第9話 蹂躙されている町
全長五〇mはある『チーター』達が、一匹の竜を相手に交戦している。
そのチーター達は、地球で言う巨大ロボという風貌をしていた。
彼らは先程まで二〇人で構成されていたチームだったが、今となっては十六の巨大『チーター』が首と胴が別れ地面に転がっている。
それら全ては、目の前の竜が引き起こしたものだった。
その竜の名はベルゼフォン。
この地を守る守護神と祀られた、竜の頂の一角である。
赤色の巨大『チーター』が、ベルゼフォンに対しミサイルをマシンガンのように打ち出すが、翼を盾にしてそれら全てを防がれてしまう。
その間に別の角度からレーザーを撃つ青色巨大『チーター』だったが、それら全てをベルゼフォンは飲み込んだ。
白色の巨大『チーター』が剣を携え接近戦に持ち込むが、何度打ち込んでも鋭い爪と拮抗し対処されてしまう。
「チッ! なんだこの竜! この星の奴らは化け物か!?」
ベルゼフォンと打ち合いながら、苦言を漏らす白色の巨大『チーター』。
だがベルゼフォンは隙をついて、その巨体を蹴り飛ばす。
白色の巨大『チーター』は、建物の上に沈む様に倒れ込んだ。
『来い。貴様らの覚悟、試してやろう!』
鋭い爪で掛かって来いと言わんばかりに挑発するベルゼフォン。
その直後、頭上からミサイルを構え強襲する黒色の巨大『チーター』が強襲した。
だが、ベルゼフォンはドリルをいともたやすくかみ砕き吐き捨てた。
『999の星を制覇したと言うが、噛みごたえがまるで無い。ハッタリか?』
「ハッタリなわけあるか! 調子に乗るなよドラゴン!」
そう言った白色の巨大『チーター』の元に、三人の巨大『チーター』が集結しようとする。
的が絞りやすくなってありがたい、と辺りを警戒しながら
『フッ、そうは言うが――――待って? 吾輩の言葉は分かるのなんで?』
ベルゼフォンの問いに誰も答える者はいなかった。
白色以外の三人の巨大『チーター』達が合体し、巨大な大砲となる。
『なんだその機能は!?』
すぐさま白色の巨大『チーター』がそれを背負い、砲身の先をベルゼフォンに据えた。
この世界に満ちる力が、ごっそりその砲身に集まってい行くのをベルゼフォンは感じ取った。
『どういう構造だそれは!?』
驚愕するベルゼフォンだが、体内に溜まっている力を口の中に素早く収束させる。
「《全て破壊の収束砲》ッ!」
『《神と祀られた竜の咆哮》!』
二つの光線とレーザーが、ベルゼフォンと巨大『チーター』の間で拮抗する。
ベルゼフォンの背後には、避難場所となっているシェルターがあった。
距離こそ遠いが、ここで推し負ければ大地は抉れ巻き添えは必須と言えよう。
そして、そこにはガクウもいる。
それが分かれば、ベルゼフォンが気合を入れるには十分だった。
『負けるものかよ!』
ベルゼフォンは口から光線を吐き出しながら、巨大『チーター』達に近づく。
相手は地面に足を固定しているのか、その場から動くことは無い。
白色の巨大『チーター』はそれでもベルゼフォンの行動を止めようと、目からレーザーを発射する。
しかし、ベルゼフォンはそれをものともせず、近づくことを辞めることをしなかった。。
ついに巨大『チーター』達の眼前までやってくると、巨大『チーター』達が合体したレーザーをその身に受けながら持ち上げる。
そうして、違う角度から《神と祀られた竜の咆哮》を発射して破壊した。
「ズルいだろこんなの――――!」
白色の巨大『チーター』は断末魔を上げながら、その光線の中に呑まれ消えて行った。
◇
「俺、いらなかったかもなぁ」
ベルゼフォンの活躍を見ながら、崩れた町の中座りこむボンジャーグ。
「冗談でもそんな事言うんじゃねぇよ。マスター・ボンジャーグ」
ボンジャーグはその声の主を振り返らずとも分かった。
自分の影を踏むと、ジャグーダが飛び出してくる。
その手には、紙の束が握られていた。
「大方片付けたみたいだな。官憲達の報告によると、『時間停止』『空間歪曲』『瞬間移動』『氷結』『植物操作』その他諸々……インチキにも程がある。一人でこんな事したら、マナを使うよりも先にオドが尽きちまわないか?」
官憲達から貰った報告書の内容を読み上げてため息をつくジャグーダ。
オドとは生命体が宿すエネルギーであり、いわば命の力である。これがあるから生命体は活動を可能とするのだ。
マナとはこの神がこの世界に満たした、世界を構築する為のエネルギーである。これがあるから自然は円滑に回っている。
これには属性が存在し、基本的に火、水、土、風、光、闇、星の七つの属性に分かれている。
この星の人間はこれらの力を使い、魔法を行使していた。
魔導もこれらを基礎にして、平等に行使できる力として機械や装置が生み出され発展している。
「使うやつもいるにはいたが、どうも基本的にはマナやオドを使わないらしい。具体的にどんな力を使っているかは何かはわからんが」
そう、ボンジャーグの言う通り、『チーター』達はこれらの力を基本的に使わない。
一体どうやってこういった現象を引き起こしているのか、二人にはさっぱりわからなかった。
その時、ベルゼフォンが突如として舞い上がり、シェルターの方へと飛んでいくのが二人の視界に映る。
どうしたのかと様子を伺おうとしたその時、二人の肌が異常を感知した。
異常を感じる先には、マントを羽織った紳士の様な格好をした『チーター』が立っている。
その目には、憎悪の色に染まっていた。
「私こそはCh.1。これより、復讐を開始する」
そういって、Ch.1はマナやオドを使わずに炎を放つ。
ボンジャーグとジャグーダは、何故かこんなセリフを何度も聞いたような気がした。




