61話 勇者の噂
食事を終えた流歌達は、小屋を出る事にした。
リルンも一緒にだ。
「別に見送りなんかいらないぞ。」
「いえ!お見送りくらいはさせてくださいよ!」
少しの間、このリルンと一緒に暮らしていて1つ分かった事があった。
意外と頑固なのだ。
小屋を出て、太陽の日差しを浴びる。
「よっ!!」
太陽に負けないくらい暑苦しい奴が相棒の馬と共の待っていた。
(はぁ・・・ほんと朝から暑苦しい・・・。)
そんな失礼な事を思う流歌であった。
「お前、またなにか失礼な事を考えてなかったか!?」
「別に何も考えてない、ほら行くぞ。」
ギルは流歌を"リグス大陸"に向かう途中の道まで送ってくれると言ってくれたのだ。
流歌は馬車に乗り込もうとすると、右手を誰かに引かれる感触がした。
その正体はリルンだった。
「何だ?」
「あ、あの・・・ルカ様は帰ってこられるんですよね?」
「ああ。」
「そそ、それまで私はあの小屋で待っています!!ルカ様が帰ってくるのをずっと待っています!!」
「いつ帰って来れるかわからないぞ?」
「それでもです!」
リルンはニコッと笑いながら、流歌にその笑顔と言葉を向けた。
「・・・そうか。なら行ってくるぞ。」
「はい!!いってらっしゃいませ!!」
「ほらほら行くぞー!!あんまり見せつけないでくれよな!」
ギルは流歌とリルンのやり取りを見ていた。
内心"なんだこのムードは・・・。"と妬んでいたのだ。
しかし、別にこの二人はそういう間柄では無いが。
「おーっし!!じゃぁ出発するぞ!!」
「ああ。」
(目指すはリグス大陸・・・これから黒の者達が積極的に襲ってくるかもしれないから、用心していかないとな・・・。)
馬車に揺られながら、流歌はこれからの事を思いつつハァ・・・と溜息をつくのであった。
「あーそういえばルカ。」
するとギルが話しかけてきた。
「何だ?」
「カイル様からの伝言だ。今は本格的に戦争は始まっていないが、"人族"というだけで魔族の連中は襲ってくるかもしれないから気をつけろだってよ。」
「そうだな・・・あぁ、それと一つ聞きたい事があるんだがいいか?」
「ん、なんだ?」
「もし人族と魔族が戦ったらどっちが強いんだ?」
「んー・・・正直それは分からない。だが噂によると人族は何かしらの方法で"勇者"を復活させようとしているみたいだ。上手くいけば人族が勝つかもしれないな・・・中には強い人間もいるみたいだし・・・だけど魔族には最強部隊と言われる"ライデン"がいるしなぁ。」
「・・・勇者だと?」
流歌はある単語に食いついた。
"勇者"・・・アニメや漫画の世界だと、異世界から召喚されてその世界を救う者とされる。
つまり、流歌がいた世界の住人かもしれないと言う事だ。




