会話と契約
「この世界に招いた!? 貴方が!?」
「うん、そう。俺が君をこの世界に招待したんだよ。所謂、召喚という奴だね!」
ルシファーさんは笑顔で頷いてくる。
何故か、俺が来る時のことに詳しいなと思ったが……まさか、この人が呼んだ人だったなんて。
「いやぁ、異世界で面白い反応があったから、ついさ。あ、自己紹介がまだだったね。俺の名前は『リオン・ルシファー』。ルシファーの名を襲名した者だ。もちろん、種族は」
そういうとルシファーさん……いや、リオンさんの背中から灰色の六翼の翼が姿を現し、それと同時にルフェさんからも四翼の灰色の翼が姿を現し、兄弟で並ぶ。
「堕天使だよ」
「兄妹ですから、私もです」
ルフェさん、隠しててゴメンね? という感じで言われても、ヘルプさんのおかげで正体はわかっていたんで……なんか、すんません。
っていうよりも、堕天使って……何が進化したらそうなるんだ?
【堕天使……天界より追放された天使が堕ちた者のことを意味する。その際、純白の翼は黒と混ざり合った、灰色の翼へと変色する。堕天使は魔族として部類され、魔人とされている】
だから、魔人のための種族っていうことか……いや、待て。
この世界には五つの種族があるとは聞いていたが、天使なんて聞いたことは……?
「あぁ、ヘルプが良い感じに仕事してくれてるみたいだね。よかったよかった」
「え? この頭に響く声のヘルプさんを知ってる……? もしかして」
「勿論、俺からのプレゼント。いきなり異世界に放り込まれても、困るでしょ? 常識とか、魔物についてとか、色々教える機能をつけてあげようと思ってさ。だから、『教導者』を作ってみたんだ~。知らない知識は君が他人から聞けば、それを勝手に吸収して、アップデートする使用だしね」
あぁ、だから、あの時にランクについてのことが追加されたのか。
「君と共に知識を成長させていく。面白いでしょ?」
「いや、まぁ……じゃなくて! 貴方が俺を召喚したって……?」
「え? そうだよ。言ったじゃん、面白いのを見つけたからって」
「ユージさんから面白いものですか?」
このことに関してはルフェさんも知らない様で、首を傾げながら訪ねている。
それよりも、面白い物って一体なんだ?
そんな反応が俺から出ていたのか……?
「うん、面白い物。でも、反応を見つけたってだけで、誰かわからないから、無闇に召喚できないな~と思ってさ。とった行動が、俺の探している人物にしか見えない特殊な物を送ったんだ。送る際に姿を変えるんだけど、それがゲームだったってわけ」
「俺のゲーマーにでも、反応したのか……。いや、つうか、それだけで召喚って……」
さすが、魔王。
やることが人とは違うな……。
傲慢の王と呼ばれるだけあるよ、この人。
つうか、なんでゲームを知ってるんだよ。
「それはね、俺がたまに向こうの世界を覗く魔法を使っていたからさ! でないと反応を見つけることなんてできないでしょ?」
「そうなんですか、って言いたいけど、ナチュラルに心読むのやめてくれます?」
「読んだんじゃないよ。顔が物語ってたから」
「また顔!?」
エリーナといい、ルフェさんといい、リオンさんといい、そんなに俺の顔はわかりやすいのか!?
全てを物語っているのか、俺の顔は!?
【ポーカーフェイスを覚えることを推薦します】
余計なお世話だよ!
その内、メイなんかは心を読む目を使わなくても、俺の顔見ただけでわかるとか言い出すんじゃないだろうか?
不安になってきた……。
「それでヘルプは確かにつけたんだけど、スキルがどんなのがつくのかはランダムでさ、その人に合わせるんだけど……うん、予想通り、『魔物使い』のスキルだったみたいだね。他にはどんなスキルついたの?」
「ちょっ、近っ……」
「! ユージが困ってるから、離れて!」
興奮したかの様に、目を輝かせながら、近づいてきたリオンさんに少し仰け反って困っていると、さっきまで黙り込んでいたメイが、間に割って入り、リオンさんを俺から引き離す。
そして、そのまま俺の前に立ってくれてる辺り……守ってくれてるんだろうな。
スイムもいつの間にか、メイの横でぴょんぴょんと飛び跳ねている辺り、スイムもだろう。
でも、魔王にそんなことして機嫌が悪くとかは……なってないよな?
