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「拝啓、かなうへ。あの日の約束を覚えていますか?」  作者: ともり。


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第八話 「将来の話」

# 第八話 「将来の話」


「りょうやってさ。」


コンビニ前の段差に座ったまま、

かなうが言った。


「普通に結婚しそう。」


りょうやは缶のお茶を開けながら、

「急だな。」

と返す。


夜風が少し冷たかった。


駐車場には、

エンジンをつけたままの車が一台止まっている。


店内から揚げ物の匂いが流れてきた。


かなうは、

膝を抱えるみたいに座りながら続ける。


「なんか、ちゃんと生きてそう。」


「雑な言い方。」


「スーツ着て、仕事して、家帰って。」


「偏見だろ。」


「子どもとかいそう。」


りょうやは少し笑う。


「かなうは?」


「俺?」


かなうは少し考えて、

「コンビニで半額弁当見てそう。」

と言った。


「まだ言ってる。」


「たぶん俺、ずっと変わらん。」


かなうが笑う。


りょうやは、

缶のお茶を少し飲んでから言う。


「かなうもなんだかんだ普通に働いてそう。」


「嫌だなその未来。」


「働け。」


「働くけど。」


かなうは空を見上げる。


街の光で、

星はほとんど見えなかった。


「でもさ。」


「ん?」


「大学卒業したら、

 こういう時間なくなるんかな。」


りょうやは少し黙る。


コンビニの自動ドアが開いて、

誰かが出てくる音がした。


「どうだろ。」


かなうが、

缶コーヒーを両手で持ちながら笑う。


「三十五歳とかになったら、

 もう全然別の人生なんかな。」


「まだ二十歳だぞ。」


「でもすぐだって。」


かなうはそう言って、

足元の小石を軽く蹴った。


少し沈黙。


夜の道路を、

車のライトが流れていく。


かなうが、

前を向いたままぽつりと言う。


「……三十五まで独身だったら、一緒に住む?」


りょうやは思わず笑った。


「またその話。」


「いや、現実的じゃね?」


「どこが。」


「家賃折半。」


「理由が夢なさすぎる。」


かなうが吹き出す。


「でも、一人より楽そう。」


その言葉に、

りょうやは少しだけ黙った。


かなうはたぶん、

深い意味なんてない。


いつもの冗談。


でも、

コンビニの白い明かりの中で聞くその言葉は、

なぜか少しだけ、

心に残った。


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