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学院長












 保健室を出ると、かなり広い廊下があり、朝早くから登校している生徒もちらほら見かける。

 ローラの後を歩いて学院長室へ行くのだが、その間にすれ違う生徒から口々に呟かれる。


「ねぇあの子誰?」

「頭の上にいるのは妖精かしら?」 


 など、視線がソラとリリに集まる。まぁ当然といえば当然の反応だ。

 学院内を私服で歩き、なおかつこの世界でも珍しい妖精を頭の上に乗せて歩いているのだから目立ってあありまえ。

 更に言うと、ソラは自分では気づいていないが女子だけでなく男子でも第一印象は“かっこいい”の一言。

 女にすれば自分の母親と見分けがつかない程に綺麗な顔立ち。

 女装が似合う男はやはりある程度、整っいなければ務まらないだろう。それ程までにかっこいいのだ。

 だが本人は気づいていない。なんて勿体無い。その気になれば彼女の一人や二人なんて軽く作れるだろうに…元の世界ではたったの一人として居なかったのだ。 

 まぁそんな話は置いといて、2分ほど廊下を歩くとローラがある部屋に入る。


「あの?ローラさん?学院長室に行くんですね?」

「そうよ?それがどうしたの?」


 しかし周りを見ても何も無いただの部屋に連れてこられて、不思議に思う。

 それから、5分ほどその何も無い部屋にポツンと待っているが、何も起こらない。

 ローラに話し掛けようとすると、ローラは先程出した薄く青いモニターを出しカウントを数える。


「10・9・8・7・6・5・4・3・2・1」


(シュン)









(シュン)


 カウントが終わったと思うと、いきなりソラの目には周りはすべて白い部屋に、ガラスのような透明な机と椅子があり、白い服を着て髪も髭もかなり伸びている老人が椅子に座っている。

 ソラはなにが起こったのか理解できずにただ、オロオロする。


「君がアキナの息子か?」


 オロオロしているソラに老人は声をかける。


「え!? は、はい。ソラと言います」


 ソラは突然声を掛けられた事でビクッとする。

 なんともオーラらしき物を感じさせる老人。そんな人に声をかけられ緊張しまくるのは無理もない。


「話はローラから聞いておる」


 そう言って老人は、ソラの頭の上に乗っているリリを見てニッコリと微笑む。

 そのあまりの優しい笑みに「へ?」となんとも情けない声をこぼしてしまった。

 まったく、イケメンが台無しではないか…


「リリ、久しぶりじゃの」

「やっほー♪おじいちゃん」

「お、おじいちゃん!!」


 目を丸くして、老人を見ながら驚く。どうやら2人は知り合いらしい。

 おじいちゃんね…


「フォフォフォ、そう呼ばれるのも懐かしいのぉ。 見てのとおり、ワシは人じゃ。本当の祖父ではないよ」


 当たり前ですよ。まぁソラは本気で信じていたうようですがね。

 老人はゆっくりと立ち上がり、ソラに近寄ってきて頬を両手で挟むようにして掴みソラの顔をじ~っと見つめる。なんとも言えない表情で固まるソラ。

 あまりのイケメンにこの老人も惚れてしまったのですかね?


「あの…」

「おおーすまん、すまん、アキナの息子の顔をしっかり見たかった物でな」


 まぁ惚れるなんてことはないでしょうね。本気で惚れられたら色々とあれですから……そう色々と。

 老人は手を離しソラから少し離れ、自己紹介を始める。


「ワシはこの学院の学院長、ウォン・リーンじゃ、アキナの事はよく知っとるぞ?」

「ええ、存じています。ローラさんから聞きました」

「そうか、そうか、まぁちとそこに座って話さんか」


 学院長はそう言って近くの透明なソファーに座る。ソラもウォンとは、反対側に座る。

 が、まだどこか緊張して表情がガチガチ。


「あ、あの。学院長さん」

「ん?なんじゃ?」

「母さんの事を教えてもらえませんか?」

「アキナの事か?」

「はい」


 聞きたいことを言えたのは認めるが、学院長さん…まぁ別にいいのだが、さんはないんじゃないのか?

 と、まぁそんな事はどうでもいい。

 ウォンは自分の白く長い顎鬚を触りながらアキナの事を話しだす。

 髭の長い人はどうしてこうも髭を触りたがるのだろうか? いつかその答えが分かる日がソラにもくるんでしょうかね?

 おっと、また無駄話を。















「アキナは、丁度お前さんぐらいの歳の頃に、学院の中庭に倒れていたのをワシが見つけてのぉ、すぐに目を覚ましたんじゃがもう、無茶苦茶な奴じゃったよ」


 学院長は笑みを浮かべながらアキナについて語る。 

 ソラの頭の上に乗っているリリも、アキナの事を思い出して一緒にどこか楽しそうに微笑んでいる。

 それ程楽しかった時間だったのだろう。

 

「ここが自分と違う世界と話すもんだから、最初は頭かどっか打っておかしくなったんじゃないかとも思ったが、アキナの話を聞いての、異世界から来たと言う事が分かったんじゃ。