俺はリオンさんを見てみると、意外そうな顔で俺たちを見ていた。
「へぇ……変わった魔人を連れてるんだね。でも、こっちに来たのは数時間前だよね? なら、魔物から進化させたとか無理があるね……。ということは魔人の状態で遭遇して契約を? 凄いなぁ……魔人がテイムされるなんて、滅多にないことなのに……それを従者にするなんて」
「違うよ。私とユージ、スイムは友達!」
「友達……? ほほぉ、なるほど」
メイの言葉に反応したリオンさんは視線を落として、何かを確認している。
その視線の先は恐らく、俺の手の甲にある紋章だと思う。
そして、メイの首とスイムの体に刻まれている同じ紋章を。
「確かに紋章が少し違うなぁ。ハートマークが入っている紋章なんて、見たことがない。ということはテイムはテイムでも、友好の意味でのテイムなのかな? こんなのは初めて見たなぁ。そこのスライムも興味深い。スライムなのに感情を感じさせる様な行動……」
あ、やっぱり、魔王から見ても、スイムの行動は珍しい様だ。
リオンさんはメイとスイムを観察する様に見つめている。
「このスライム……へぇ、面白そうだね」
「ルシファー様、この可愛いスライムがどうしたんですか?」
カミオさんがリオンさんの言葉に反応し、俺が聞くよりも先に聞いた。
リオンさんがスイムを見て、何かわかったかの様な反応は確かに気になる。
「ん? いや、俺でも難しいことをできるなんてすごいなぁと思ってね」
はぐらかすかの様な、遠回しに何かを言っている様な、そんな感じでいうリオンさん。
スイムが感情と知性を持ったことを言っているのだろうか……。
「お兄様もスライム……スイムちゃんが感情を持っているのは凄いと思いますよね?」
「あぁ、うん。そっちも凄いなぁとは思ったんだけど……ね」
「他に何かあるんですか?」
「うん? その内、わかるだろうから気にしなくていいよ。もしかしたら、ユージとスイムは世界で初凄いスライムと凄いスライムを生んだ者となるだろうね」
「は、はぁ……?」
何を言っているのか、俺にはさっぱりである。
この人はスイムの何かを見たのだろうか……?
もし、そうなら、どういう意味か気になるのだが。
「それにしても、そこの魔人」
「メイだよ」
「メイだね。君は面白い姿をしているね。毒蛇の尻尾、悪魔の翼と天使の翼まで持っていると来た。一体、何の種族なんだい?」
メイのいきなりの訂正にも、何も言わないとは……本当に傲慢の魔王なのか、この人。
傲慢の様なところとそうでないところがあり過ぎないか……。
「ルシファー様、メイの種族は『合成獣』の様です」
「キメラ……? 魔人の? 存在したんだ……」
リオンさんの様な魔王でも、やはりキメラの魔人は見たことない様だ。
それを聞いてか、更に興味深そうにメイを見始め、それが嫌なのか、メイは俺の前に立つのをやめて、逆に後ろへと隠れてしまう。
「ピギッ! ピギギ!」
「おぉ、声まで発するんだね、スイムは」
メイが俺の後ろに隠れたのを見てか、スイムが俺とメイを守るかの様に何度も飛び跳ね、威嚇するかの様に声を上げるが、逆にそれはリオンさんの興味を引くだけの様だ。
ただ、攻撃しないところを見る辺り、相手は魔王……勝てないとわかっているからこそ、下手に攻撃しないで、威嚇だけで済ませているのだろう。
レッドドラゴンにさえ突っ込んでいったり、心臓を欲しがるメイがリオンさんの前だと守るかの様にしかしなかったほどだしな。
何処か、飄々とした雰囲気はあるが、実力は魔王と恥じないくらいあるのだろうと思う。
ヘルプさんなら、教えてくれるか?
【個体名:リオン・ルシファー、魔物名:堕天ノ長、ランク:不明】
ふぁ!? いきなり教えてくれたかと思うと、ランク不明って何!?
Sランクに当てはまらないほどなの!?
