもそうね。正直興味はあるし。」




そこからどうするか簡単に話し合った。


自分1人で入る場合は濃い影の上で意思を持って動けば入れる。



「とりあえずミリアが俺たち2人の手を持った状態で入る。中の状態を確認したら戻ってくる。それでいいな。」


「了解。」


「それじゃあ、2人ともお願いします。」


手を肩より高い位置で差し出した。


何の躊躇もなく2人が手を取るのを確認して足元を見る。



今は自分の下にだけ存在している濃い影をゆっくりと広げる。



3人が入って十分な大きさまで広がったところで大きく息を吸った。



「…行きます。」


今回は意思だけで入ることができた見上げると、3人一緒に入ることができたようだった。





「ここが影の中か。」


数秒の落下感が終わりしっかりと足で地面を踏んでいる感覚が伝わってきた頃にタモンが言った。



「何にも見えないわね。」


「正直立ってる場所もよくわからないのにアズハとミリアはしっかり見えてる。」


「私はたぶんこのあたりが地面で見上げた先に何となく天井がある気がするって言う感じですね。」



3人が3人それぞれの感想だった。


思えば影の中がどうなっているかをしっかりと考えた事はなかった。



「ミリア、少し手を離してみてもいいか?少し離れてみて、変わりがないか確認してみたい。」


「とりあえず、二、三歩ずつお互いが見えるか離れて見ればいいのね。」


「わかりました。」


2人の意思を確認したあと、手を離す。




すぐに動き出すかと思ったが一向に動かない。


2人の顔を見ると驚きを通り越して恐怖の表情になりかけている。

すぐに2人の手を取りなおおした。



「大丈夫ですか!?」


大きな声に2人がハッとする。



「どれくらいの時間だった?」


タモンがやっとの思いで絞り出したかのような声で言う。



「30秒くらいだと思います。」


その言葉にもまた2人が驚いたような顔をした。



「今のところはミリアが起点になってるみたいだな、」


よく理解できなかったが、少なくともタモンの中では何かしらの答えが出ているようだった。



「一度出ましょうか。」


「わかりました。」


出たいと願えば、床が上がっているのか天井が下がっているのかあっという間にもといた部屋の床に戻ってきていた。



「・・・・。」


影が元の大きさまで戻ったことを確認して2人の手を離した。


すると、緊張の糸が切れたのかドッと倦怠感のような感覚に襲われる。



「ミリア、大丈夫?」


「結構、きついですね。」


膝に手をつき大きく深呼吸するが、耳元で心臓が早鐘を打っているかのような感覚に襲われる。


姉さんがバクを出し目の前に差し出すと、バクは額にくっついて小さな声で鳴く。



「いきなりはやっぱりキツかったわね、少し休みましょう。」


姉さんの言葉が最後まで聞き取れるかどうかと言う感じで急な眠気が襲ってきて瞼が重くなってきた。







「おっと…。」


眠ってしまったミリアの崩れる体制をタモンが受け止める。そのまま持ち上げてそっとソファーに寝かせる。


バクは寝ている胸の上に座り小さく上下する感覚を楽しんでいるようだ。



「アズハはどうだった。」


「どうだったって言うのは?」


「手を離した瞬間、俺は2人が全く見えなくなった。」


静かな部屋にアズハの息を呑む音が不自然に響く。



「それどころか自分の手足すら見えなかった。正直立っていられたのが不思議でならない。」


「私もほとんど同じ。全ての感覚を取り上げられたような不思議な感覚だった。」


「あの世界はミリアと繋がりがあって初めて存在することを許されるみたいだな。」


そうタモンは納得したように言った。



「先輩のティーを使えば状況は変わりそう?」


「たぶんな。でもそれを使うのはきちんと本人に確認してからにしたい。」


そう言いながらタモンは荷物をまとめ始める。



「先輩はもっと強気な態度で後輩に接することをした方がいいと思うけどね。」


アズハは改めて飲み物で喉を潤しながら言った。



「それを1番嫌うのはアズハだろ。」


「私は嫌いよ。でも、『フル・オブテイン』にはそうであってほしいと思っている人がたくさんいると思うわ。」


「…その二つ名は嫌いだ。」


そう言いながら荷物をまとめたタモンが玄関へ向かう。



「ミリアの事は任せた。クラブの時間はしばらくの間、俺が迎えにいく。それからさっきのことはあまり人に言わないように、2人ともだ。」


「了解。先輩はとりあえずこの後お気をつけて。」


アズハはそう言いながら手を振る。



「俺が誰かに刺された時は自業自得だと笑ってくれ。」


そう言いタモンは家を出た。




 


二つ名ってめっちゃ中二病感がありますね。

この章ではあと二人出てくる予定。(名乗らない人は除く)

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