魔法学院 アテナ
魔法学院アテナ
誰にでもある魔力、その魔力を使い人々は魔法を使う、この世界の人達は魔法を使い、生活など、色々な事に使用している。
魔法学院は、若者が魔法の使い方を学ぶ為の学院。
アテナはその5つの学院の内の一つ、小等部から高等部まであり、中等部と高等部は寮が学院内にあり、大抵の物も学院内の店で買える。
敷地はかなり広く、学費も安く通う生徒はかなりの数いる。
「で、ソラは高等部の1年3組に編入してもらうぞ?」
ウォンはそう言いながら書類にハンコを押す。
それは、編入手続きと書かれた書類。ある普通科の学院からの編入という嘘の理由で、1年3組へと編入する事となった。
「学院長……」
「なんじゃ?」
「生活費は自分でバイトでもして稼ぎます。何かいいバイトとか、ありませんか?」
ウォンは生活費は出すといったが、ソラは遠慮して自分で稼ぐと決めていた。
ただでさえ異世界から着たというイレギュラーを受け入れてくれているのに、これ以上迷惑をかけたくないと思ったのだろう。
といっても、学院長はすんごいお金持ち。この学院も半分は国の援助で、残りは学院長様が管理しているのだ。
一つの街並に広い敷地。校舎だけでも7つ。更に専用のグラウンドやらの設備も万全。
更に学院内に店を建てている所も軽く100は超える。それらの従業員の家やらも建っていて、もう学園都市になっている。
そしてすべてのクラスごとにある生徒達の住まう寮。 生徒達を教育する教師の半端じゃない数の教員。
それらすべてを管理しているのだから小さな国一つなら軽く相手にできる資産家なのだ。
そんな金持ちがソラ一人の生活費程度はなんの問題もない。
しかし、ソラ自身が働くといっているのだから無理に止める事はないと思い、学院内のバイトでいいところがあったか、記憶を探る。
バイトといって軽く何件以上ものバイト先がある。
パッと思いついたのが、ある喫茶店だった。
「アキナのバイトしとった、学院内の喫茶店なんかどうじゃ?」
そう、ソラの母親。アキナが学生時代にしていたバイト。
喫茶店ぐらいなら、皿洗いとか接客程度だろ、と思い軽いノリでそこに決めた。アキナがやってたバイトと言う事もあるし、もしかしたら元の世界に帰る手がかりがあるかもしれない。
「はい、じゃあそこにします」
「では、ワシから店長に話をしておいてやろう」
「ありがとうございます」
軽く頭を下げる。
当然の事だが頭の上に乗っているリリはいきなりの事で頭から落ちた。
「編入は明日からじゃ、詳しい事はもうすぐ来る、ナイグ・キール先生がしてくれる」
「キール先生ですか」
ちょっと緊張してきたソラは姿勢を整えて1分程待つ。
(シュン)
ソラ達が来た時と同じくキールは「シュン」とワープしてきたみたいに、いきなり現れる。内心で驚いているが顔には出さずに立ち上がり、キールに御辞儀する。
「きたようじゃな・・・キール先生、彼がソラじゃ」
ウォンは座ったまま右手をソラに向けて紹介する。
キールは軽く学院長にあいさつし、手を向けてられているソラを見てニコっと微笑んだ。
「どうも、始めまして。高等部1年3組の担任、ナイグ・キールです」
キールは30代位の茶色の髪に、少し薄い青色の瞳の男の人だ。外見からはしっかりした感じはなく、ヒョロッとした体格。
だがどこか優しいお父さん的な雰囲気をだしている。
「は…始めまして、ソラです」
「学院長から話は聞いています。詳しい説明は寮でします」
「はい!よろしくお願いします!」
「では、学院長、失礼します」
「失礼します」
「あ、ローラ先生もいつも内の生徒がお世話になってます」
「いえいえ、それが私の仕事ですから。ソラ君も怪我したら保健室に着てね」
「はい。色々ありがとうございました」
キールとソラは軽く二人に頭を下げる。
「がんばるんじゃぞ、ソラ」
「はい!あの…リリはどうするんですか?」
学院長に聞くと、リリはアキナのいた時は学院長室に住んでたらしく、専用の小さな家があるそうで、そこに住むらしい。
「ばいば~いソラ」
「ああ、また後でな」
手を振っているリリに手首のみを動かして、手を小さく振り返す。
「じゃあソラ君、そこに立っててね、行くよ」
「はい!」
きたときと同じ場所に立ち。「またあのワープ見たいなのをするのか…」と思いつつ目を閉じる。
(シュン)
(シュン)
「あのキール先生…いきなりですが、質問してもいいですか?」
質問は決まっている。さっきからシュンと音を立てながら移動するワープの事だ。
たぶんなにかの魔法の一つだとソラは思っているのだろうが、一応確認的な意味でだ。
「ん?ワープの事?あれはね、移動魔法の一つでね、決められた場所から場所へワープする魔法なんだ、魔法については後で説明するね」
キールとソラのワープした所は、青い屋根にかなり大きい白い建物の玄関前だ。
流石金持ち学院という感じに、寮の両脇にはズラ~っと同じ大きさの寮がいくつも並んでいる。
そして今目の前にある、これから住まう寮の正面には3と大きく描かれている。これは3組という意味だろうか?