さすが、魔王だよ! いや、それよりもだ。
「俺を召喚した理由を聞いてもいいですか?」
「ん? さっきも言ったじゃん。面白い反応があったからって」
「その反応って、どういったものですか?」
「確かに私も気になります、お兄様」
俺と同じ様に疑問に感じていたルフェさんがリオンさんへと視線を向ける。
「面白い反応は面白い反応さ。コレを簡単に教えるのはツマらないでしょ? あ、別に勇者の反応とかいうわけじゃないからね? 魔王が勇者を召喚っていうのも面白そうだけどさ」
「真逆の力持っている時点でわかってますよ」
どこまでもはぐらかす気か、この人は。
面白い反応があったから、という理由だけ述べられても、こっちは納得いかないぞ。
いや、ファンタジーの世界だから、意外とワクワクしてるんだけどさ、俺は。
「そう、その真逆の力がヒントかな? 後は……特に理由はないかな」
いやいや、待て……さっきの間は何?
絶対、後者も何かあるだろう。
とは言っても、今までのリオンさんを見る限り、また飄々とかわされるんだろうな。
それに真逆の力がヒントと言われても、ピンとこないのだが。
「まぁ、その内わかるから、大丈夫だよ。それよりも、他にテイムしたのはいないの?」
「今はメイとスイムだけですが……」
「えぇ? せっかく、テイマーの力を持ってるんだから、色々テイムしなよ! 目指せ、モンスターマスター!」
「やめてください。元の世界でそれに似た言葉を聞き覚えがあるんで」
ボールにとある生き物たちを入れて持ち歩くゲームとかで。
いや、あっちの場合はアニメでかな。
っていうか、この人はたまに地球を覗いてたんだよな……?
絶対、あのネタを知ってて言ってるに違いないよ。
「何でもかんでもテイムする気はないですし……テイムしようとしたら、メイが」
「あぁ、倒しちゃうんだね?」
心臓やコアを欲するのはスキルがあるからこそでわかるんだが、テイムする時間くらいほしいよ。
俺、ブラックドックが欲しいんだよ?
ヘルハウンド、カッコよかったもん。
テイムして、進化させたいじゃん。
本当、メイをどうにかする様考えておかないとな……。
「なら、そうだね。妹を助けてくれたお礼のおもてなしとして、好きな魔物を一体あげよう」
「え!?」
いきなりのリオンさんの提案に俺は驚きの声を上げてしまった。
いや、願ってもないことなのだが、いいのだろうか?
「フフフ、もちろん構わないさ」
「そんなに顔に出やすいですか? 俺」
「もう何を考えているのか読んでくれっていうほどには」
リオンさんのその言葉にルフェさんも頷いており、ドアの近くで控えているはずのカミオさんまで頷いている気配がした。
なんだか、憂鬱になってくるな、本当に。
「それで、どんな魔物が欲しい? 小鬼? 翼竜? 色々いるよ?」
いや、なんで最初にゴブリンの名前を出したのだろうか?
後者のワイバーンの方が魅力的なのだが。
わざとだろう、絶対に。
だけど、欲しいというなら、やっぱり……。
「ブラックドックか、ヘルハウンドいませんか? 遭遇してから、欲しかったんですが、メイが倒しちゃうので」
「なるほどねぇ。もちろんいるよ。そうだ、カミオ」
「何でしょうか?」
「教導官のデカラビアを呼んでくれないかな? ほら、つい最近拾ったブラックドックを連れてきてって」
「かしこまりました」
そういうと扉を開けて出ていくカミオさん。
「少し待ってね。魔将兼教導官のデカラビアがブラックドックを連れてくるから」
「はぁ……。そういえば、その魔将っていうのは一体何なんですか? カミオさんも魔将と名乗っていましたが」
「良い質問だね。来るまでのついでに説明してあげるよ」
ずっと聞こうと思っていた魔将……一体、どういう意味なのだろうか?
魔の将軍とか……?