 最初はワシもビックリして、それからはアキナがこの世界に魔法があると知ってからはもうおおはしゃぎじゃ。

 魔法を教えろだの五月蝿い奴じゃった」


 学院長の話によるとアキナは自分の世界に帰れるかと言う心配よりも、魔法に夢中になって無理矢理この学院に編入したのだと言う。

 なんともお気楽な人なのだろう。

 だがそんなアキナの想像もソラの頭には浮かんでいた。今の性格とあまり変らないですからね。


「それからは、いろんな問題を起こしてくれたわ、だがのぉ魔法の才能は確かじゃったよ、アキナは元々ある魔法を自分で考えていろんな事をして自分だけの魔法を作り出したんじゃ。他にも、いつも魔法の成績はトップじゃったよ……」

「え!?母さんが魔法の成績でトップですか」

「そうじゃ…そして、この学院の卒業式の時にアキナは突然消えたんじゃよ・・」

「学院長はアキナの事を本当の孫のように見てましたからね」

 

 ローラさん忘れてました。まぁ別に気にしてなさそうだからいいんでしょうが、その微笑みに少しイラつきを感じるのは一人だけですが……。

(ガクガクブルブル)


「そうじゃったかの?」

「そうだよ、おじいちゃん」

「えと、つまり俺が元の世界に帰る方法は分からないって事ですか?」


 ソラは不安そうな顔をして聞く……

 やはり元の世界に帰りたいと思うのだろう。

 母親の学生時代の話を聞けたのはうれしかったのだろうが、今はその母親に会えないという寂しさ。


「すまんが、ワシらには分からんのじゃ」


 その言葉にソラは顔を伏せて落ち込む。

 かなり期待していだだけにその学院長の言葉は結構きいたのだろう。

 だがソラは少しでもと、顔を上げキリッとした表情で色々と聞く。

 やはりイケメンはこうでなくては。


「あの…母さんの名前はなんて言うんですか?」


 アキナの名前を聞く。自分の母親の名前から、自分の名前もわかるかと思ったのだ。

 自分の苗字が分からないのはなんだか違和感があるのだろうか?


「ん?アキナは、アキナとしか覚えとらんと言っておったの」


 アキナも名前しか覚えていないという事は、こっちの世界に来たものはなぜか苗字は思い出せないらしい。「そうですか…」とまたしても空振り。

 だが諦めなかった。母親について次々と聞いていく。そこからなにか手がかりがあるかも知れない。

 最初の緊張ぶりはもうなくなっているようですね。

 色々とアキナの学生生活の事を聞いているうちに、ソラも魔法に少し興味が出てくる。

 ソラも男の子。魔法やら超能力といった力を使う事に憧れたことは何度もあるだろう。

 そんなソラに気づいたリリが一つの提案をした。


「じゃあさ、ソラもこの学院に編入してみたら?」

「ほえ?」


 いきなりの事に目を点にするソラ。

 しかしリリの言った事にも一理ある。実際に手がかりは、アテナがこの学院に通ってた。と言う事しか分かっていない。

 まぁリリさんはそんな事これっぽちも考えてはいないが……

 ソラは少し悩んだ。 いきなり異世界で、何も知らない魔法学院に入るのはどうかと顎に手を当てて考える。 こうしていると本当にかっこいいですね。


「確かにソラ君もこの学院に入れば、なにか元の世界に帰るヒントがあるかも知れないし、そうしましょう♪いいですよね?学院長?」

「ローラさん!!ちょっと待ってください!!俺、魔法の事とか今一よく分からないし、いきなり入るのは…」

「だから、この学院で魔法を学ぶのよ。ここは魔法を学ぶ所よ?それに、ソラ君も魔法には興味があるでしょ?」

「そ、それは…多少はありますけど……」


 ソラは両手をモジモジしたり、チラっローラや学院長を見てみたり、再び顎に手をあてたり、足を組んで3秒程で組み替えたりと。 見てるほうはムズムズしてきます。

学院長はしびれをきらして、後一押しといったところのソラに声をかける。


「ソラ、この学院に入るか?」

「え、と…その……元の世界に帰る手がかりも欲しいし、母さんの通った学院だから俺も通ってみたいとは思っていますが、異世界から来た人って結構なニュースなんじゃないですか?」

 

 やはり入りたいのか話にのってくる。だが少し色々と不安そうに2人の顔を見ながら聞く。


「ん?別にいいんじゃないの?ねぇ学院長」

「そうじゃな、この学院内にいれば別にいいじゃろ…実際にアキナはそんな事は遠慮無しに無茶苦茶やってくれたがの」


 軽いノリの2人にちょっと呆れる。

 しかし、学院に通うとなると色々と面倒な事がある。


「でも、その…学費とか生活費とか……」

「そんな事は簡単よ?学費も生活費も学院内のお店でバイトすれば、すぐ貯まるわよ?アキナもバイトしてたし、

あれ、何のバイトだったっけ?」


 どんだけ自給のいいバイトなんでしょうね。

 ソラの居た世界ではバイトだけで学費も生活費もなんとかなるというのは、考えられない事だ。


「それに学費は成績がよければ免除にもなるし、生活費はワシが出してやろう」

「えと…じゃあ俺、この学院に入ってもいいですか?」

「勿論じゃ」


 こうしてソラは魔法学院、アテナに編入と言う形で入る事になった。

読んでいただきありがとうございました

今回は神(作者なんですけどね)の視点が混じっておりましたがどうでしたか?

感想、アドバイスお待ちしております♪

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