パーティーへlet'sらgo!
ー夜会当日ー
今日の私は頭から爪先まで洗練されたスタイルで出席する予定。ヘーゼルナッツ色のフワフワのボブ髪は、メイド達の手によって無造作な髪の毛から洗練された可愛らしい髪型へと変化した。
「元々そこまで癖毛じゃなかったのに整えたらより綺麗になったの凄い!」
さっきまで、4・5人のメイドが集まって『ドレス会議』を開催していただけの事があってか、今まで着てきたドレスの中で一番しっくりくる。ドレッサーの鏡に映る自分をまじまじ見ても似合いすぎて怖いくらい。
「あぁーだこーだ言いながら私にドレスを当てて議論していただけあるわぁ……。」
今回の淡い水色のAラインドレスは、袖がふんわりと可憐で気に入っているの。今度からこの系統のドレスにしよう!
「お嬢様は、バネッサ様とは違った魅力がございますから、可憐で清楚なお召し物がとてもお似合いです!」
姉のバネッサは父親に似て細身の高身長で黒髪の似合う美女。前髪を掻き上げてて『高嶺の華タイプ』って感じ?真っ赤なリップとドレスが本当によく似合う自慢の姉。
一方の私は母親似で、可愛らしい小動物の雰囲気。姉とは性格から見た目まで対照的だけど、辺境に嫁いで最近会えてないから寂しいと感じるぐらいには姉のこと好きなのよ。
「美人な姉と比べられるのが嫌で豪勢なドレスを着てだけど、こう言うドレス案外良いわね。」
今日のフリフリ可愛らしいドレスは新たな挑戦で新しい門出に相応しいドレスとも言える。鏡に映る自分の完成度に自信が湧いてきた。
いつも褒められるのは姉ばかりだったから調子乗っちゃっう。
「えへへ。やっぱり私って可愛いかも〜」
調子乗り過ぎてモデルみたいなポーズまで決め込んでたら鏡に映るマリーと目が合った。
「あの…」
「どうしたのマリー?」
「お時間ですけど」
どうやら痺れを切らしたらしいマリーにはため息疲れたけど、いいじゃん!ちょっとくらい浸らせてよ!
「待っててね、私の未来の旦那様♡」
ってな感じで茶番をやっていたのは、丁度30分前。着いたばかりの私と母はまだ会場に馴染めずにいる。
艶やかに着飾った紳士淑女が談笑したり、音楽に合わせて踊ったり、こう言う場に出席するのは3ヶ月ぶり。結婚生活後半からは「どうせ離婚するし〜」と面倒くさくなって、オリバーには恋人と参加してもらっていたっけ?だってそっちの方がお互いwin-winだし。
……それにしても今回はイケメンが多い気がする♡
今日は国賓を招くらしいから、いつもは見ない顔もいるのね!これは新しい旦那を見つけるに打ってつけの機会!
拳を胸の前でグッと力を込めた。国賓万歳!
「何回でも言うけど、イケメン高身長スマートで、月一旅行に連れていってくれそうな旦那を見つけるんだから!」
「……本当に、あなたいつもそればかりね。」
隣に佇む母は、欲望まみれの娘に心底呆れている。けれど、そんな事を気にしているようでは素晴らしい旦那は見つからない!
「会場隈なくイケメンを探索するとしよう!おー!」
とりあえず、会場を見渡すことにしてみよう。
うーん。誰か良い人居ないかな?
…………ん?
「あそこだけ異様に人多くない?」
左の壁側に人だかりが出来ていて、目に留まらない方がおかしいぐらいの異様な光景。真ん中に男性、その周りを色とりどりのドレスが囲んで花のよう。
「まさか……!とんでもない美形がいるの?!」
今の私は好奇心旺盛でイケメンセンサー作動中。そんな時にイケメン見つけちゃったんだからそりゃ私もあそこに参加するに決ま――
「エラったら。囲まれてる男性なんてオリバーくんでしょう。」
「げっ…!あれオリバーだったの?!」
危うく参加するとこだった。元妻があんな場に現れたら修羅場でしかないのに!今日はイケメンが至る所にいるからオリバーだと気づかなかった。
というか、目の前のプレイボーイが自分の元夫だとは誰も思うまい。
「何驚いてるの。あんなにモテる男、そうそういないわよ。ほら顔が見えた。オリバーくん確定ね。」
色とりどりのドレスの隙間からオリバーの顔がチラリと見えた。ムカつく事にそんな時でも顔だけは麗しかった。
女をあれだけ侍らせてるなんて碌な男じゃないのにね☆
「全く。親の顔が見てみた――
「あら〜、エラちゃん。久しぶりね」
ヒョイっと顔を出したのはオリバーの母セレーナ夫人。……私の気まずさには気づいてないようね。良かった。
それはそれとして、20代の息子一人いるとは思えないスタイルと美貌にいつも圧巻される。オリバーは母親似なだけあって二人が並ぶと姉弟みたいになる程若々しい。今日のドレスも大人っぽくてセンスが良いし。
「お久しぶりです〜」
私が挨拶すると母もセーレナ夫人に気付いたらしい。
「あら、レナ遅かったわね。いつもドレス見せびらかしたいからって早めに来るのに」
「今日は道が混んでいてね。遅れて悪かったわ。支度が早く終わたオリバーは先に行ってたのよ。酷いでしょ?!」
「明日は寝坊しないでよね!」
母とセレーナ夫人は明日から夫婦同士で2週間海外に旅行に行くほどの仲の良さ。私も旅行に誘われたけど流石に断ったよね。……気まず過ぎて。離婚して間もないのに義母もいる旅行なんて気まずいもの。
「そうよね。本当大事な時に限って寝坊しちゃうの。」
「本当に昔から変わらないんだから。」
「ウチのオリバーにも同じ事言われるの。フフフ」
「オリバーくん、あそこで沢山の令嬢方に囲まれてるわよ。相変わらずモテモテねぇ〜。ウチのエラと違って。」
『ウチのエラ』ってところを強調する母。
悪かったわね、モテない女で。
母がセレーナ夫人に見せようと、囲まれている方を指差した隙間から『あの女たらしの悪魔』が見えた。
「エラちゃんの魅力に気付かない男達が悪いのよ。あなたは堂々としていればいいの。」
「っ!ありがとうございます。」
オリバーと顔は似ていても性格は天と地の差があるわ!
まるで女神!
「全く、そんなこと言ってられないのよ。この前だって――
まっ、まずい!
このままでは母の説教タイムに入っちゃう!
「あれ〜、あそこ何の列かしら〜?」
気を逸らすためにステージを適当〜に指差したのに、令嬢達が一列に並んでいてオリバー並みに目立っているじゃない!何事???
「あぁ、隣国の王子がやって来るらしくて、その手伝いを募集しているみたい。軽くお花を渡すだけとからしいけど。」
王子?!国賓の正体って王子なの?これは私にもチャンスある!どうやら私にも転機が訪れた。令嬢達に囲まれるてるあの人の事なんか眼中にないんだから!
「王子と結婚して玉の輿に乗るしかない!」




