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【オリバー視点2】他の人とは違う彼女


テイリーとの話が終わりエントランスに着くと、大きなあくびをした従者と目が合った。


「あっ」

「あっ!……」


時が止まったかのように動きがピタリと止まった。まるで時計の針が止まったみたいにね。


彼が以前眠っている間に、馬車に積んで装飾品とか諸々盗まれたことがある。また居眠りしたら重い罰を与えると言ってあるからか、相当焦っているのが見て取れる。


慌てて簡易椅子から立ち上がり『お帰りですか?』なんて仰々しい彼に呆れながら馬車に乗り込んだ。腰掛けた瞬間、後ろに重心が掛かっていることに気づいたーー


荷物が勝手に増えるわけでもないし、もしかして、



「………構わない。馬車を出してくれ」



恐らく潜り込んでいるのはエラシア。このまま屋敷に居たら親子ほど歳の離れた王子と結婚させられると踏んで荷台に隠れたんだろね。中々可愛いことをする。


重さの変化に気付かないウチの従者には呆れたけど、おかげで退屈な午後が刺激的なものになりそうだ。そんな弾んだ気持ちのまま馬車に20分揺られ続けた。


「伯爵様、到着いたしました」


従者の声を合図に馬車から降りて、かれこれ3分。

……荷台から一向に降りてくる気配が全くない。


《まさか……酸欠?》


それなら一刻でも早く彼女を助け出さないと手遅れになる!そんな焦りから勢い良く荷台の扉を開けると――。



「嘘だろう…」



流石の僕でも驚いたよ。荷台の中で()()してたから。



体を丸めて両手を枕の様にして気持ちよさそうに眠っている姿はまるで子犬。そんなことを思ったら先ほどまでの緊迫した気持ちが呆れに変わった。


この状況でぐっすり寝れるなんて中々肝が据わっているよ、僕の元奥さんは。らしいと言えばらしいけど。


「はぁ……取り敢えず、最悪の事態にはならなくてよかったよ。全く、世話が焼ける。」


小言を言っている僕だけど、なんだかんだでこんな状況を楽しんでいるのは変わっているよね。何でも器用に出来てしまう僕にとって、毎回問題を起こす、この兄妹2人は日常の刺激的な存在。だから彼らに惹かれるのかもしれない。


「君達兄妹には、毎度のことながら驚かされる事ばかりだよ、エラシラ。」


僕の腕の中でスヤスヤ眠る彼女には聞こえてないだろうけど、今日あったことを思い返すと、呟かずにはいられなかった。


そんな時、ポツリ…ポツリと小ぶりな雨が降ってきたので屋敷の中へ早々と逃げ込んだ。『あぁ、さっきの従者は解雇しないと』なんてことを考えながら…



* * *


「君に損害賠償を――。

「わーかった。分かった。そんな事しないわ。お邪魔しました!」


話し終えた彼女は落ち込んだ様子で帰って行った。1人で帰らせたことをテイリーに知られたら怒られそうだ。そう思い、すぐさま護衛を呼びつけて指示を出した。彼女は嫌がりそうだけどコッソリ後を付けさせれば問題ない。


1人ソファーにポツンと取り残された僕はこれから仕事でやることある。だけど、今はそれよりも……



「レナード。話、全部聞いてんだろう」

「……何で分かったんですか?」



渋々扉を開けるレナードは、僕の勘通り聞く耳を立てていたらしい。話が早いから構わないけど。


「まぁ、仕事柄って所?それより今すぐ……は役所が閉まってるから、早朝に離婚届を取り下げに行ってくれ。それと、結婚届も持ち帰って来てくれ、頼んだよ。」


テイリーがやらかして本当に王子と結婚する羽目にもなりなねない。やるならしっかり相手の逃げ道は無くしておかないとね。



「旦那様……遂に!遂に自分の気持ちに気づいたのですね――


「うーん……それはどうだろうね」



それでも、彼女が眠りから覚めてから、30分しか経っていないと言うのにとても印象深い時間だったのは事実――。


まず、ダブベッドを一人で使っているというのに、それを感じさせない豪快な(?)寝相に笑うしかなかったし。(ラッコみたいだった。)


僕の存在に気づいて驚いたかと思えば、スイーツの香りに気づいた途端、虚ろげな瞳が輝き出しんだ。さっきまで爆睡していた人と同一人物とは思えないよね。見てるだけでお腹が膨れてきそうな食べっぷりに感心してしまった。


口いっぱいにシュークリームを詰め込んだかと思えば、あんな分かりやすい棒読みの演技をしたり。いや〜、本当にあの演技を見たら彼女が喜劇団員じゃ無いことを心底感謝したね。あの演技は下手すぎた。


こうして見てみると、彼女と関わらなかった2週間よりも『今日一日の方がずっと濃い』ことをあの30分で深く思い知った。


「まぁ、これからの彼女との生活が少し楽しみになったのは事実だよ。レナード」


「ほっ!本当ですか旦那様ぁ!」


エラシラとの会話を思い出していたら、これから始まる結婚生活が少し楽しみに思えてきた。



「それじゃあ、この部屋を奥様が使えるように整えておかなくては!旦那様、悪いですけど掃除するので出ていってもらえます?」



「一応、僕が君の主人なんだけどね……」


扱いが少々雑だが、それも念願のエラシラが妻として帰って来るからだろう。それにしても………



「あぁ、ドレスも新調しないと。あと宝石と……ブツブツブツ。あっ、旦那様、構いませんよね?」



レナード、張り切り過ぎでは?



「あぁ、勿論」




因みに、レナードはこの後に宝石品7点と、ドレス14着も爆買いしてオリバーにこっぴどく怒られたそうです。笑



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