66話 利害の一致
「"黒の種族"について知っているのか?」
流歌が尋ねると、リレイズは小さく頷いた。
「少しは知っているくらいだ。昔、戦った事があるからな。」
「戦った事がある、だと?」
「ああ。まだ俺が隊に所属していた頃の話になるが・・・国での訓練が終わり、その後に一人で鍛錬しようと町外れの森に来たときだった。俺はあいつらと遭遇した。」
「よく戦って生き延びれたな。それにあいつらって事は複数ってことだろ?」
「ああ、二人組だった。・・・ほぅ、お前も戦った事があるのか?」
「まぁな。」
むしろ流歌は"黒の種族"から標的にされている。
そんなことは言えなかったが。
「色々とお前に興味が湧いてくるな。おっと、話を戻そう。俺は見つからない様に陰に隠れてその二人組の話を聞くことにした。どういった内容かは良く聞こえなかったが、何かを企んでいるのは感じた。」
「なるほどな・・・。」
(やはりこの世界をどうにかするっていうのが目的と捉えて良さそうだな。)
「そして俺はさらに近づこうとして見つかったんだ。まぁ、これでも一応"神使"だ・・・あいつらを捕まえようと思ってな。」
リレイズは懐かしむような表情をしながら立ち上がった。
「どうした?」
「・・・。」
リレイズは何も言わず、上着を脱いでいく。
そして、流歌は目を見開いた。
「そしてこれが、その代償だ。」
背中には大きな傷跡があった。
"黒の種族"との戦闘で負った傷だろう。
「その傷・・・どんな奴らだったんだ?」
「さぁな、二人共黒のマントを羽織っていて顔までは見れなかったが・・・一人は刀を持っていてもう一人は魔法を使ってくる奴だったな。」
リレイズは話しながら服を着ていった。
「まぁ、そういった事があった手前、国の異変に"黒の種族"が関係していると俺は考えている。そしてこの紙の地図、これに何かしらのヒントがあると思っている。」
「なるほどな・・・、あぁそれと今人族の国へは入れるのか?」
「いや、厳重に警備されていて難しいだろうな。」
この言葉を聞いて、流歌は一つ考える。
現状では戦争もいつ始まるか分からない危険な状態だ。
そして"黒の種族"の存在も確かめておきたい。
「そうか・・・ならば俺も手伝おう。どのみち、今は人族の国にはすんなりと通してくれない様子なんだろ?それに"神使"であるお前と一緒に行動していれば、国から変な詮索はされないだろうしな。」
「俺としてはお前ほどの男が共に戦ってくれれば歓迎だが・・・それでもいいのか?」
「ああ。むしろさっき会ったばかりの俺は相当怪しいんじゃないか?もしかしたらお前の敵かも知れないんだぞ?」
「っふ、お前の剣には悪意は無い。ならば俺はお前を信じよう。」
「・・・変な奴だ。」
流歌とリレイズは二人して小さく笑いあった。




