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第十四話:暗黒地下街の潜入と、模倣の刃

 きらびやかな大和の表通りから一本外れた、薄暗い路地の奥。情報屋・影丸に案内されたのは、古びた井戸の底へと続く隠し階段だった。


「この下が大和の『裏地下街』さ。偽物の霊核(尾)を売りさばく闇の市場と、密造組織のアジトが広がってる」

「うわぁ……不気味な場所。湿気で三味線の皮が痛んじゃいそうだな……」

『戯け、三味線の心配をしておる場合か!』


 頭の上で師匠が低く威嚇の声を上げる。

 階段を下りきると、そこには怪しい燭台の光に照らされた、広大な地下都市が広がっていた。怪しげな面をかぶった商人たちが、紫色に怪しく光る『結晶(偽物の霊核)』を取引している。


「本当に……お狐様の尾の力を模倣した偽物が、こんなに大量に出回っているなんて……」


 シオリさんが哀しそうに眉をひそめ、竹笛をそっと胸元で握りしめた。


「おいおい、そこの綺麗なお姉さん。そんなしけた顔しなさんな」


 突如、暗がりから下品なニヤケ顔をした大柄な男たちがぞろぞろと現れ、俺たちの道を塞いだ。男たちの手首や武器には、例の紫色の偽物霊核が埋め込まれている。


「ここはガキとワンちゃんが来ていい場所じゃねえんだよ。……だが、そのお姉さんを置いていくなら、命だけは助けてやっても——」


「……あ?」


 男がシオリさんに手を伸ばそうとした瞬間、俺の頭の中で何かがブチッと切れた。


「おい触るな泥棒猫。俺のシオリさんに手ぇ出そうとしてんじゃねえよ」

『誰が猫じゃトウマ! ワシは狐じゃと言っておろうが!』


「そこはどうでもいいんだよ師匠! こいつら速攻でボコるぞ!」


 俺が右手を突き出すと、黄金の霊刀が実体化する。

 男たちは「ハッ! たった一人の三味線弾きがイキがってんじゃねえ!」と嘲笑い、手首の偽物霊核をバチバチと発光させた。


「見せてやるぜ! この『天雷の尾』を模倣した超パワーをな!!」


 男たちが紫色の粗悪な雷を纏い、一斉に襲いかかってくる。

 だが——動作が遅すぎる。


「模倣品(パチモン)の雷なんて、本物の前じゃただの静電気なんだよ!」


 俺は湧き上がる霊気を足に込め、地面を強く蹴った。

 昨日までの地獄の特訓——シオリさんにかっこいいところを見せるために耐え抜いた成果が、完璧な速度となって身体を突き動かす。


「【雷閃】ッ!!」


 バチバチバチッ!!


 俺の霊刀から解き放たれた鮮やかな紫白色の天雷が、刃状の衝撃波となって地下街の空間を疾走した。


「ぐはあっ!?」「なんだこの雷の威力はぁぁぁっ!?」


 偽物の粗悪な雷など一瞬でかき消され、男たちの武器と偽物の霊核が木っ端微塵に砕け散る。男たちは断末魔を上げて一網打尽に倒れ伏した。


「す、すごいですトウマさん……! 一瞬で……!」

「へへっ、これくらい当然だよシオリさん!」


 刀をサッと振り払い、俺がドヤ顔でポーズを決めると、影丸が呆れたように口笛を吹いた。


「へぇ〜、噂以上の腕前だねぇ。これなら奥の『ボス』のところまで一気に行けそうだ」


『ふむ、手応えが本物の雷の威力に近づいておるな。良くやったぞトウマ。……だが、気を緩めるなよ』


 師匠が耳をピシッと立て、地下街の最深部——固く閉ざされた巨大な鉄の扉を見据えた。


『この扉の奥……間違いなく、我が『本物の黄金の尾』の波動を感じる。そして……それを悪用しておる元凶の気配もな』


 鉄の扉の隙間から、これまでとは比べものにならないほどの圧倒的な黄金の霊気が溢れ出していた。


「よし……サクッとボスを倒して、本物の尾を取り返して、甘味処でおデートだ!」

「ふふ、はい! 応援していますね、トウマさん!」


読んでいただきありがとうございました!


少しでも楽しんでいただけたら、ぜひブクマや評価(★)で応援してもらえると嬉しいです!

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