右隣の寮2。左は4となっている。
「ここが俺の住む寮ですか?」
「そうだよ、高等部男子寮1の3、ここが今日から君の住む所ね。とりあえず寮長の僕の部屋で説明をしよっか」
「はい!」
キールは扉を押して入り、その後をソラも入っていく。
中は結構広く右には階段と奥には一つ部屋がある、反対の左には扉があり、なにやら意味不明な言葉が書いてある。勿論ソラには読めない、この世界の字なのか?と思いっていると、キールは右側の奥の部屋の鍵を開ける。
「ここが僕の部屋つまり、寮長室」
「お邪魔します」
靴は、部屋に入ってから脱ぎ短い廊下を歩いていくと中は、男一人で住んでいるとは思えない程綺麗な部屋だ。床はピカピカでテーブルの上も同じくピカピカ。
「そこの椅子に座って話そうか」
近くの椅子に座り、ソラもキールの反対側にある机を挟んだ椅子に座る。
そして早速キールは、指を組んで説明を始める。
「まず、この学院には「魔法技術」「魔法アイテム」「魔法知識」と三つの科目があります」
「質問いいですか?」
いきなりまた質問をするソラ。当然と言えば当然だ、異世界でソラは分からない事だらけで、疑問に思う事はたくさんある。
特に魔法関係のことだ。
「どうぞ」
「数学や物理とかもあるんですか?」
「魔法以外の授業は週に1日だけあります。最低限の知識は中等部までで十分ですから、高等部からは本格的に魔法学に入ります」
「そですか……」
キールの話と元の世界を合わせる限りでは、殆ど変らない。異世界と言うよりも、もしも魔法があったらと言った平行世界と言ったほうがしっくりくる感じの世界。
ただ主な基準が魔力を使っての電気などの機械製品やらを動かしているらしい。
この世界のエネルギーは魔力と言ったほうが正確だ。
「話に戻ります。魔法技術は学院内の練習場で行います」
「練習場?」
「後で地図も渡すので見ておいてください。練習場で主に魔法を実際に使い、3ヶ月に一度ある、クラスマッチに向けて魔法の扱いを練習する場です。
そしてそのクラスマッチによる勝敗でポイントが各クラスごとに与えられます。ポイントはクラスの一人一人に分けられます。詳しくはクラスマッチの時に話します、質問はありますか?」
一気に聞いた事により、ソラは今必死に整理して、何か聞きたい事がないか思い出す。
流石に色々と質問をしたいことが山のように出てくるのだが、そんな事をいちいち聞いててはキリがない。
なので一番てっとりばやい魔法その物の事を聞く。
だが、ある意味一番聞きたい事でもある。ソラは元の世界で魔法の存在はないが、アニメや漫画などで、知ってわいるが、本物の魔法というのがどんなものなのか知らない。それに一番興味のある事だ。
「魔法は、後で渡しますがTWと言う機械にある臓書官にの何百万冊の魔道書のデータを、一覧してそこから魔法を選び、TWで自分の頭の中に直接インストールします」
ソラが知っているアニメや漫画の魔法とは違いかなりデジタルで、かなり難しく頭の中を必死にフル回転させて話についていく。
簡単に説明すると、どの魔法を使うかTWといったなにかの機器から選んび、インストールするといった感じ。
「そして、魔法をインストールする際に一番大事な事があります。
それはM値(魔力値)です。
M値が少ないと魔法をインストールできません。
例えば私がM値1000だとしましょう。するとM(魔力)500の魔法とM400の魔法で二つの魔法は計M900ですのでインストールできます。しかしM600の魔法とM700の魔法は、計M1300なので、M値が1000の私はインストールできません。Mが高ければ高いほど強力な魔法でインストールできますが、インストールできる数も限られてきます。更に扱いが難しい。
