アユムのスキル
魔法陣を潜り抜け、辿り着いた場所はどこか薄暗い場所。
洞窟を思わせるけど、転移型の魔法陣を入口として使うほどだ。
ここは研究のために作られた場所だと見た方がいいだろう。
思えば、フェネクスさんはどこに……?
俺は不思議に思い、辺りを見渡してみると、最初に入っていったハズのフェネクスさんの姿がそこにはなかった。
「アレ? フェネクスさん?」
「ユージ、どうしたの?」
「いや、フェネクスさんが……え?」
メイに呼ばれて振り返ると、そこにいたのはメイとエリーナ、ウィリデのみ。
スイムやルフェ、ノワールたちの姿がどこにもない。
いや、それどころか俺たちが使ったハズの魔法陣もなくなっているのだ。
「やられた……」
俺は思わずそう呟いてしまう。
相手からすれば、俺たちが来るのは既に予測済みだったに違いない。
だからこそ、あの魔法陣自体に何かしらの細工をしていたに間違いなさそうだ。
俺の反応からメイとエリーナ、ウィリデも他の面々がいないことに気付いた様だ。
「スイム達がいない……!」
「フゥ……」
「敵もバカじゃないと言うことですね。恐らくですが、見破れた時用の対策を取っていたか、それとも私達が転移する瞬間に」
「道を弄ったとかな」
「ッ!」
いきなり聞こえてきた声に反応すると、そこにいたのはズボンのポケットに両手を入れて、立っているアユムがいた。
「アユム……!」
「よぉ。やっぱり来たな。ユージ」
笑みを浮かべてみせるアユムに対し、素早く構えるメイとウィリデ。
いつでも反応できる状態だ。
それに対して、アユムは笑い声をあげる。
「アハ、アハハハハハハハ! いいなぁ! 戦う気満々ってぇのは嬉しい限りだぜ。道を弄ったと言っても、お前らを呼んだは他でもない。俺だからな」
「だろうな。あの転移魔法はお前自身が作った物だろうから、できてもおかしくはなさそうだな」
「まぁな。なんせ、一番得意な魔法系だからな。こうやって、どこかに繋がる道こさえんのはな」
とは言っても、何故俺たちなのかは謎だ。
アイツが強い奴と戦いたがる戦闘狂だと言うのは知っている。
だからこそ、あの時戦えなかったメイを呼び込んだのだろうと想像はできる。
それなら、後は俺とかじゃなく、勝負のお預けをくらったルフェやスイムとか呼べばいい。
ウィリデも一度戦っているからわかっている。
アユム自身には勝てないと。
それに俺自身は戦闘能力はほぼ皆無……指示か、サポートしかできない。
自分で言ってて、少し悲しくなったけどさ。
エリーナも魔法を得意としているが、アユムが望むほどの実力があるわけではない。
なのに、何故、このメンバーなのか。
「あぁ? 決まってんだろ。そっちの方が面白いことが起きるっていう道が見えたからだ。今すぐ起きるわけでもねぇ。俺との戦闘で起きるわけでもねぇ。だが、この先に面白いことが起きるって知っちまったからな」
「この先に起きる出来事が見えたって……まさか『未来視』?」
「もしくは『未来予知』の類かと思いますよ」
リオンさんと同じスキルの可能性を考えた時、エリーナが他の可能性を補足してくる。
未来を視る力は『未来視』以外にもあるのか……。
【とは言っても、『未来視』の方が上位のスキルですが。『未来予知』は断片的……つまりは写真で映し出された様な場面しか見えないのですが、『未来視』はある程度の過程も視ることが可能なのです】
ヘルプさんが補完してくる様に言ってくる。
「あぁ、俺のは予知っていうか、視えるっつうか……まぁ、未来がある程度わかるのは否定しねぇよ。まぁ、未来ってのは不確かな物だ。その道が複雑に絡まって、歩んでいる道が変わるってのはよくあることだ。さてと……駄弁るのもほどほどにして始めようじゃねぇか? 楽しいケンカをな。『修羅道』」
瞬間、地面から大量の刀剣類、弓矢とボウガン、大斧などの大量の武器が出現し、この場を埋め尽くしていく。
何かの攻撃かと身構えたが、その武器たちは動く気配もなく、アユムは傍にあった二振りの剣を抜き取り、走り出す。
「行くぜェ!」
