第1章・16話 学園襲撃
今回はちょ~っとだけ残酷描写有り。
そして、前回同様超展開はご都合主義のお約束。
では、どうぞ。
追記
数日前、「神様の力で異世界へ~チートってありですか?~」の作者であるArishiaさんにクロスオーバーを依頼したところ、何と、何時になるかわかりませんが、OKが出ました。と言っても私の作品のキャラが一方的に出るだけですが。気になった方は覗いてみて下さい。
何故か魔王の入学が決定して終わった一般の部決勝。
誰もそのことに突っ込むことなく終わったのはある意味奇跡だ。
~そして現在~
「何で俺がこんな雑務をせにゃならんのだ。」
今俺が持っているのは軽く見積もっても1tは超えるゴミだ。
それを平然と担いで運んでいるのだから会う人に毎回二度見される。
これを校舎の方まで運んでくれと頼まれてしまった。
先生やら生徒会役員やらとにかくいろんな人たちにお願いされて
仕方なく持ってきたがいくら俺でも疲れるものは疲れる。
「はあ。・・・重い。」
俺にこんなことをさせておいてみんなは何をしているのだろうか?
~その頃のみんなは・・~
何時ものメンバー(コウジを除く)と生徒会、
それに新たに加わった魔王での大所帯で観戦している時だった。
「おっ?何だあの黒いマント着たやつ。」
「どれどれ?」
魔力に関しては特出したラウはいち早くその変化に気付いた。
ラウが発見したのは現在一般の部の三位決定戦で戦っているグループの
中で一際異彩を放っている、全身をすっぽり包んだ黒マントの人物だった。
マントのせいで性別も顔も分からない。
「みなさま!これより最高のショーをお見せしましょう!」
その黒マントの人物は性別をはっきりとさせない抑揚の無い声で、
しかし会場中に響き渡る大きな声でそう言った。
「我々”ロスト”の特別ショー、得とご覧あれ!!」
その人物がそういった途端、会場中が霧に包まれた。
「何だ!?何があったんだ!?」
先生たちと生徒が大混乱に陥った。
ざわめきは一瞬で全体に伝わり、誰も周りが見えていない。
「ぐあああああ!!!!」
グシャッ!
「ヒ、ヒィィ!!!た、助けて・・」
バリッ!
辺りには霧と共に肉の引き裂かれる音と血の臭いが広がった。
それにより人々の混乱はピークに達する。
今まで何とか平静を装っていた一部の先生と、
生徒会役員もこれにより冷静さを失う。
「何!?何が起きているっていうの!?」
「大丈夫だレミネ!落ち着け!」
叫ぶレミネ。そしてなんとか必死にそれを押さえ、
なだめようとするゴルド。
辺りに広がる血の臭いが更に濃くなる。
この事態は異常だ。誰もがそう思う。
しかしながら唯一まったく動じていない人物もいた。
「あらあら~、皆さん静かにしないとだめですよ~。」
こんな状況でも一切ペースを変えないリアナに呆れながらも、
そのおかげで冷静さを取り戻すレミネとゴルド。
「まったくもう、あなたは・・でもありがとう。」
「私は何もしてませんよ~?」
「君のその何時も通りが僕たちを冷静にしてくれたんだ。」
「それにしても皆さんどうしてこんなに慌てているのかしら~?」
流石にこの発言には頭を抑えたくなるレミネとゴルドであった。
だがしかし、事態が異常であることに変わりない。
バサァッ、バサァッ
何かとてつもなく巨大なものが羽ばたく音がした。
そして今まで辺りに死臭をばら撒いていた張本人が姿を現す。
「おいおい、こりゃあ一体何の冗談だ?」
近くにいたラウが呟く。
「同感ね、よりによってコウジくんがいない時に・・・」
姿を現したのは十数メートルはあろうかという巨体に、
それを支えて飛び上がるだけの凄まじい力を持つ一対の翼。
濁っていながらも、闘争本能を燃やす深紅の瞳。
そして強靭な顎と鋭い牙から成り立つ口、そこから滴る多量の鮮血。
そう、そこにはまぎれも無い”ドラゴン”がいた。
~再びコウジへ~
「ん?」
闘技場から霧があふれ出ている。
それと同時に血の臭いが風に乗って運ばれてくる。
「こいつぁ、まずいかな。」
担いでいたゴミを放り投げ、闘技場に向かって全力で走る。
「間に合ってくれよ!」
[加速]に{縮地}を重ねとんでもない速度で疾駆する。
「はあっ、はあ、・・ここ・・やっぱ無駄に広すぎる・・・・」
だが、泣き言を言っている暇など無い。
闘技場に近づくに連れて血の臭いが濃くなってゆく。
ついに入り口にたどり着いた時、
GYAAAAAAAAA---!!!!!!!!!
