29話 前日
「・・・んー・・・。」
「あ、起きたわねルカ。」
「ああ・・・ん?この匂いは・・・。」
「ふふ、リンが料理を作ってくれたのですよルカ様。」
「寝てる場合じゃないな、腹が減った。」
流歌は美味しそうな匂いにつられて起きた。
テーブルの方を見ると、たくさんの料理が置いてありどの品もとても美味しそうだった。
「・・・ごくり。」
つい流歌は唾を飲み込む。
「ルカ、今日はあなたも戦ってくれたおかげで里は無事だった。その感謝を込めて、いつもより豪華にしたわ!」
「ああ・・・もうダメだ。いただきます。」
そう言うと流歌は次々と料理を口に運んでいった。
「本当にルカ様には助けられましたわね。いくらサレがいると言っても、100の魔物を倒すのは少し時間が掛かりますから。」
「・・・あいつだったら一人で戦ったとしても、この里に被害は出ないと俺は思うんだが・・・。」
「いえいえ、サレも感謝していましたよ。移動する時間の事を考えたら、丁度ルカ様達が最初に来てくれた場所は里の中まで突破されてた可能性があった。と話していましたから。」
「それはリンが案内してくれたんだ。」
「ルカだったらサレが来るまで大丈夫だろう、って思ってね。まぁ、実際予想外の強さだったけど・・・。」
流歌は照れを隠したいのか、そこから黙々と食事に手を伸ばしていた。
魔物がこの里を襲ってきたせいで昼に食事を取れなかったからだ。
そして、あっという間にテーブルの上にあった食事は流歌の腹の中に収まってしまった。
「ふぅ・・・美味かった、ごちそうさま。」
「・・・あそこまで食いっぷりがいいとこっちまで嬉しくなるわね・・・。」
「本当ですわね・・・。」
「それで、原因は何か分かったのか?」
「予想では、黒の種族が手引きした・・・と考えられます。狙いは多分・・ルカ様です。」
「またあいつらか・・・。」
「ですがルカ様のせいではありません、幸運な事に被害はほぼ0に等しい。」
「そうか・・・。」
そう言うと、流歌は目を瞑り考え始めた。
(あいつらの目的は俺だ。・・・つまり、この事態を招いた原因は俺にあると意味する・・・だったら、方法は一つしか無いか。)
次の流歌の言葉に、リンは目を見開き、ニーユウスは少し曇った表情をした。
ニーユウスの方は流歌が何を言うか分かっていた様子だが。
「リン、ニーユウス。俺は明日の朝、この里を出る。」
(これしか、方法は無い。できればもっといたいという気持ちはあるが・・・。)
流歌の言葉の意味を二人は察していた。
・・・そして、リンは何も言わずに部屋から出て行った。