「どういう理由があるかわからないけど、敵にも武器を与えるなんて変わってるね。ウィリデはユージとエリーナをお願い」
「フゥ!」
メイはチラッとウィリデの姿を見て言ってから、傍にあった二つの剣を抜き取って、迫ってくるアユムに立ち向かう様に動き出す。
武術を使った時と同じ様に人の体から変更していないと言うことは武器を扱うには人の力が一番ということか。
お互いの距離が縮まった瞬間に、二人の腕が動いた。
キィン! と高い金属音を響かせ、火花を散らせながらぶつかる二つの刃。
そこから素早い。
火花が散ったのを皮切りに、お互いの双剣のぶつかり合いが起きる。
「やるじゃねぇか、キメラの嬢ちゃん! 魔族だから、力任せに振るうのかと思ったが、存外。流派に近い技術を持ってるじゃねぇか! あの姫様でさえ、剣術を得意そうにしていても、自身のスピードと力で振るうだけだったってのによ!」
「これでも、色々な人間の心臓は食べてきたから。剣術も弓術も武術も、ひとしきりこなせるよ」
「心臓を食べてきたから……? お前さん、変わったスキルを持ってそうだな!」
「ッ!」
アユムの素早い剣技に引けを取らない剣技で対応していたメイだったが、相手の方が一枚上手だったのか、右手の剣を弾かれ、隙が生まれてしまう。
そこにアユムが左手の剣で突きの構えを取った瞬間だ。
「フゥ!」
させない! と言わんばかりにウィリデが放った『風球』。
自身に迫る風の球に気付いたアユムは突きをウインドボールへと放つ。
剣の刃が風によって削り取られるも、ウインドボールは真っ二つに斬られ、空気中に消えるかの様に散布して消える。
アユムが左手の剣を投げ捨てたと同時にメイが弾かれていない左手の剣を素早く右手へと持ち替えて、振り下ろす。
「甘ェな!」
無事であった右手の剣でメイが振り下ろした剣を受け止め、押し返す。
メイは押し返され、少しよろめきながらも、何とか態勢を立て直し、足元にあったボウガンを蹴り上げ、左手でキャッチし、構える。
「オイオイ、矢を拾わないと何の意味も……。まさか」
「『魔力の矢』」
ボウガンの弦の両脇に魔法陣が出現し、メイが引いてるわけでもないのに、弦が引かれる。
そこに出現したのは魔力で形成されたであろう矢。
「オイオイ、キメラの嬢ちゃん……『魔導弓士』の心臓も喰ったっていうのか?」
「こういうことするエルフや人間の心臓を食べたのは確かだよ」
「喰ってたのかよ……」
俺自身も驚いて、思わず呟いちゃったよ。
まぁ、俺と出会う前は手当たり次第に倒した相手の心臓を食ってたみたいだし……いや、今も変わらなくね?
そんな驚いている俺を余所に、メイはボウガンの引き金を引き、魔力の矢を撃ちだす。
撃ち出されたと同時に弦は再び引かれて、魔力の矢が素早く充填され、次弾を撃てる状態になる。
そして、撃ち出された魔力の矢はアユム目掛けて飛んでいき、アユムは近くにあった斧の柄を蹴ることにより、飛ばす。
蹴り飛ばされた斧と魔力の矢がぶつかり合い、魔力の矢は打ち消され、斧は弾かれて、壁に突き刺さる。
そこからの次の行動も二人は早かった。
メイは再び魔力の矢を放ち、アユムは持っていた剣を投げて相殺。
そこからメイは魔力の矢を連続で撃ちながら走り出し、距離を詰めていき、アユム自身は近くにあった大剣を抜き取り、自身の前に突き刺すことによって、盾として、魔力の矢を防ぐ。
距離を詰めたメイはボウガンを投げ捨て、飛び上がり、アユムの上を取る。
上を取ったメイは持っていた剣を投擲し、魔法陣を複数展開する。
「『炎の槍』! 連発だぁ!」
魔法陣から姿を現したした燃え盛る業火の槍。
炎の槍はマシンガンか何かかと疑いたくるほどの勢いで次々と放たれる。
これなら流石のアユムだろうと……。
「流石に防ぎ切れるもんじゃねぇな。だが、道は俺が決めることができる。『軌道操作』」
アユムの呟きが聞こえた瞬間に、投げられた剣が、放たれた炎の槍が全ての軌道が変わり、明後日の方向へと飛んでいき、剣が突き刺さった後に炎の槍が次々と壁へと撃ち込まれていき、その壁を破壊する。
一体どうやって攻撃の軌道を変えるなんて……!