逆にMが低い魔法だといっぱいインストールできますし、使いやすいですが生活などに使える物が多いです。
ですが、それほど強力な魔法ではありません。M値は人それぞれ違います」
Mはこの世界の人間ならば誰しもある。
キールのM値についての説明に、一つ気になり右手をちょっと上げて質問した。
「M値を上げる事ってできるんですか?」
M値を強制的に上げれば強力な魔法から弱力な魔法までいっぱいインストールできて、色んな魔法が使える。
実に子供の思考だが、確かにそうだ。
「M値は上がりはしますが、強制的には上げれません。M値は歳と共に少しづつ上がります、この学院で3年間過ごして多くてもM300位しか上がりません」
「平均はだいたいどの位なんですか?」
「高等部の1年生で約1500ですね。卒業後は平均で1800です」
その説明に、キールはですがと付け加える。
そして付け加えた説明では、1年生でも2000ものM値の人や、逆に1200などといった生徒もいてM1500と言うのはあくまで平均という事だ。
「そうなんですか」
自分には、Mすら無いかもしれない。
理由は簡単だ。
“この世界の人間ではないのだから”
そんな事を思いながらキールの話を聞く。
リリはソラに、アキナと同じ魔力があると言っていた。だがソラはそんな事は完全に頭に入っていなかった。あの時はリリ(妖精)の存在が衝撃的だったためにそんな事は覚えていない。
「次に魔法知識ですが、魔法知識は魔法の種類を覚える勉強です。これは1ヶ月一回、いくつ記憶しているか簡単なペーパーテストでポイントが決まります。何か聞きたい事は?」
「えと…最低何個覚えてればいいんでしょう?」
「1年生だと78個中50個ほど覚えれば十分でしょう」
「1年で50個か…いけるかな?」
以外にあっさりと魔法知識の説明が終わった。
魔法知識といっても、ある程度の魔法の効果やらを覚えるだけだ。 だが、時にはその知識が必要になってくるだろう。
「そして、魔法アイテムですが、例えば、このペン」
魔法アイテムの説明に入り、キールは前ポケットから赤いペンを取り出してソラに見せる。
「ペン?」
「そうです、普通のペンのようですが……」
ソラが不思議そうに見ているなか、キールはキャップを取り空中に赤い線を書く。
「おお!!」
いきなり空中に線を書かれて、興味が物凄くわいてくる。 その線を掴もうと触れると、線は消えてしまった。
そんなソラを見て、ニコっと微笑んでからキールはペンを前ポケットに戻して話を続ける。
「このように空中に書くことができます、これらはMをアイテムに注入して使う魔法アイテムです。それらの扱い方を勉強します、これも一ヶ月に一回、簡単なペーパーテストをします、魔法アイテムは46個中40個覚えれば十分です」
「あの・・・先生、さっきから言ってるポイントってなんですか?」
「ポイントは三つの科目の総合ポイントで成績が変わってきます。なのでポイントを稼げば稼ぐだけ、成績が上がります」
「稼げば稼ぐだけ、じゃあ魔法学以外でポイントを稼ぐ方法はありますか?」
少しニヤッとして聞く。
他に方法があるとすれば、それらもがんばれば成績はかなりよくなるだろう。
そして、その方法は一つだがあった。 キールの話では先生達の雑用などすると、その先生から少しだが総合ポイントがもらえるらしい。
「次はさっき言ったTWです」
TWさっき魔法についての説明時に出てきた機器の名前。