なんらかの生物の咆哮が聞こえた。
嫌な予感がますます膨らむ。
「ちっ!!!」
それを助長するかのように響く戦闘時にも聞いた魔王の舌打ち。
「おい!みんな大丈夫か・・・・・」
そこまで言って言葉を失った。
大量に出血し、頭に何かが巻きついた魔王が片膝をつき空を睨んでいる。
その視線の先には空を駆け巡る”ドラゴン”がいた。
それよりも驚くべきことはその上に跨った黒いフードの人物が、
その全身フードと同じく黒い網のようなもので何人かを抱えていたことだ。
そしてその中には見知った顔があった。いや、見知った顔しかいなかった。
ラウ、ハル、ナナ、舞、会長さん、ゴルド、リアナ。
「す・・・ま、ない・・主、殿、守り・・・きれ・・なかった・・・」
そう言って魔王は血反吐を吐く。
「お前がキサラギ コウジだな?」
「・・・・・」
「悪いけど、こいつらは貰ってくよ。さらばだ。」
「おい、待てよ。まだ話は終わっちゃいないぜ?」
破滅の翼を魔力出力最大で発動する。
続けて地表から浮かび上がり、飛翔する。
「そいつらは俺の大切な友人だ。返してもらうぞ。」
「でもこっちにも都合があるんだよ~。
この国に報復するっていう大事な目的が。」
逃げようとするドラゴンの前に回りこむ。
それでも相手は勢いそのままに突っ込んでくる。
「しつこいな、でも・・」
「!?」
突然奴の前に魔方陣が浮かび上がりドラゴンごとそこに飛び込んで姿を消した。
逃げられた。そう感じて怒りがこみ上げる。
「くそがああああ!!!!」
叫んだ。
でも、ここで叫んでいても何も始まらない。
破滅の翼を解除して、いったん地上に戻る。
「主殿すまない。言い訳ではないが我は魔力の塊、それ故制限された
魔力空間から出てきて直ぐの今では本調子が出せなかったのだ。
それにこれのせいでもある。」
なんとか普通に話せるまで回復した魔王が頭に巻きついた物を指しながら
説明を始める。それはきつく締め付けている様だった。
「それは?」
向けようの無い怒りを押さえ込みながら聞く。
「これは魔力を封じ、装着者を弱らせ続ける違法魔道具だ。」
「取れないのか?」
「一度つければこれをつけた者がはずすか装着者が死ぬまで取れない。
魔力の塊である我に取ってこれほど厄介なものは無い。」
それって、まずくないか?