「え……?」
メイ自身も予想外だったのか、驚愕の表情を浮かべる。
その一瞬の固まった隙をアユムは逃すハズもなく、メイが着地したと同時に距離を詰めてくる。
「メイ! 避けるか防ぐんだ!」
「ッ!」
俺の声に反応して、メイの意識が現実に戻ってくるも、時すでに遅し。
「遅いぜ!」
「あがっ……!?」
蹴りがメイの腹にめり込み、吹き飛ばされる。
地面に突き立つ武器をなぎ倒しながら、メイは地面を転がるも、手で地面を叩いて飛び上がり、態勢を立てなおして、着地する。
転がった際に数々の武器をなぎ倒したためか、所々切れており、血が出てきている。
メイ自身、肩で息をしているが、まだ行けると言う感じで構えを取る。
「ハハハ、まだやるってのか? 今の蹴りの時に『餓鬼道』を使って、体力を大幅に食ったつもりだったが……まだまだ元気そうだな。体力バカなのか?」
「一気に体に疲れが感じ始めたと思ったら、そんなことをしてたんだ……」
「疲れを感じ始めた程度で済むとはな。流石は魔人というべきか? いや、魔人でも立てなくなるくらいの体力を食ったつもりだったんだがな」
どれだけの体力を食ってんだ、アユムの奴は。
だが、メイ自身は『魂喰い』のおかげで、かなり強化されている魔人だ。
恐らくスタミナ……体力面でも、魔人たちの中では群を抜いているハズだ。
そのおかげで、少し肩で息をする程度で済んでるわけなのだが。
だけど、メイには態勢を立て直す瞬間が必要だ。
このまま戦闘しても、きっとアユムには勝てない。
それに今までの言動から考えるとユニークスキルの予想ができた。
俺の考えが正しければ……アユムのユニークスキルはアレに違いない。
このスキルだけで、これだけの応用範囲が効くのか、と驚きだが、合っているかは確かめてみなけりゃわからない。
「ウィリデ、エリーナ。アユムを風魔法で撹乱してくれ」
「できなくはないのですが……いけますかね。攻撃を操作したあの力……。何かわからないと風も操作されそうで」
「何も攻撃する必要はない。それに攻撃も定める必要はない。自然に吹く嵐みたいに吹き荒れる様にしてくれるだけでいい。それなら『操られない』」
「え? そうなんですか? でも、それだとメイを巻き込むことに」
「メイなら大丈夫だ」
そうだよな、メイ?
