39話 乾杯
(・・・なんてこった・・・。)
今、流歌の胸の中にはリルンがいた。
ウサ耳メイドだ。
それだけだったらまだ良かった。
しかし、ドアの方を見ると・・・あのうるさい男がいたのだ。
「ル、ルルカ!!お前もう襲っているのか!?」
(こんな場面をこいつに見られるとは・・・。)
流歌はハァーと溜息をついた。
「すすすすみませんでしたぁぁあ!!」
リルンはそのまま外に、猛スピードで出て行った。
「・・・おい、まずは言わせろ・・誤解だ。」
「誤解ってお前・・・まぁ見なかった事にしておく・・・。」
「それで、何の用だ?」
「いやよ、カイル様との話も終わったからこの街を案内しようかなって思ってよ!」
「そうか・・・あのメイドが出て行ったからここは誰もいなくなるぞ?」
「この区域に来る様なバカはいないから大丈夫だよ!心配だったら大切な物だけ持っていけば平気さ!」
流歌はニーユウスからもらった指輪をつけている為、自分の荷物はそこに全てしまっている。
("女神の指輪"・・・これは便利すぎるな・・。)
改めてそんな事を思う流歌であった。
「いや、もう荷物は大丈夫だ。行こう。」
そして流歌とギルは街へと向かったのだ。
「とりあえず飯を食いにいこう、男の手料理なんてゴメンだ。」
「あーそりゃ悪かったな!ってお前ちょっと美味そうに食べてたところ俺は見てんだからな!?」
ギルの料理は"男"だ。
焼く・煮る・炒める。ただそれだけの調理法だったが美味いと思う事が何度かあった。
ただそれは・・・・
「それはお前の腕の問題じゃない、素材の美味さだ。」
「ってんめー・・・。」
ギル自身もそれは思っていたので特に何も言い返す言葉は見つからなかった。
「お、ここにしようぜルカ!今だったら空いてて入れるだろうし!」
ギルが向かった店はどうやら人気店らしい。
そしてそのオーナーをしているのは昔からの友人でよくオマケをつけてくれる。と嬉しそうに話していた。
(まぁ人気ってことはそれなりに美味しいだろうし・・・腹も減ったしどこでも良いか。)
「ああ、ここにしよう。」
流歌がそう言うと、ギルも嬉しそうに笑った。
店内には良い匂いが漂っていた。
「おお、ギル!来たか。お?そいつは人族か?」
「ああ、俺の恩人だぜ!」
「そうかそうか!ならばサービスしないといけないな!ハッハッハ!」
ギルの友人らしく、そいつも少し暑苦しいと思ったがサービスしてくれると聞いて変な事は言わないようにした。
(獣族はこんなんばっかなのかよ・・・ただ、良い奴って感じはするな・・・。)
少し経つと、二人のテーブルには大きな肉料理や酒が運ばれてきた。
「まーあれだ、とりあえずここに帰って来れて良かった!ルカのおかげだ、ありがとう!」
「どのみち俺もここに来たかったんだ。目的が一致したって事でいいだろ。」
そんな言葉を交わしあって、二人はグラスを軽くコツン、とするのであった。




