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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
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20/419

19





2人で乗り込もうとしていると遠くから大きな声が聞こえる。


姉さんが先に乗っててと言いながら車内に押し込まれた。



「ごめん!12号棟まででいいから一緒に乗せて!!」


息を切らせながらもそう言った男子生徒の髪はボサボサ、服は洗濯のし過ぎかと思うほど表面は毛羽立ち色も抜けている。



「自分で飛べばいいじゃない。」


「無理無理!昨日の夜廻ですっかり満足しちゃって寝ちまったから今は飛べなんだ。頼む、2時間目までに中央図書館に着かないと先輩に怒られる!」


必死に頼み込む様子に困った姉さんが車内に顔だけを入れて話す。



「ごめんね。仕方がないから乗せちゃってもいい?」


姉さんの言葉にすぐに頷いた。



「いいってよ、さっさと乗りなさい出発するわよ。」


「本当にありがとう!」


昨日と同じコの字型の座席には斜め隣に姉さん、そして正面に乗り込んできた男子生徒が座った。




「そういえばエイタは昨日の夜居なかったから紹介がまだね。私と同じ街出身で今年から学園に入学するミリアよ。」



動き出したトロリーの中で姉さんが改めて簡易的に紹介してくれたので、軽く頭を下げる。




「あぁ、昨日奥の部屋に居た子だろ?なんか帰ってきたら1人多いとは思ってたんだよ。俺の名前はエイタ、そんでこっちが俺のティー。」


そう言いながら着ているジャケットの前合わせを少し開ける。


そこには本人の拳よりも少し大きな白い塊が居る。


よく見ればゆっくりと上下する動きをしているので、寝ているのだろうとわかる。




「俺のティーは雪より白いフクロウ。夜行性なもんで今の時間はここでヌクヌクしながら夢の中を飛んでるよ。」


そう言いながら前合わせを元に戻し手のひらで優しくポンポンと叩いた。



「夜行性のティーは通常の実技授業が難しい場合もあるから、月に数度夜廻って名前で夜間に授業があるのよ。」


そう姉さんが付け足してくれる。



「野生の本能には逆らえないからね。それで君はどんなティーなの?姿が見えないけど?」


「えっと…。」


一瞬昨夜のことを思い出した。夕食前に見せた時のみんなの困惑した顔。


どうしたものかと考えていると姉さんが手を握ってくれた。



「ミリア、大丈夫よ。」


姉さんの言葉に少し落ち着いた。




自分の足元を見る。少し集中して影を見ると一瞬で色が濃くなった。



「影を操れます。触ったり持ち上げたり、擬態したり色々できます。」


濃い影が足元から浮き上がり膝までの高さまで来たかと思うと人型になり、両手を前に揃えてぺこりと音が聞こえるようなほどしっかりと頭を下げる。



「・・・・。」


困惑しているわけでもなく驚いているわけでもなくどう読み取ればいいのかわからない表情になった。





「す、すっげぇ!!!」



かと思ったら急に顔がほころび大きな声で感想を述べた。どうやら先ほどの表情はありとあらゆる感情と疑問と感心が入り混じった顔のようだ。



「不定形って先輩たちのしか見たことなかったけど、こういうのもありなんだ!えっ、触れる!!実体がちゃんとあるって事は、自立もできるのかな?それともその辺全部共有されてるの感じかな?」



席を立ちトラムの床に膝をつきながら手を伸ばし影でできた人型を指で突居たかと思うと両手で人型の脇の下に手を入れ持ち上げようと試みている。


影は切れる事なく持ち上げられた分足が長い不格好な形になった。



そして、なぜか両足首がザワザワと不思議な感触が伝わった。


触られているという感触ではなく何か悪寒や他人からの視線などのかたちがないものから感じる感覚に似ている。



「ね、大丈夫って言ったでしょ。エイタはいわゆる研究者肌の人間だから、自分がわからないことを無意味に否定したり怖がったりしないわ。」


人型が影に溶けるように戻っていくのを残念そうに見ている。



「アズハが新入生案内するって言ってたの昨日だったよね。ってことはもうクラスとか決まってる感じ?」


「それが、本当はその予定だったけど、なんかあったみたいで今日になっちゃったの。だから私は今日も付き添い予定よ。」


「なるほどねー。まぁ、なんか困ったことがあったらいつでもおいでよ。俺たちに助けられることならいくらでも力貸すからさ。」


「ありがとうございます。」




そんな話をしている間にトロリーが高度を下げる。




「じゃ、2人ともまたね!」


そう言いながら扉が開ききる前に飛び降り走って行ってしまった。



「騒がしい奴でしょ。でも、悪い奴じゃないから。」


姉さんにそう言われてもどう返していいのかわからなかった。




そして、12号棟に向かう。




 


彼がなぜ2人の車両に乗ってきたのか、その理由についていつか書きたいと思ってるけど今のところ未定。

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