メイは俺の視線に気付いたのか、目を合わせると、笑顔で頷いてみせる。
「ユージがそこまで言うのなら。やりますよ、ウィリデ。考えもせず、風を放ちますよ」
「フゥ!」
二人は大きめの緑の魔法陣を展開。
そこから吹き荒れる風が吹き出される。
攻撃性も何もない、ただ踏ん張らなければ吹き飛ばされるだろうと言うだけの風。
軌道も何もないものをアユムは操ることはできないハズだ。
何せ、それは自然に吹く風と変わらない状態。
それに『道』は定められていない。
「風……? これは……なるほど、考えたな。軌道も何もねぇ、ただ自然に吹く風と同じなら、確かに操作出来ねぇな」
アユムが風の方へと気を取られ、吹き飛ばされない様に踏ん張っている間にメイはワーウルフの足へと変え、その俊足でその場から脱出する。
メイが俺たちの元まで戻ってきたのを確認して、二人は風の放出をやめる。
「ユージ、ウィリデ、エリーナ、ありがとう。おかげで態勢を立て直せるよ」
「いや、気にするな。それに俺はアイツのスキル、わかったかもしれない」
「ホント!?」
メイたちは驚いた表情で俺を見てくる。
アユム自身も聞こえていたのか、口笛を吹く。
「へぇ、俺のスキルを看破したってか? なら、聞こうじゃねぇか。俺のユニークスキルは何なのか、当ててみな」
「あぁ、よくよく思えば、お前はずっと言動にヒントを入れてくれていた。まるで気付いてくれと言わんばかりに。その言動から考えれば、答えには自ずと辿り着く」
「アイツの言動が……?」
「フゥ?」
メイとウィリデはそんなものがあっただろうか? という感じに首を傾げる。
まぁ、ウィリデの場合は傾げる様な感じに、だけど。
「あぁ、まずアイツが基本的に使っている『修羅道』とか、『餓鬼道』っていうのには聞き覚えがある。俺の世界では『六道輪廻』と呼ばれているものなんだけど、まぁ、こっちの世界のとは関係なさそうだから説明は省く。そして、アイツは口癖かの様に何かと『道』という言葉を使っていた。そして、アイツが最も得意とするのは別の場所へと移動することができる『道』を作る転移魔法、攻撃の軌道を変えたりするのも、攻撃が辿る道だと言える。そして、ヘルプさんの操作もアイツに繋がる『道』を変えたか、閉じたかして防いだから。これから導き出される答えは一つ……アユム、お前のスキルは『道』なんじゃないのか?」
合っているよな……?
俺はアユムへと視線を向けると、メイたちもつられるかの様にアユムを見る。
当の本人は少し驚いた表情を見せてから、段々笑みを浮かべていく。
「お前、スゲェな。ご名答だよ。俺のスキルは『道』。『修羅道』と『餓鬼道』もそこの奴の言う通り、『道』のスキルから派生して生まれた『六道輪廻』っていう力だ」
気付いてくれたのが嬉しいのか、笑みを浮かべながら語り出す。
「道って言われれば、テメェ等が想像するのはなんだ? 街まで導いてくれるものか? 安全な通り道のことか? 歩くべき場所か? それも道というけど、それだけじゃねぇ。お前らが歩む人生も『道』と例えられている。未来も過去も『道』として例えられる。エルフにはエルフの往くべき『道』が、人間には人間の往くべき『道』が。武術とか、何らかの技術なんかも、その『道』を極めるとかで例えられるよな? 俺が使う瞬間移動も道を縮めているに過ぎないわけだ。俺はそういったありとあらゆる道を操る力を持っている。概念としても、実物としても、魔法としてもだ。まぁ、基本何でもできるスキルだと考えてもらえばいい。あぁ、ついでに言うとここの村長そっくりに化けていたのも『道』のスキルのおかげだ。『餓鬼道』でそいつの『人生』や体、魔力全てを奪って、『変装者の道』なんてもんを使って化けていた」
「『道』で……そこまで? そもそもそんなスキルがあるなんて」
「だから、ユニークスキルなんだろ? 『魔物使い』の様な職業スキルは何人か持っていてもおかしくはねぇが、本来、ユニークスキルっていうのはそいつ個人が持つ特別な力のことだ。だから、俺以外が持っていないのは当たり前だろ?」
ユニークスキルって、そうだったんだ……。
今更ながらな気もするけど。
