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次に複数種類のクッキーがのった皿をテーブルに出すと、袖を引っ張ってくる。
「えっ、何?」
「あぁ、たぶん着いてきて欲しいのよ。きっとこの家の新しい主人にこの家の中を案内したいんだと思うわ。」
姉さんがそういうとまたニコッと聞こえてきそうなほどの笑みを浮かべて頷いた。
「私はここで待ってるから案内されてきなさい。」
「わかりました。」
立ち上がるとそれを確認するように先に歩き出す。
まずは一階の中央にあるテーブルからさらに奥。
キッチンにトイレ。
1番奥の扉に入らず突き当たりには洗面台。
扉を入って脱衣所とその奥に広々としたバスルーム。
それを確認した後一度部屋に戻り姉さんの居る談話スペースの少し手前、暖炉の横にある折り返し階段を上る。
上がってすぐに広々とした廊下だが窓からは湖が見えており、窓に沿うように長椅子も置かれている。
すぐ手前のトイレとその奥にある寝室は、この部屋だけで一人暮らしには十分だと思えた。
1番奥の部屋の手前にはまたキッチンがあったが、こちらは一階にあるものほど本格的ではなく簡易的なものだった。
そして1番奥の部屋の扉を開けるととても眩しく目を強く閉じてしまった。
手で日よけを作って目を開けると、正面の壁一面が柱と窓。そして屋根部分もその半分が斜めに窓と同じような作りになっていた。
「ここは温室?」
部屋というにはあいまりにも屋外との境界が曖昧すぎるし、温室というにはとてもその室温が足りない。
入った扉の正面の窓にまた扉があったかと思えば、それは外階段から繋がる場所のようだった。
扉の両サイドの窓の足元にはたくさんの植木鉢が並んでいた。
しかしそのどれもフカフカの土こそ入っていても何か植えられている様子はない。
「・・・・。」
不意にポケットを指さされる。
「これ?」
そこには昨日昼食の用意をしてくれていたブラウニーズたちが消える前に投げていた白っぽい石のような物だった。
(昨日服を脱ぐ時に忘れてそのままにしてたんだけど、今朝身支度をするときに服と一緒においてあったからまたポケットに入れてたんだっけ。)
手のひらの上にそれを出すと指差す先が植木鉢に変わった。
「これを植える?」
そう言うと、笑顔で頷いた。
土の上に石を置いて指で土の中に押し込み、周りの土を崩すように被せる。
リンッリン!!
家の中に響く鐘の音、その音を聴いて彼女は小走りで部屋を出ていく。
置いて行かれた。と理解するまで数秒固まったがすぐ後を追う。
階段を降りるとちょうど彼女が玄関の方で客人を迎え入れていた。
一眼見て大人の女性だとわかるくらいにはしっかりとした彼女の隣に並んでなお大きい背丈の男性、少し離れていてもなお見上げるほどの位置にある顔の表情は読めない。
歩き近寄ってくるその姿はもはや岩というか壁。
目の前まできた男性がおもむろに頭を撫でてきた。
「初めまして、新しい後輩。」
「先輩!ミリアが困ってるわよ。」
姉さんの言葉に撫でている手が止まった。
一瞬ホッとしたのも束の間、急に目線が高くなった。
何が起こったかと思えば両手で持ち上げられ腕の上に座るように持ちなおされた。
「これでいいかな?」
この体制になってなお見上げる位置にある顔は相変わらず何も表情が読み取れない。
「そうじゃない!!」
立ち上がった姉さんが私と男性の服を引っ張る。
姉さんの横に座らされ、男性はテーブルを挟んで正面に座った。
すかさず彼女が3人分のお茶をそれそれの前に置いた。
姉さんと私の分も改めて淹れなおしてくれたようだ。
「先輩、さっきのは無しです。ほら見て、こんなに怯えちゃって。」
そう言いながら姉さんがそっと抱き寄せてくれる。
怯えているというか状況がわからなくて混乱が継続していると言うのが正解な気もする。
「大変失礼した。」
そう言い頭を下げる。
「俺はタモン。君たち2人の直属の先輩になる。」
「そういえばブーケットの説明はまだしてなかったわ。」
姉さんがそう言った。
「ブーケット。今は難しく考えずに学園内での兄弟だと思ってくれればいい。」
あまりに言葉が端的で完結的だ。
「そうね。今はそれでいいと思うわ。」
姉さんも納得したのでもうそれ以上は今必要ないと言うことだろう。
短くてごめん、区切りがよかった。
物語中に出てくる建物は基本図面を書いてる派です(元設計士)
主人公の家は一時期筆が進まなかったときに図面どころかイメージスケッチと3Ⅾ化までしたので思い入れが半端ない。
入学編だけでめっちゃ図面描いたので、そのうちお出しできればいいなぁとか思ったり思わなかったり。




