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「拝啓、かなうへ。あの日の約束を覚えていますか?」  作者: ともり。


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第二話 「かなうの部屋」

# 第二話 「かなうの部屋」


「りょうや、今日うち来る?」


講義終わり。

かなうは自販機の前で缶ジュースを選びながら、当たり前みたいに言った。


「今日バイトないの?」


「ない。」


「課題は?」


「見なかったことにする。」


「最低。」


かなうが笑う。


「で、来る?」


りょうやは少しだけ考えて、

「じゃあコンビニ寄って。」

と答えた。


「やった。」


夕方のスーパーは、

大学生と仕事帰りの人で少し混んでいた。


かなうはカゴにカップ焼きそばを入れながら、

「最近こればっか食ってる。」

と言う。


「栄養終わってる。」


「りょうや母親みたい。」


「お前が終わってるだけ。」


そのあと、

アイスを一つずつ買って店を出た。


かなうの部屋は、

大学から歩いて十五分くらいの古いアパートだった。


二階の角部屋。


階段を上がる途中、

かなうが「あ、やば。」

と呟く。


「なに。」


「昨日のゴミ出してない気がする。」


「知らん。」


玄関を開けると、

エアコンのぬるい風と、

少しこもった匂いが流れてきた。


床にはコンビニ袋。

脱ぎっぱなしのパーカー。

テーブルには飲みかけのペットボトル。


「汚。」


「生活感って言って。」


りょうやは靴を脱ぎながら、

「その理論で許されるの、一人暮らし始めだけ。」

と言った。


かなうは適当に笑いながら、

コンビニ袋をテーブルへ置く。


「座っていいよ。」


「座る場所ない。」


「あー。」


かなうは床の雑誌をどかしながら、

「はい。」

とスペースを作った。


窓の外では、

遠くを走る車の音が聞こえる。


かなうはテレビをつけ、

そのまま床へ寝転がった。


「……働きたくねぇ。」


「急だな。」


「だってもう就活の話ばっかじゃん最近。」


テレビでは知らない芸人が騒いでいる。


りょうやはコンビニで買ったアイスを開けながら、

「まあ、わかるけど。」

と呟いた。


「絶対向いてない俺。」


「かなうはなんだかんだ生きてそう。」


「雑な評価。」


少し沈黙。


エアコンの音だけが部屋に残る。


かなうは天井を見たまま言う。


「りょうやはさ。」


「ん?」


「ちゃんと大人になりそう。」


りょうやはアイスの棒をくるくる回しながら、

「それ褒めてる?」

と笑った。


「半分。」


かなうも笑う。


その空気が、

妙に落ち着いた。


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