「それにしても、俺のスキルを看破するとはやるなぁ。今までの奴らにも、露骨にヒントを出していたつもりなんだが、気付かないまま死んでいってばっかだったからな。お前、戦闘はあまりできないと思っていたが、頭は回るみてぇだな。いや、テイマーってのはそういうもんなのか? 戦えない代わりに頭の回転が早いみたいなよ」
「さぁな。他のテイマーにあったことがないから、何とも言えないな」
とはいえ、スキルがわかったところでどうしようもない。
アユムが言っていた通り、『道』は何でもできてしまうスキルなのかもしれない。
それにまだ数多の武器を召喚する『修羅道』と何でも貪欲に喰らう『餓鬼道』以外の『六道輪廻』はまだ見たことがない。
このまま戦えば……確実に負ける。
俺は冷や汗を流しながら、アユムを睨みつける。
メイも再び身構え、戦える用意をする。
「……いいなぁ、お前ら。面白そうだ。今殺すには惜しいな」
「は? 何言って」
アユムが指をパチン! と鳴らす。
その行動に俺たちはすぐさま身構える……が、何も起きず、地面に突き立っていた武器が次々と消えていく。
「お前らに興味が湧いた。今は殺さないでいてやる。次会う時までに強くなって、精々俺を楽しませてくれよ」
「そんなこと言って、私達を逃す気があるとは思えない!」
メイの言う通り、その行動自体が罠の可能性もある。
アユムは信用されてねぇな、というかの様に肩を竦ませてから、一つの魔法陣を俺たちの前に展開する。
それはあの時の転移魔法陣と同じ様に何処かに繋がっているであろう光が溢れ出していた。
「じゃあ、信用してもらう代わりにここから移動させてやるよ。そうさなぁ……。シルフがいるところでどうだ? そこに道をつなげてやったからさ」
「シルフ様のところにですか? 敵である貴方が?」
「おう」
アユムは笑顔で答えてみせるが、怪しすぎる。
敵が作った転移魔法……罠の可能性が大だと見るのが普通だろう。
「罠だろう? なんて思うなよ。安心しろよ。この先にシルフがいるのは本当だぜ? それに罠だったとしても、この転移魔法を使う以外に、お前達がここから脱出する術はないだろう?」
「確かに……そうだな」
「どうするの?」
メイの言う通り、どうするか。
罠だからと言って断っても、ここから脱出できない。
かと言って、飛び込めば何が待ち受けているかわからない。
どうする……どうする!?
俺があれこれ考えていると、ウィリデが魔法陣の前に立ち、何かに気付いたかの様に飛び跳ね始める。
「フゥ! フフフゥ! フゥ!」
「ウィリデ? そんなに飛び跳ねて一体どうしたんだ?」
「フゥ! フゥ!」
ウィリデが魔法陣の方へと体を揺すってみせる。
まるでこの先に行った方がいいと言っている様だ。
すると、エリーナも何かに気付いたのか、一瞬体がピクッ! と震えて、魔法陣を見る。
「この先から精霊の……。風の精霊の魔力を感じます。凄く弱々しい感じですが、恐らくシルフ様のものだと思います」
「シルフの!? なら、この先に本当に」
「あぁ、いるって言ってるだろ? 少し魔力の通りをよくしたら、感じ取ってくれたみたいで助かるぜ。こういう時エルフがいるのは便利だな。まぁ、そこのスライムの方がいち早く気付くとは思っていなかったがな」
そこまでして、証拠を見せてくれると言うことは見逃してくれると言うのも本当なのかもしれない。
俺は少し魔法陣と睨めっこしてから、頷く。
「よし、皆。行くぞ」
「わかった。ユージがそういうなら、きっと大丈夫だよね」
「いや、そこまで信用されるのは逆に困るんだけど」
相変わらずメイの信頼が重たく思える。
俺の判断にだって、間違いはあるからね?
むしろ、間違いの方が多いからね?
「じゃあ、決まった様だから、さっさと行ってきな。俺が見た面白い道に行くことを祈ってるぜ」
「じゃあ、逆にそうならない様に俺は願ってるよ。じゃあな」
「次会う時は負けないからね!」
メイはそれだけ言い残し、ウィリデとエリーナと一緒に魔法陣へと入っていく。
メイよ……それじゃ、逃げる時の悪役みたいなセリフだぞ。
そんなことを思い、アユムを一瞥してから、魔法陣へと入った。
アユムは魔法陣を消すと、笑みを浮かべてみせる。
「あぁ、次会う時はもっと強くなってろ。そして、お前達の今から起きる道を見せてみろ。魔物と精霊の『合体』という変わった技をな。なぁ、ユージ……」




