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デクのように

 それはともかくとして、この階はクリアして欲しいんだけど。

 ちょっとモンスターサービスしすぎた。


「いまさらだけど、これって迷宮で良いのかな?」


 それな。

 複雑な通路にしかなってないよなぁ。


 一階だから、それほど凝った仕掛けはしてないし、練習用だったんだよね。

 用意してたモンスターの数と、明らかにバランスが取れていない。


「練習用だからだと思う。まずは迷宮自体の構造とか大きさを知ってもらいたいんじゃないかな?」


 さすがタケル。


「チュートリアルかぁ。大きさは元のラブホテルと多分同じよね?」

「僕もそう思う。それで間仕切りして、迷宮仕立てにしたんだろう。しまったな……ノートかなにか用意してくるんだった。オートマッピングになれすぎた」


 オートマッピングは、ゲームだと便利だけどさすがにこっちで再現するのもどうかと思って。

 

 そのあと、二人は「ドルアーガ」とか「ゲームブックでやった事あるね」とか言っているけど……調べるんですね。

 本当に際限なく出てくるな。


 そしてモンスターを全部倒してしまっていた二人は、丹念に迷宮を塗りつぶして、扉の前にたどり着いた。


「すっごく簡単。前に気付かなかったっけ?」

「多分、戦いに夢中になってたんだよ。レベリングは夢中になるから。それにこれサクサクだし」


 ふむふむ。

 やはり、難易度調整は必要だな。


「扉ここだけだっけ?」

「うん。まぁ、他にあっても結局開けるしかないわけだけど」


 大丈夫。

 ここしか無いから。


「多分、フロアボスがいる部屋だと思うんだ」

「フロアボス?」

「そう。それを倒したらこの階はクリアって事になる……目安だね」


 目安扱いか……否定出来ないなぁ。


「とにかくモンスターがいるわけだ。それなら扉越しに撃っちゃう?」


 げ!

 た、確かに、それで何とか出来るけど、それじゃ必要なアイテムを……ああ、やっぱり先にそれは伝えておいた方が良いのか!


 やって良かったテストプレイ!

 だけど、今はどうしよう?!


「それは……やめておこう。破壊出来ない仕様になってる可能性もあるし、そうすると逆に怪我をするかも知れない」


 おお!

 タケルが、自分の知識で慎重になってる。


 こういうプレイヤーの反応は、織り込み済みだったりするんだよね。

 迷宮商売の基本だな。


「じゃあ開けるよ。どうせたいしたのいないんだろうし。撃って終わり――」


 マイの思い切りの良さは参考にすべきなのか……


「で!? なにあれ? ケルベロスなんじゃないの?」

「え? 本当だ……」


 ああ、あの魔獣をこっちではケルベロスって言うんだってね。

 なんだかあんまり動かない習性があるから、配置しやすい。


 三つの頭があるのは、多分動き回らなくて済むからだと思う。

 それに火も吐くからなぁ。


 基本的にあの魔獣は動きたくないんじゃないかと――ムータン、そういう資料あったっけ?


 そんなわけで、大した障害にはならないだろうな。

 マイの銃で、あっという間に片付けられてしまうだろう。


 そのあとにクリアアイテムを入れ替わりに出して――


「どうする? ケルベロスって無茶苦茶強いんでしょ?」

「ああ。一階で登場するようなモンスターじゃない」


 え?


 現地人だと、そういう認識になっちゃうんだ。

 こっちの日本人なら……知らない可能性はあるかな?


 対応策として配置するモンスターを、ケルベロス以外にすげ替える手は確かにある。

 ただ一階にケルベロスを配置してるのは、強さがちょうど良いだけじゃなくて、他にも理由が……


「くそ! さすがテストプレイだ。バランスがおかしい! こんなんじゃクリア出来ない。あ、そうか。ムータンに訴えれば良いのか」


 タケルが慌てながらも、ちゃんと正解にたどり着いてくれた。

 これならムータンを通してケルベロスの強さについて説明出来るし、クリアアイテムのことも伝える事が出来る。


「いいよ。撃っちゃば良いんだから。あたしの銃って想像力でどうにかできるんでしょ? だから、あたしの思う、一番強い銃想像すれば良いんだ」

「良いんだって……どれを?」


 そこが問題だな。


「えっと……とにかく、子供がいて……」


 それじゃ全然絞れない。

 「リコリス・リコイル」だって、そういう言い方でまとめることが出来るし。


 ただ、あのアニメで出てくる銃は違うだろう。

 そうか! マイがどんな銃を想像しているかは、銃の変化でわかるな。


 うん、変化をはじめてる。

 何か長いバケツみたいな……これ本当に銃?


 マイがそれを抱え込むようにしてるので、突きだした胸が“ふにゅん”と変形してるけど、それはきっと関係無い。


「それで、違う空間に逃げた敵をロボットがずっと追いかけていて、勝手に標準を合わせる奴」

「――! マイちゃん! それダメだ!!」


 タケルがいきなり叫んだ。

 マイに注目しすぎて、タケルの反応を確認するのを忘れてたな。


 今まで見たこともないタケルの反応だ。

 凄く焦ってるけど、ケルベロスはたいしたモンスターじゃないから、問題があるとは思えない。


「波動ガンなんか想像したら、異世界ごと吹っ飛ばす可能性が――」


 え? な、何を……


 ――――――


 ――――


 ――

デクさんはベテラン(思わず敬語)。

本当に亜空間に逃げた敵を、そのまま制圧する波動ガンは、チートとかそういう言葉ぶっちぎってますね。

ああいうの見たあとにチートとか言われても……となります。


そういえば拙作「異世界も、俺は俺だし、そうボッチ。」でも波動ガン出してました。

今回ほど無茶な使い方してませんけどw


この終わり方で、果たして続くのか? 星になってしまうのか?

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