38話 兎のメイド
流歌とギルの前にいるのはこの獣族のトップに君臨する男。
名は"カイル・ギルシュ"・・・白き百獣の王である。
(ニーユウスの時にも感じたが・・・王というのは見てすぐわかるもんだな・・・。存在感が他の奴らと違いすぎる。)
「カイル様・・・この地に人族の者を招いた事については誠に申し訳ありません。しかしこいつは、このギルと馬車を守ってくださいました!どうかお許しを!」
「貴様、名はなんだ?」
「ルカだ。・・・記憶喪失の為、旅をしている。」
「ほう・・・記憶喪失とな。」
旅の途中でギルには既にそう伝えてある。
"記憶喪失"と。
嘘をついてることに関しては罪悪感はある。
だが異世界から来たと言っても信じる奴はいないだろう。
ニーユウスの"目"は特殊だったが。
「まぁ良い、ところでギルよ。」
「っは!」
「例の物はどうだ?」
「こいつのおかげで無事です。」
「そうか・・・王としても礼を言おう人族の者よ。しばらくこの地で体を休めろ。」
「悪いな、そうさせてもらおう。」
流歌の言葉遣いによって、周りの兵士達が睨みつける。
しかしそれはこのカイルの一言で収まる。
「貴様ら、こいつは生意気だが我が同志を守ってくれた。その意味が分かるか?」
その瞬間、凄まじい程の殺気がこの大広間に広がる。
兵士の中にはそのプレッシャーに耐え切れず気絶する者もいた。
(凄いな・・・これが獣族の王か・・・。)
「ルカと言ったな。この城の裏にある小屋で休め。基本的にやりたい事をやってもいいが・・・変な真似はするなよ?」
「ああ。」
そして、流歌は大広間から出てまずは小屋を見に行った。
カイルとギルはまだ話があると残っていった。
小屋に着くと、既に灯りが付いていた。
(あれ?誰かいるのか・・・?)
ドアを開けるとそこには兎耳をした・・・メイドがいた。
「はっ、はははじめまして!!メイドのリルンといいます!よ、よろしくお願い致します!!」
噛み噛みだったが、流歌はそれをスルーして質問をした。
「俺はここの小屋を使って言いと言われたんだが・・・あんたは?」
「し、しばらくこの地に留まる恩人様のお世話をしてくれとカ、カイル様に言われましてですね・・・その・・・」
「別にいらないぞ。」
流歌のバッサリとした答えにリルンは目を点にした。
「ででですが・・・。」
慌てた様子でこっちに近寄ってくるリルン。
・・・が、何も躓くような物は無いハズなのにリルンは躓き・・・
流歌の胸へとダイブしていった。
「ひゃぅぅぅぅー!!」
そんな変な声を出しながら。