「そうか、ちょっとこっち来い。」
「?」
魔王を呼びその異物を掴み[分解]を使って跡形も無く消し去る。
「こ、これは一体?」
「気にするな、それよりも」
手から塵をはたき落としながら言う。
「あいつをちょっとぶっ飛ばしてくる。」
「主殿!行くなら我も連れて行ってくれ。このままではひけぬ。」
「ああ。少しでも多いほうがいいな。」
出発前にちょっとした作業を始める。
[創造]を使い、とある武器を生み出す。
”魂心砕血刀”我が家に代々伝わる名刀。というか妖刀。
すでに持っている陽影と同じく使用者が弱れば弱るほどその切れ味を増す。
手に現れた”魂心砕血刀”はイメージした通り、目に痛いぐらいの濃い紅。
普通の刀より拳一個分ほど長いその刀身は優美な曲線を描き、見るものを魅了する。
名前の由来は、はるか昔にこれを使って斬った者は魂を、
心を失ったかのようになる事と、水さえも切り裂く鋭さ。
そしてその紅の刀身のせいでいつしか血を切り裂くと
捉えられてしまいこのような名前がついた。
それを陽影とは反対側へと差し、準備は完了。
チリン♪
透き通った綺麗な鈴の音が鳴った。
”魂心砕血刀”の柄の部分についているごく普通の、少し色の濁った
鈴。”風月花鈴”と呼ばれているこの鈴は現代の言葉で言うならば
Emotion Eater、通称E2と呼ばれている。
この名が示す通り、この鈴は使用者の感情を吸収する。
そのおかげで戦闘中に余計な感情をいれずに済む。
つまり、常に冷静になれるのだ。
欠点としては、これを持っていると若干、事故率が高くなること。
この無駄な効果のせいで昔、大怪我をしたことがある。
と、それはともかく準備を進める。
次に”隔絶空間”を大きく開き、
人が二人は入れるぐらいの大きさにする。
[時空間操作]を使ってこれを転移門とする。
そして舞に念話で話す。
(舞?聞こえるか?)
(うん、こんな時にこれが役立つとわね。)
(そこの場所を教えてくれ。)
(今からここの情報を君に送るよ。)
どういう意味だ?と首を傾げつつも了承し、
送ってもらった。途端、頭に何らかの情報が流れ込んできた。
それを頼りに転移門の座標を調節する。
「ここに入ってくれ。直ぐにあいつに会えるはずだ。」
「やはり主殿は凄いな。これ程のものを・・」
「そんなことよりさっさと行くぞ。」
入る前に魔王に回復魔法をかけてその異空間に飛び込む。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
出た場所は廃墟のようなとこから少し離れたところ。
不良が溜まっていそうな雰囲気だ。そこで舞から念話が入る。
《コウ、気をつけてね。
こいつらテロ組織みたいだから。たくさん人がいる。》
(ああ、ありがとう。直ぐに助けに行くからな。)
《うん、待ってるよ。》
言われてみれば入り口と思しきとこには見張りが数人いた。
「さて、どうすっかね。」
「我が入り口で一暴れしよう。その隙に主殿は行ってくれ。」
「悪いがそれで頼む。」
言って直ぐに魔王が飛び出し見張りに殴りかかる。
俺はその隙にさっさと入り口に入り込む。
時々入る舞からの念話で場所を教えてもらいながら、
捕まっている所を探す。道の途中で邪魔が入ったがそれら全てをなぎ倒す。
だが、途中で面倒になり、壁をぶち破りながら突き進んだ。
「カカ○ットは何処だ~!!!!!!」
某筋肉の塊こと、伝説のスーパーサ○ヤ人風に言いながらも探す。
風月花鈴のおかげでふざけた事が出来るぐらいまでには落ち着いた。
「ここか!」
大きな扉があり、まさに怪しい。
「おらよっと!!」
ドガァァ~~ン!!!!!!
