27話 サレ・トゥラーの強さ
「お前ら、気をつけろよ・・・これはちょっと大きいからな。」
流歌はふーっと息を吐き、呟くように言った。
「・・・"圧縮"」
黒の種族に襲われた時の"圧縮"を使った。
今回も周りの物をどんどんと吸い寄せていく。
・・・が前回と違うのは吸い込んでいく物だった。
「・・・魔物だけを吸い込んでいってる・・・。」
そう、この圧縮は"魔物"だけを取り込んでいるのだ。
「前の圧縮の時、俺はこの力の事を知らなかった・・・だが今は違う。この力"白器"を知っている。その為に訓練もした。標的だけ取り込むことが出来るようになったんだ。」
・・・前に流歌はこの森を歩いているとき、一匹の魔物がいた事があった。
その時にこの"白器"は流歌の意思を感じて発動している事を思い出した。
なら、流歌がある1つのターゲットだけを思い浮かべて発動したらどうなるのか?
流歌はそう考え、"圧縮"を使った。
そして、考え通りに魔物だけを取り込んだのだ。
(ただ、この球体の大きさだ。いくら魔物だけを狙ったとしても少しはこっちにも被害は出るはず。だから・・・)
「これは・・・」
サレとリンの前方には、白い壁があった。
「これってルカの力・・・?」
「ああ、発動前に念の為お前らの近くに壁を作っておいた。」
「冒険者・・・お前は一体・・・。」
「今はそんな話している暇はないだろ、取り込めなかった魔物があと3匹残っている。」
「こいつらを始末したら、お前の話を聞かせてもらうぞ?」
「ああ、構わない。」
流歌の"圧縮"に耐えた魔物は、最初にサレが言っていた強い魔物のことだ。
(強めにやったんだが・・・あれに耐えるか。)
流歌は心の中で魔物に関心する。
その時、サレが二人の前に出た。
「・・・面白い物を見せてくれた礼に、俺も見せてやろう。」
サレは腰にある剣に手をかけ、構えた。
段々と剣は赤くなっていく。
(なんだ・・・あれは。魔力があの剣に集まっていっている・・・。)
「ルカ、よく見てなさい。」
「何だ?」
「あの人が里の守り神と言われている理由・・・そして強さを。」
「・・・ああ。」
一瞬だった。
流歌でさえ、サレがいつ剣を抜いたかすら明確に分からなかった。
ただ・・・放った剣から閃光が出て、それが魔物達を真っ二つにした。
それだけ分かった・・・いや、それしか分からなかった。
そしてこれが、里の守り神と言われるサレ・トゥラーだった。
(守り神ってのは、伊達じゃないな・・・。)
流歌は静かにそう思ったのだった。