キールは懐から、銀色の細いペンのような物を取り出して机に置く。
「これは?」
「これは、さっき話したTWです」
「え!?これがですか?」
相像と違ったのかソラは驚く、無理もないさっき、キールが言ってたのは機械だ。しかし、今目の前にあるのは、15cm程の丸いペンの用な物だから機械には見えない。
それに、もしこれがそうだとしてもどうやって魔法をインストールするのかが分からない。
そして、このTWはここ、アテナ学院の生徒や教員と言う証だそうだ。
ようは学生手帳のような物。
その事を説明したキールは、TWの端にあるボタンを押す。
(ウィン)
「うお!!」
TWから何か見覚えのある、薄く青いモニターの用な者が現れる。
そう、ローラが時刻を確かめる為に出したモニターとまったく同じだ。
あれは魔法なんかではなくただのモニターだったのか。とあの時の事を思い出す。
「このように、このボタンを押すとモニターが出ます。ここから、時間を確認したり、モニターのメニューの所を押せば…」
(ッピッピピピッピ)
キールはモニターに触れてボタンを押していく。ソラには何が書いてあるか読めない。
たぶんこの世界の文字だろう。
「このように、他の生徒との会話やメールもできます」
TWのモニターを見ると生徒らしき人達の顔が映っている。
「ちなみに、会話やメールをするには相手のTWのアドレスを自分のTWに保存しないといけません。他にはクラスマッチの勝敗記録や今あるポイントもTWに記録されます。いろいろできるので後で、試してみてください」
そう言ってもう一つTWを取り出してソラに渡す。
このTWは携帯の役目も合わさっている感じの万能機器。 TWはソラにはそんな印象だった。
そして、キールはまた指を組みなおして説明を続ける。
「次にクラスですが、ソラ君のクラスは学院長からも聞いていると思いますが、私が担任をする1年3組です。クラスは9クラスまであり、1クラス大体30人程度です。質問は?」
「特には」
少し首を横に振り答えるソラ。キールはその答えにそうですか、と返事をして説明を続ける。
「クラス内ではチームを作ります」
「チームですか…」
「はい。チームの人数は3人から5人までの男女混合です。
魔法技術の時など授業中は常にチームでいます。チームでのポイントもあり、そのポイントも自分のポイント+されます」
「じゃあすごい人と、チームを組んだらポイントが簡単に手に入るって事ですね」
「そうねりますね。これで大体は分かってくれましたか?」
キールは組んでいた指を解いて自分のTWを内ポケットに入れる。
「たぶん大丈夫です」
「ではTWは無くさないでくださいね、無くすと、ポイントが無くなったり、色々とありますので。
後、地図はTWにデフォルトで付いてます」
「おお~、これがTW」
ソラはTWのモニターを出し、新しいおもちゃを見つけた、無邪気な子供のようにはしゃぐ。
まぁ無理もないでしょう。こんなおもしろい機器をただでくれてるんですから。
「後はソラ君のM値を計りますね、ちょっと待っててくださいね」
そう言って、キールは部屋を出ていく。
一人になったソラは、色々と考えている。
そしてそれは無意識に声に出していた。
「元の世界に帰りたいのもあるけど…この世界も悪くないのか……でも、まだまだ不安な事がいっぱいあるんだよな。例えば、俺ってMあるのかな?」
TWで学院の地図を見ながら一人呟く。
そこに、以外に速くキールが帰ってきた。 その手には白いチューブとリモコンのような機器が繋がった物を持っていた。
キールはソラのM値を計ると言っていた。だとすると計測機かなにかだろうか?