凄まじい音と煙を上げながら扉は吹っ飛ぶ。
部屋の中央には闘技場にいた全身黒フードのヤツがいた。
「!!!!!」
「俺のダチを助けに来たぜ!!」
突然俺が現れたことにより動揺したようだが
それ以上何もせず、急に黒い弾を飛ばしてきた。
被弾。
無視し、歩みを進める。
またも被弾。
それも無視。
「っち、化け物め!」
ヤツの言うとおり魔弾を受けても平然と闊歩するその姿は、
化け物以外の何者でもない。
「俺が化け物?違う!俺は悪魔だ!ふは!ふははははは!」
ブ○リーのような台詞をはきつつ接近する。
さっきも同じ人の真似(?)してたからまた出ちまった。
つかあいつ人かな?いや、サ○ヤ人か。血が緑色だったし。
無駄なことを考えつつも更に接近する。
「おい、お前たち!さっさと出てきてこいつを殺せ!」
舞の言っていた事が本当だとしたら、こいつは最初に会った時の
雰囲気から、俺のことを知っていて人質を楯に俺を引き込もうと
しているのかと思っていたのだが、どうやら違うようだ。
最初ほどの余裕も無く、控えていたやつを出して、
俺を襲わせる。だが、俺はそこまで甘くない。
まずは、冷静さを取り戻して人質を楯にされない様に
あいつらを取り返す。
「ザ・ワー○ド!!」
[時空間操作]を使いほんの数秒だけ時を止める。
原作っぽく状況が分かるまま動けないもどかしさを味わってもらう。
「さて、これで大丈夫だな。」
網を引きちぎりみんなを解放する。
これで心置きなく暴れられる。
「貴様ああ!!!何をした!!!!!」
「お前が知るところではない。もう人質はいない。好きに暴れさせてもらうぞ。」
そう言って、魂心砕血刀と陽影を抜刀。
美しく輝きながらも怪しさも放つ相反するような二つの刀。
その二振りの刀で舞うように駆け巡る。
敵を斬って斬って斬りまくる。
鮮血と肉片が舞い散る。
だがそれさえも完成された一つの動きの中では
舞いを一層引き立てるだけでしかない。
返り血がつかぬほどの早業で、切り抜く。
ひとしきり暴れて黒フードのヤツ以外は全て消えた。
殺しちゃいないけどな!
「くそっ!くそっ!!こうなったら・・」
GYAAAAAAAAA---!!!!!!!!!
ヤツがそう言った瞬間、またしてもあの生物の咆哮が響いた。
広い部屋の奥から再びあのドラゴンが現れた。
「またこいつか。」
気絶しているみんなを一先ず部屋の外の安全なところに非難させる。
「主殿!」
「丁度いいとこに来たな!みんなを頼む!」
ジャストタイミングで合流した魔王にみんなのことを任せて
ドラゴンに向き合う。そしてそのドラゴンはといえば、
こちらに向かって火球を飛ばしてきていた。
「おお、おお、危ねぇなぁ。」
余裕ぶっこいているが回避するか消し去るかしないとやばい威力だった。
「今度はこっちの番だ!!」
大跳躍し、ドラゴンに肉薄。
そして思いっきり頭をぶん殴る。
GUGAAAAAA!!!!!!
ドラゴンの悲鳴が響き渡る。
(舞の野郎、この前ドラゴンは俺より微弱の神力しか持っていないから
ダメージを与えられるとか言ってたのにあんま効いてねえじゃねえか!)
舞に対して文句を言いつつも追撃しようと刀を引き抜き、
その周囲に[分解]を纏わせる。
いくらなんでもこれなら致命傷を与えられるはず。
そう思い、切りかかる。
「私を忘れちゃいないか?」
相変わらず性別をはっきりさせない声で言いながらヤツが魔法を飛ばしてくる。
それに被弾してもダメージは受けないが視界が悪くなり、攻撃しずらくなる。
「めんどくせぇなぁ!