「まぁ、簡単に言うと役職なんだよね。ウチには魔将が十一人いるんだ」
「役職……ですか?」
「うん、彼らはそれぞれ軍隊を持っていてね。それらの指揮を執る者たちっていう意味。だから、『魔将』。ちなみに強さは俺やルフェの次に強いよ?」
「メイド長って言ってるカミオさんもですか?」
「うん、カミオも凄く強いんだ。まぁ、君に更にわかりやすく言うなら、四天王とかに近い感じかな。魔の将軍たち。俺の元まで来たければ、彼らを倒してくるのだな! 的な?」
洒落のつもりで言ったのだろうが、魔王がそれ言ったら、洒落には聞こえない。
というよりも、魔将が十一人ということは、一つの軍隊がどれほどかはわからないが、凄い戦力じゃないのか……?
「君も魔将とか作ってみたらどうだい?」
「いや、俺は別に魔王とかいうわけじゃないんで」
「……そうだね、今は」
ん? 今はって、俺は人だからなることはないんだが……。
どういう意味かと思っていると、扉がノックされ、扉が開くとカミオさんと黒髪の男性がブラックドック連れて入ってくる。
っていうか、戻ってくるの早いな……。
「ただいま戻りました」
「呼ばれてきたぜ、リオン様。偶然、コイツを連れていたら、カミオと出会ってな」
あぁ、だから来るのが早かったのね。
そして、男……デカラビアさんかな。
その人は俺を見ると、ツリ目のせいか、ただでさえ鋭い目つきなのに、更に目を細めて、鋭く睨んでくる様に見てくる。
俺、何かしましたかね?
「お前が黒妖犬を欲しがってるテイマーか? リオン様が召喚したとは聞いたが……お前に任せて大丈夫なのか? そもそも、その前に懐くのかよ?」
「そこらへんは問題ないと思うよ。ねぇ、ユージ? できるから、頼んだんだよね?」
「えぇ、まぁ。それじゃ」
俺は次元倉庫から、きび団子を取り出し、袋から一つ取り出して、掌に乗せて、ブラックドックに近づける。
ブラックドックは最初は唸り声をあげて、俺を睨んでいたが、きび団子を見た途端、その唸り声がなくなり、興味がきび団子へと向けられる。
近くで生唾を飲む様な音が聞こえた気がしたが……まさか、魔族である皆が反応してるのか?
俺の魔物へのお菓子って意外と凄い……?
リオンさんも反応しているのだろうかと思い、チラッと見てみると、リオンさんは平然として、笑顔を浮かべながらこちらを見ているが……ルフェさんがこっちを凄い見てる。
主に手に持ってるきび団子を凄い見てる!
更に視線をデカラビアさんとカミオさんに向けると、確かにきび団子へと視線が行っている。
魔将さえをも引き付けているのか、コレは!?
意外と凄いスキルなのかもしれないぞ……コレ。
「収納スキルと何かの生成スキルかぁ、凄いなぁ。俺は平気だけど、魔族が惹かれる物だなんてね……。未来が楽しみだよ」
冷静に分析しながら、何か気になることばかり言ってるよ、リオンさんは!
とりあえず、今はブラックドックだ。
ブラックドックは俺の掌に乗っているきび団子のニオイを少し嗅いでから、口を開くと食べる。
それをしばらく咀嚼し、飲み込むと、こちらを再び見てくる。
気のせいだろうか、目が輝いており、もっと欲しいと言っているのがわかる気がする。
俺は袋を食べやすい様に広げて、ブラックドックの目の前に置くと、勢いよく食べ始める。
俺はそっとブラックドックの頭を撫でると、目を細めて、気持ちよさそうにしながらも食べ続ける。
そして、きび団子を食べ終えると、俺に飛びついてきて、それを受け止めると、顔を舐め始める。
これは犬だけに、懐き度がわかりやすいぞ!
【黒妖犬、懐き度が上がったため、テイム可能です】
「俺と契約を結んでくれるか?」
「ガウッ!」
俺が問いかけると、ブラックドックは勢いよく首を縦に振る。
じゃあ、名前を決めないといけないな。
そうだな……ヘルハウンドになっても、黒いままだったから……。
「どっかの国の言葉で黒はノワールって言ったよな……。よし、お前の名前は『ノワール』だ! どうだ?」
「ガウッ!」
ブラックドックが頷いた瞬間、俺とブラックドック……ノワールの足元に魔法陣が展開され、ノワールの右前足のところに紋章が浮かび上がる。
【契約完了しました。魔物名:黒妖犬、個体名:ノワール、登録しました】
よし、契約は完了だな。
いやぁ、ずっと仲間にしたかったんだよね、ブラックドック。
それに育てれば、ヘルハウンドになるとわかってるし……ヘルハウンドも進化したりするのかな?
