深い谷
始まりは平原であった。
なだらかな隆起はもちろんある。
しかし最初はやはり、平面であったのだ。
平面であるからこそ、降り注ぐ雨は平原全体を濡らしていた。
だが、雨はやがて平原を浸食する。
川が出来、平原を二つに分かつ。
しかそれは見方を変えてみれば、平原に山が出来たようなものだ。
まるで平原の頃にわずかに隆起していた部分が成長するように。
それから、どれほどの時が経ったのだろう。
平原を二つに分けた川もまた大きくなってゆく。
平原を削られたことによって、そこには二つの丘が誕生していた。
その間を流れる川。
それは間違いなく豊かさの象徴だった。
愛すべき風景がそこにあったのだ。
しかし、川の浸食は止まらなかった。
止まらなかったからこそ、さらに二つの丘はさらに大きくなってゆく。
相対的、というべきなのだろう。
川が大蛇のように丘の間でのたうつに従って、風景はさらなる雄大さを獲得した。
もはや、人を惹きつける優しさはそこにはない。
圧倒的であり、絶景でもある。
いや、それでもなお、二つの丘は人を惹きつけていた。
二つの丘に挟まれた、深い谷。
そのあまりの深さにこそ人は惹かれるのかもしれない。
しかし人は、その深さに惹かれること自体を、認めない。
闇に惹かれることを、簡単には認めることが出来ぬように。
そんな深い谷の奥で、大蛇と化した川が暴れ狂う。
時には、二つの丘を揺るがすようにして。
さらには川の終着点である、海。
その海さえも激流となった川――もはや大河と言っても過言では無いだろう――に、責め苛まれる。
時には海からも大河を迎撃するように、波を打ち寄せてくる。
何とかして、優位さを獲得しようとして。
しかしそれは大河に対しての、誘いにしかならない。
大河はさらに激しく、海へと注ぎ込む。
その勢いは、深い谷にも及ぶ。
浸食し、蹂躙し、二つの丘はそれでも尚、抵抗を試みる。
大河そのものの流れを変えるかのように、圧迫する。
時には大河そのものを遮断するかのように。
だがそれは、適した治水と言えるだろうか?
決して大河を塞いではいけないのだ。
大河は塞がれたことで、その力を溜めてしまう。
来るべき決壊に備えるように。
いや、むしろ現状は決壊を楽しみにするかのように。
二つの丘に挟まれ、それでも尚且つ暴れ狂う大河。
その激しさは大地全体を揺るがすかのよう。
激しさは熱となり、周囲に陽炎が立つ。
それは間違いなく危険信号。
だからこその必然。
安全を求めるように、二つの丘、大河、そして海。
それらの意志が重なり、蓄えられていた力が深い谷より一斉に海へと射出される。
海はそれを、諦めと共に大いなる心で受け止め、大河は再び穏やかさを見せるのである。
しかし、人を惹きつける深い谷は変わらずに雄大な景色をそこに魅せるのである。
そんなわけでパイズリのイメージです。あとがきでも警告来るんですかねぇ?
実験だから、このまま行きますが。
一応、清水としみつ氏の「う・た・ひ・め」において「ティティーズ・ファック」という名称がある、なんて事をタケルがポロって言ってしまって、マイの機嫌が無茶苦茶悪くなる。例の童貞呼ばわりされる。なんて、くだりを考えていたんですが、入れる余地がありませんでしたねぇ。
成年マークが無いのに、ギリギリいってる漫画の紹介とかしてみると警告貰えるんじゃないかとか、考えていたのに残念です。
あ、お約束ですので。
「想像せよ!」