{如月護身流体術 秘奥 幻武無双・朧影}!!」
分身する過程を省略して一気に{朧影}発動させる。
そして邪魔が入る前に近ずく為に{加速}と{縮地}を併用し、超急接近。
「「「「{如月護身流体術 禁技 神殺し}!!!!」」」」
禁技をそう何度も使っていいのか?という疑問もあれど、
それは確かに効いたようで、ドラゴンは大量に出血しながら倒れた。
GRRRRRR・・・・・
弱弱しく唸るドラゴン。
「悪いな。今更手を抜く気はねえんだ。」
「させるかぁ!!!」
今度は黒フードのヤツが接近してきた。
それを軽く払って壁際まで吹き飛ばす。
その衝撃で今まで覆っていたフードが取れる。
「・・・・・女?」
そこには傷だらけながらも紛れも無い少女がいたのだ。
そかし今はそんなことに構っていられない。
先ほどの火球とは比べ物にならないほどの熱量をドラゴンの口から感じる。
ここまでイメージ通りでなくてもなあ、とか思いつつもそれに対して一策講じる。
「はい、これは何でしょ~か?」
空気中の窒素を冷やし、
大量の液体窒素を作ってそれを目の前に留まらせる。
「正解は液体窒素です。知っていますか?液体窒素は気化すると
その体積が何と!およそ七百数十倍になるのです!これをこうやって・・・」
ふざけた口調で、一人講義をしながら大口開けてるドラゴンの中にぶち込む。
GAAAAAA!!!!!?????
何やら情けない声を上げながら、悶えるドラゴン。
「そして!それを腹の中で気化させればどうなると思いますか?答えは簡単です。
これだけの量を一気に気化させたならば、当然、破裂しちゃいますよね♪」
寒い講義を続けながらも集中して放り込んだ液体窒素の塊を気化。
パフゥッ・・
何か空気が抜けたみたいな音がしたんですけど!
てっきりドラゴンが破裂してグロイ事になるかと思ったじゃねえか!
一人突っ込みを終え、変な音を出したドラゴンへと目を向ける。
「・・・・誰?」
そこには、まあ、その、なんだ、理想的な女性の体型をした、
露出の高い服を着た美女(?)がいた。
今日は変な人とのエンカウント率が異常なほど高い。
これはある意味呪われているのだろうか?
「私は、パーヴィア・ラビン・ミットだ。まずはお前に礼を言おう。」
「What’s?何故に?」
「私は今までそこの奴にわけの分からん薬を飲まされ、無理やり従わされた。
そしてさっきお前が私の中に何か打ち込んだ時、その薬が突然消えてこの姿
に戻れたわけだ。
お前にそのような意図が無かったとしても結果的に私を救ってくれたからな。」
まあ、感謝されるのは悪いことじゃない。
それにしてもこいつ心が広いな。
仮にも殺そうとしたやつにお礼をいえるなんて。
「それは分かったが、お前の正体は何だ?」
「私はドラゴニス、半龍人だよ。」
「な~る。それでドラゴンになってたわけか。」
もう何を聞いても驚かないし突っ込まないぞ。
「それよりもこいつにはたっぷりお礼をせねばならないな。」
指をバキバキ鳴らしながら壁際に近ずくパ-ヴィア。
「まあまあ、ちょっと待て。」
「何故止める?お前ごと焼き払ってもいいんだが?」
「いまやっても仕留めらんねえよ。見ろよ。」
黒フードのヤツはすでにドラゴンに乗って逃走した時に使っていた
のと同じような魔方陣を展開しており、もはや手遅れだった。
「なら、行かれる前に叩き潰す。」
「だから待てって。少し話をさせてくれ。俺もお前ほどではないが
大切な友人を拉致られて怒りを感じている。」
もう、取り逃がした時ほどの怒りは無い。
むしろこいつのことが心配だ。
「お前は何故こんなことをした?」
「・・・私はこの国を許さない。」
「どうしてだ?」
逃亡できると確信したのか相手はこちらの問いに素直に答えてくれる。
確かに、国を潰そうとするなら国が運営している
大規模な施設を狙った方が効率いいわな。
そしてこれなら俺のことを知っていたのにも納得が行く。
大方、要注意人物かなんかとして認識されていたのだろう。
そして、会長さんたちはその俺を抑制する為の人質。
もっとも、ただ近くにいたからかもしれないがな。
「誰も孤児を・・私たちを誰も認めてくれないし、
私たちに居場所が無いから。」
こいつもか、最近はこんな風に言う輩が多いな。
「誰も認めてくれない?居場所が無い?泣かせるねぇ~。
・・・・・・だがふざけんなよ?」
飄々とした雰囲気から抜けて、急に鋭い怒気を放つ。
また悪い癖が出ちまった。
「・・・・!!!」
「認めてもらおうともしないヤツを誰が認めてくれるっていうんだ!?