【炎黒犬も進化可能です】
おぉ、マジでか!
これは楽しみが増えてきたってもんだろう!
ノワールも、スイム、メイも、一生懸命育てていかないとな!
「さてと、新しい仲間も得たことだし、そろそろおもてなしの食事でもどうかな?」
「あ、ありがたいですけど、ノワールを貰えただけで十分ですし、今日中に宿を……」
「お金はあるのかい?」
「うぐっ……!」
い、痛いところを突かれた。
確かにこの世界のお金はないために、宿に泊まることは不可能だ。
窓から外を見る限り、もう夕方……それも日が沈んでいっているので、夜になろうとしているのがわかる。
冒険者ギルドに登録をしておきたいところだが、夜に行ってもいいものなのだろうか。
「やっぱりないよね? なら、今日はここで食事をして、泊まっていくといいよ。もちろん、部屋も用意してある。ねぇ、カミオ」
「ハイ、ユージご一行の部屋は用意してます」
「よ、用意って……」
「まぁ、どんなに言っても、今日は泊まっていってもらうつもりだったんだよ。すぐに去られたらさ、おもてなしなんてできないし、それに……」
リオンさんは拳を握りしめ、次の子言葉をため始める。
まさか、それほど何か重要なことが……。
「せっかく召喚したのに、すぐに去られちゃったら、俺が面白くないじゃないか!」
「いや、知らないですよ、そんなの!」
「だからさぁ、やっぱり少しは話したいじゃん! 俺が満足するまで去るの禁止!」
「我儘か!」
「我儘だよ! 傲慢の魔王ですから!」
そういえば、そうでしたね!
っていうか、去るの禁止って、どれくらい居させる気!?
「う~ん、五十年くらい?」
「俺、おじいちゃんになってから、冒険に出られるの!?」
嫌だよ、そんな人生!
それにまた顔でわかったのかな、この人は!
「リオン様、そんな冗談言ってやるなよ。五十年は冗談だろう?」
「え!? そうなの!?」
「デカラビアにはわかっちゃうかぁ……」
「というよりは私もカミオもわかっていましたよ、お兄様の冗談は」
流石、兄妹関係……そして、上司と部下という関係だ。
リオンさんのそういうところはわかったりするんだな……今日は去るの禁止は本気らしいけど。
「で、今日泊まって行ってほしいのは本当だ。妹の恩人を見知らぬ街に一文無しで出すのも気が引けるからね。今日はここで食事と宿を提供する、。後は冒険者登録を済ませるのも手伝ってあげるよ。これでどうだい? 召喚した者として、当たり前のおもてなしだと思うんだけど」
「私からもお願いします。ぜひ、泊まって行ってください」
「まぁ……そこまでしてもらって、断るのも逆に悪いし、メイたちのこともあるし……」
メイたちの方へと視線を向けると、新しく仲間になったノワールをメイは撫でており、スイムは嬉しそうに上に乗って、駆け回っていた。
ノワールも嫌そうな素振りはしておらず、むしろ受け入れている。
早速仲良くなってくれたみたいで、何よりである。
「それじゃ、お言葉に甘えて」
「よかったです! ユージさんやメイちゃんとも、もっと話がしたかったんです!」
「うんうん、俺もだねぇ! それじゃ、カミオ。頼んだよ?」
「ハイ」
そういうとカミオさんは扉を開けて、再び去っていく。
恐らく、食事の準備をしに行ったのだろう。
そして、デカラビアさんも出ていこうとする。
「あ、デカラビアさん。ブラックドックをありがとうございます」
「いいってことよ。それに今はノワールって名前だろ? これから頑張れよ、お前さんも、ノワールも。じゃあな、リオン様、ルフェ様」
そういうとデカラビアさんも出ていった。
後はリオンさんとルフェさん、俺たちが残る。
「それじゃ、食堂へ向かおうか。食事はもう少しでできる様にしておいてもらったからさ。異世界の料理、存分に楽しんでよ」
リオンさんは立ち上がり、俺に近づきながらそういった。




