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強引に鳴るファンファーレ

 日本刀を表すオノマトペとして、ギラリ、が良いのか、ぬらり、が良いのか?

 これ結論が出ました。


 殺意がバンバンに乗ってるときは、ぬらり、で間違いない。

 恐らく、これから斬られる、ということで自分の血を見てしまうんだなぁ。


「赤い泪(なみだ)を流すッスか?」


 現在、自分、ムータンに脅迫されております。

 CV:木野日菜から、CV:若本規夫に変わりそうな勢いです。


 ……これがタケルの策の全貌か!


「ファンファーレを鳴らすッスよ。私にアレを操らせるッスよ」


 と、と、とりあえず落ち着こうムータン。

 イヤだ、とは言ってないよね? ただ、さすがにこれはどうなんだろうと、合図があってから確認してみたけど、二人しかいないわけで……


 そ、そうだね!

 さすがに最初から二人だと合図は発せられないんだから何か絡繰りがあると。それは、日本人を知る上でも確認したくはあるよね。


 そもそも、テストプレイなわけだし。

 ようし! 自分、ファンファーレ鳴らすよ! 何なら生でやっちゃうよ!


                   ▼


 ファッヴァッファッヴァーーーーーン!


「今の何だか変じゃなかった?」

「……クリアで良いのかな?」


 いいんです!


「おめでとうございます!! ところでこれは何ですか!?」


 興奮冷めやらぬムータンがフワフワと浮いた状態で、案内を行っている。


「ドローンっていって、多分こっちの世界で飛べる最小の機械だよ。その中でも蝶型のもの」

「ドローンは知ってたけど、こんなに綺麗なのがあるとは知らなかったわ」


 タケルとマイが待ち構えていたように蝶型ドローンを操って、フワフワ浮かんだままのムータンに向けて解説していた。

 ……ムータン、上司を脅迫してまでドローンを堪能してるね。本当に科学と魔法の見分けがつかなくなってきてる気がしてきた。


 二人はベッドの上で、何かゴミ? か、何かを広げてその上に座り込んでいる。

 タケルは、言ってみればいつもの格好だ。Tシャツにジーンズ。Tシャツにプリントされている言葉は「金田伊功が好き」だった。


 ……見たことある名前だなぁ。


 マイはワンショルダーの花柄ブラウスに、白のボトムズ。

 な、何だか、いつもよりも攻撃的な雰囲気だ。


 散らばっているゴミが問題なんだろうな。

 ぐしゃっと広がった黒い髪と、肌色の切れ端がベッドの上にだらしなく。


 ……死体……では無いんだろうな。

 少なくとも血は流れてないし。


「確かにこれ、フェアリー族っぽさがあります。まさかこれが機械とは……」


 あ、あのムータン?

 そろそろ他の事にも気付いてもらっても良いですか?


「ドローンは守おじさんが持ってたんだよね。聞いてみたら、持ってるから」

「ああ、やっぱり親父のだったのね。……もしかして、コレも?」


 コレ?

 ドローン以外に特別持ち込んだような物は……もしかして、ベッドの上のゴミか?


「そう。尋ねてみたら持ってるって言うし。古いものだから、壊して良いって」

「新しいの持ってるって事なの? あのバカ親父~~~!!」


 持っていると怒られるようなもの?

 ムータン! さっきは譲ったんだからさ、ぜひともこっちのリクエストをですね……


「そうそう。お二人はどうやってクリアされたんですか? 複数の女性がいることが条件だったんですけど、お二人しかいませんし」


 フワフワ……


 まったく関心が無い!

 ……でも、それが良かったのかも。


「ああ、ダッチワイフって言うんだ。説明が難しいな。人型に膨らませることが出来る風船で、四階で変装に使った服とカツラをそれに着せて、そういう感じにした」


 だ、ダッチワイフ~?

 何だそれは……ええと、ほとんどはタケルの説明のまんまか。


 あ、それで「空気よめ」という言葉が日本人の間で変な感じになるんだ。

 さすがに女性で知ってる日本人はいない気がするけど……マイはやっぱり特殊なんだな。


「ダッチワイフ持ってラブホテルに入るのは……そういう可能性はあるのかなぁ? 『四畳半神話体系』のキャラだとやりそうな気はする」


 「四畳半神話体系」?

 ダッチワイフ……ああ、ラブドールというのがあるのか。

 それで古いとか新しいとか――


「壊してしまって良かったんですか? いえ、その前に壊す必要があったのかどうか――」

「壊す以外に、何をしろというの?」


 素朴な質問風に破壊活動の承認を求めてくるマイ。

 あ、コレはダメだね。危険だね。ムータン、撤退をよろしく。


「ところで、クリアで良いんだよね? 何か変だった気がするけど」

「あ、それは大丈夫です。クリアしたからこそ、私はこうしてフェアリーになれたわけですから」


 なって無いからね。その指摘は怖いからしないけれど。

 しかし、コレはタケルにやられたなぁ。ムータンを上手い具合に操られてしまった。

 この階のクリアは難しいとずいぶん前から準備してたわけだ。


「それで、このビルはこの階が最上階よね。じゃあ、迷宮も最後?」

「はい。そうなります。お二人にとっては、それほど問題無いでしょうし、クリアまであと少しですね」


 良かった。

 ムータンが完全にマニュアル無視するんじゃないかと思ったけど、ギリギリで踏みとどまってくれたようだ。


「じゃあ、ちょっと下の迷宮、覗いてみようか。対策が必要なようなら、今日は引き返して守おじさんに謝りにいこう」

「あの親父、しばく」


 ……クリアするまではこっちの世界で捕まらないでいて欲しいなぁ。

 部下に脅迫された自分が心配することではないのかも知れないけど。

原典は「赤い涙を流すがいい」というわけで、カウボーイ・ビバップ#25よりビシャスの台詞です。

これ悔し涙とかそういうことじゃなくて物理ですから。しかも日本刀。


もう「想像せよ」のターンが終わりましたからね。

気分は敗戦処理ですが書き終わってますので、エタりはないです。

最終回はトラブルなければ次の日曜日ですね。

では、そこまでお付き合い下されば幸いです。

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