自分から何もせずに認めてもらおうなんて虫がよすぎんだよ!!
それに居場所が無いだって?笑わせんな!居場所は誰かから貰ったり分けて
貰ったりするもんじゃねぇ!!居場所っつうのは他でもない自分自身で作り
上げるものなんだよ!!それすらもできないのか?そんなことも分からないのか?」
「わ、私は・・・・」
「でも、大丈夫だよ。」
「・・・・」
鋭い怒気を一瞬にして和らげる。
これが相手を救い出す時には最も有効な手段だ。
卑怯に見えるがこれから先は俺の本心だ。
「俺が、いや俺たちが、お前を認めてやるし、居場所にもなってやる。」
「・・・え?」
これって軽く告白に近い気がする。
「でもそれにはお前が自分でそうして貰える様に努力することが大切なんだ。
だから俺はお前にこれを伝えたかった。白々しいかもしれないけど、在り来たり
過ぎるかもしれないけど、お前は、一人じゃないって・・・・」
うわぁ、言っちゃたよ。流石にこれは恥ずかしすぎる。
「お前らが孤児でもなんでも認めてくれるし居場所になってくれる
やつもいる。さっきと言ってることが違うかもしれないけど、
確かにそういう人もいるって事は覚えておいてくれよ。」
「・・・・(ありがとう)」
少女は消えた。おそらく転移魔法に近い何かを使って。
名前も聞いていないし、言いたいことが伝わったか分からないけど、
少女の残した言葉はちゃんと俺に届いた。
これであのテロ組織は活動しなくなってくれるといいんだが。
そう思いながら、魔王の元に戻ろうとする。
しかし、そうさせてくれないやつがいた。
「お前、中々いいこと言うじゃないか。傍から聞いていただけだが、
お前のことがひどく気に入ったぞ。お前についていってやろう。」
「って事はまさか・・・また?」
「お前の言うまさかかは分からんが、
お前のいる学園とやらに行ってみたくなった。」
誰か俺を助けてくれ。これ以上変なやつが俺の周りに増えたら、
俺はぁ!俺はぁぁ!!!!
「主殿。そろそろ帰るとするか。」
「そうだな。」
そろそろ一人でぼけたり突っ込んだりするのにも疲れてきた。
”隔絶空間”を広げて大きく作り。みんなが通れるだけの広さを作る。
これだけの人数が通るとなるとかなりの大きさになる。
疲れた体を引きずりながらも、気絶しているみんな
(舞だけは気絶したふり)
を空間に突っ込み学園に座標をあわせ、転移門を発動させる。
これもっと使いやすくしたいなあ、
と思いながら”隔絶空間”に入る。
何故か勝手についてきているパーヴィアに突っ込む気力も無い。
今日はとても長く感じたし、とても疲れた。
だが、この後の学園での一騒ぎのほうが大変だったというのは、
やっと休めると思っていた鋼嗣にとっては、
かなりの大ダメージになったという。
アーメン。
作「サブタイトルが続きそうな感じですが、続きませんよ?多分・・・」
コウ「調子に乗ってまた新キャラを・・・」
舞「いい加減、読者の方の身にもなってよ。」
作「はい。マジですんません。気をつけますが、のりで増えて行きそうです。」
コウ・舞「長くなるとめんどくさいのでまた次回お会いしましょう。」
作「さようなら~」
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