85話 リンベル・レイローズ
アランとシェルの戦いが終わった頃、流歌は例の人・・・リンベルと対面していた。
「あんたがリンベルって奴か?」
「そうよ。」
リンベルと認めた人物は女性だった。
黒の長髪で、整った顔立ちをしている。
「訳あってあんたを助けに来た。それを切っても平気か?」
リンベルには頑丈そうな手錠と足枷がつけられていた。
普通の物では無い様子だ。
「これは力を封じる道具よ。普通の刀や魔法じゃ壊れないわ。」
「そうか・・。」
流歌の力である"白器"は魔法では無い。
どう違うのかは流歌自身も良く分かっていないのだが、エルフの里で見つけた本の内容にそう書かれていたのだ。
なぜか"魔力"は消費するのだが。
・・・流歌は躊躇う。
(俺の"白器"だったら多分これを壊せるが・・・こいつに見せても良いのだろうか。)
「それで、どうするの?」
「・・・仕方ないか・・・これじゃ先に進めなさそうだしな。おい、少し目を閉じてろ。」
「随分な命令口調ね、多分私の方があなたよりも年上だと思うんだけども。」
「いいから早くしろ。」
「・・・分かったわよ。」
そう言うと、リンベルは大人しく目を閉じることにした。
手錠と足枷の鎖がある部分に流歌は2つの球体を発生させる。
「!なに、この魔力・・・。」
突如として感じられる大きな魔力にリンベルは驚いた。
(・・・"腐食")
流歌がそう念じると同時に、リンベルの手錠と足枷は錆びていき、どんどんと地面に落ちていく。
「これは・・・。」
「もう目を開けていいぞ。」
リンベルは驚きを隠せない表情で、地面に落ちている錆を見つめる。
「目を閉じさせるくらいだから、何をしたか教えてくれないんでしょうね。」
「その通りだ。」
すると、流歌の背後から何かが迫ってくる気配がする。
流歌が動きを止めていた鎧戦士2体だ。
(っち。やっぱり始末するか。)
そう思い、"雪守"を抜こうとするが・・・
「助けてくれたお礼よ、こいつらは私がやってあげる。もう邪魔な物は取れたしね。」
余裕の表情で前へと進むリンベル。
鎧戦士がどんどんと近づいてくるが、当のリンベルは右手を広げて前に向かって広げているだけだ。
「おい。」
流歌が動こうとした瞬間、リンベルが言葉を囁いた。
「・・・"波剣"」
すると、リンベルの周りに何本もの剣が現れる。
鎧戦士の方向へ全ての剣先が向けられた。
「死になさい。まぁ、元々生きている存在では無いと思うけど。」
その言葉を放つと、一斉に剣が飛んでいった。
次々と鎧戦士に刺さっていく剣、次々とリンベルの周囲に現れていく剣。
次第に収まっていき、もはや前方にその存在は無かった。
「お前は・・・。」
「私はリンベル・レイローズ。禁忌魔法を使う"神使"よ。よろしくね、坊や。」
この世界の女は強いな・・・と流歌はしみじみと思うのであった。