そんな考えをしていると、ソラは右手を差し出すようにキールに言われ右手を差し出す。
差し出した右手に、白いチューブを右手にぐるぐるに巻かれる。
「あの、これは?」
ソラは右手に巻かれた、チューブのような物を見ながら不思議そうにたずねる。
まぁ、いきなり右手になにかを巻きつけられていくのだから不思議になるのは当たり前の事だ。
「ん?これ?これはM値を計る機械。 これでよしっと。ちょっとそのまま軽く握ってみて?」
キールに言われた通りに軽く右手に巻かれたチューブを握る。
「このくらいですか?」
「はい、もう離していいよ」
そう言ってキールは、チューブと繋がったリモコンのような機器を見る。
ソラからはよく見えないが、そこにはなにやら数字が表示されている。 どうやらその表示されている数値がソラのM値らしい。
「この数値は…」
キールはその数値を見て少しこもった声で驚く。
そしてその声にソラは暗くなる。
「あの、やっぱり低いですよね?」
おそるおそる聞く。するとキールから予想外の言葉がでてきた。
「逆だよ逆!2600もあるよ!!教師クラスの、高いM値だよ!!」
「え!まじですか!先生!?」
キールより本人のソラの方が驚く。
それも当然といえるだろう。平均が1500。が、ソラのM値はそれを遥かに上まっていた。2600その数値はキールのM値2500をも超えていた。
キールは教師の中でも高くもないし、低くもない。つまり平均のM値。ソラは教師クラスのM値を持っているという事になる。
ちなみに学院長は高齢でM値が3700と以上に高い。元々のM値も高かったためにこれ程の数値になっている。
ソラは自分でも確かめる為に、キールが持っていた測定器を覗き込む。字は読めないけど、2600と映し出せれている数字を見て確認する。間違い無い。
「異世界からの人はM値が、高いのかもしれないね」
キールはソラの手に巻かれたチューブを解きながら話しをする。
「そっか、なら母さんもM値高かったのかもしれないな……」
ぼそっと呟くソラ。
「こんなにあるなら、一つ魔法をインストールしてみますか?」
「え!いんですか?」
キールの言葉にかなり食いつく。
「今は6月だからね、そろそろ、クラスマッチが始まるし、皆はもう自分に合った魔法を一つ二つ持ってると思うよ?」
6月と言うと一回目のクラスマッチが始まる時期だ。他の生徒はクラスマッチにむけて、得意な魔法の1つ2つはインストールしている。そこにソラは入っていくのだから、一つぐらいは魔法を使えないと正直厳しいだろう。しかしソラはその事より、魔法が使える事がうれしくて目をキラキラさせている。
「えと、じゃあ一つだけいいですか?」
「うんいいよ、じゃあ、どんな感じの魔法を使いたい?なんでもいいよ?」
「じゃあ、重力を操れるのとか、あります?」
重力を操れば、空も飛べるし、離れた所の物の重力を軽くして浮かせたりと、楽しそうだからと、おもしろ半分で聞いてみる。
それに、ソラにはもう一つ理由があった。
なにより重力を操れるとか宇宙の断りを変える事が出来るなんて、神の力だ。
そんな子供の軽い発想。
「重力系か…Mはかなり高いけど、ソラ君なら十分かな。Mが2200も使うけどいいかい?」
「2200!!俺のM値が2600だから残り400か……分かりました、それでいいです」
Mが以上に高い事にも驚いたが、本当に重力を操る力がある事にも少し驚いた。
だが、神の力(勝手に思っているだけ)が手に入るなら!!と思い込み了解する。
ソラが、M2200の重力魔法をインストールしたとしても、まだ400もMが残る。その事を考えるとちょっと得した気分になる。
「じゃあインストールするからそのまま目を閉じて楽にしててね」
ソラはキールの言う通り目を閉じる。
「インストール開始っと」
キールは自分のTWを取り出し一覧から、重力系の魔法を検索して、一種類しかない重力系魔法を選び、インストールボタンを押す。
TWからソラの頭に、青く細い光が当てられて、キールのTWに、57%58%とどんどん%が上がっていく。
100%。TWからの青い光は消える。
「よし、インストール完了、もう目を開けていいですよ?」
ソラはゆっくり目を開ける。
「えと、あんまり実感無いんですが、どうすれば使えるんですか?」
なにも変わった所が無い。ソラは不思議そうに聞く。
「まず、発動条件の一つとして、発動する時の合言葉を決めて」
ソラはなんとなく頭に思い浮かんだ言葉……
「じゃあグラヴィティで」
「次に合言葉を言いながら、そうだね……この椅子の周りの重力を軽くして浮かせる所を想像してみて?」
その言葉に目を丸くする。ただ想像するだけで魔法が使えるのかソラはキールを少し疑いの目で見る。
「想像だけでいいんですか?」
「はい」
「こ、こうかな?」
なんとなく椅子が浮かぶのを想像して「グラヴィティ」その瞬間に椅子がゆっくりとだが浮く。
「おお!!出来た!!なんか魔法使ってる感じが分かったかも」
浮かんでいた椅子を見てソラはおおはしゃぎだ。今ならアキナの気持ちも分かる気がした。
それを見て、キールは顔が少しニヤけながらボソっと呟く。
「普通はもっと練習が必要な魔法なんだけどな……」
キールの言った練習が必要とは、魔法はランクが高くなるにつれて、より扱いが難しくなる。
M2000以上となると、最上級のSランク魔法。ソラのインストールした、重力系の重力操作はSランク魔法だ。
ちなみに、Aランク魔法が1700→1900
Bランク魔法は1400→1600、Cランク魔法は800→1300、Dランク魔法は300→700、それ以下はEランク魔法。
ランクが高ければ高いほど、魔法の扱いが難しくなるはずなのだが、ソラはちょっとした事とはいえ、簡単にSランク魔法を使ってしまったのだ。
「うまく操れば、重力は形が無いですからいろんな事ができますよ?」
「そうなんですか。それは楽しみです、がんばって練習します!!」
「がんばってください。それじゃあ寮の案内をしますね」
キールはそう言って部屋を出る、ソラも後に続いて出る。
説明を聞きながら今は二階の廊下を歩いている。結構幅は広く3人位なら余裕で通れるくらいある。
「へークラスによって寮が違うのか。あれ?そういえば先生は授業があるんじゃ?」
「私ですか?私は今日、あなたに色々と説明などをするように学院長から言われまして、変わりに副担任のレイラン先生が見てくれてます」
「そうですか、すいません。俺の為に」
少しショボンとする、ソラを見て、少しキールが「あらら」と思い、少し話しをする。
「ソラ君は珍しい異世界から来た人でしょ?」
「はい」
「私もお話をしてみたかったですし、この世界の知らない事とかありますから、気にしないでください」
「はい!」
少し元気を取り戻したソラの表情を見て、ニコっと微笑む。
廊下を歩いていくと、キールが立ち止まった。
ソラはキールが立ち止まった前の部屋の扉を見る。
「では、16番の空き部屋をお使いください、これが部屋の鍵です」
鍵を渡され、ドアを開けて中に入る。
入ってすぐに段差があり、靴を脱ぎ上がる。両側にベットが一つずつあり、一人で寝るには十分な大きさ、奥には台所と冷蔵庫、もあり、反対側には白と黒のクローゼットが二つある、そして机が二つ壁際に置かれている、窓もあり、2人部屋にしてはかなり広い十二畳一間もある部屋だ。こんな部屋が何個もある寮で、しかも、学年とクラス別にあり、さらには中等部もあるのだから、「どんな学校だよ」と思いたくなる。それと女子寮もある。
ちなみに他の寮と寮はすぐ隣にある。
「では、色々不安でしょうけど、私もできるかぎり協力しますので、いつでもコールしてくださいね、これが私のTWのアドレスです」
キールはTWからアドレスを送ってきて、ソラのTWがピピピと鳴る。
ソラもキールに送ろうと思いTWを取り出そうとするが、キールは既に知っているようだ。
「学生服はそこのたぶん、白のクローゼットに入ってますから、明日はそれを着て登校してきてくださいね」
「あの、明日は何時に登校すればいいんでしょうか?」
聞いていなかったか聞き逃したかどっちかだ、分からないからキールに聞く。
「言い忘れてましたね、明日は7時に職員室に来てください、他の先生方に君の紹介があると思うので、それと、教科書などは明日支給しますので手ぶらで来ても構いません」
答えは言ってなかっただ……。
「分かりました、色々ありがとうございます」
「いえいえ、それでは私は学院長の所へ行きますが、先に学院内を見て回るのもいいですね、リリさんは学院長室に居ますので、それでは」
(バタン)
シーンとなる部屋、さすがに一人だとかなり広く感じる。度ベットに倒れこみ、そして起き上がる。
「とりあえずちょっと、学院内にあるバイト先の喫茶店にあいさつにいくか」
ソラは制服に着替える。
クローゼットの中に大きな鏡が入っていたから、引っ張り出して、自分の制服姿を見る。
ソラは以外に身長は高く、170ちょっとはある、さらに黒髪なので以外に黒と白の制服は似合う、白の制服を黒の制服の上から羽織るように着て、ネクタイを締めて靴を履き、部屋を出た……。
読んでいただきありがとうございます
説明ばかりで疲れた~と思う方もいると思います・・・僕もかなり疲れました・・・
感想、アドバイス、お待ちしております♪