21話 流歌の決断
里に戻り、ニーユウスに話をしていた。
例の赤龍についてだ。
「なるほど・・・ルカ様がここに来るときにそんな事が・・・。」
「何か知っているのか?」
「もしかしたらですが、噂で人族と魔族の戦争があると聞いたことがあります。それに関係しているのかどうかは分かりませんが・・・わざわざこの大陸に来るような理由としてはそれが一番あるかもしれません。」
「人族と魔族の戦争・・・だが、長耳族には関係は無いんだろう?」
「ええ、基本的に長耳族は戦いを好みません。いざ戦争になったら戦いますが・・・。」
「ならなんでこの大陸まで来た?」
「憶測ではありますが、戦力を測る為・・・とかでしょうか?」
「この戦争に介入しているかどうか見にきた、ということか?」
「それが一番しっくりくるかと。」
「たしかに、相手側の戦力を探るのは正しいな。」
「ルカは赤龍の他に何か見たりした?上に誰か乗ってたりとか。」
「いや、悪いがそこまで見えなかった。俺の真上を通ったから余計な。」
「そっか・・・。」
「一先ず、ここしばらくは里の警備を強化していますが、怪しい人物の報告は一つもありませんでした。」
「そうか。」
(戦争か・・・正直この大陸を見て回ったら人族の大陸に行こうと思っていたんだが、状況が状況だ。少し難しそうだな・・・。)
きっと人族、魔族の大陸は警備が厳しい事になっているだろう。
緊迫状態でどちらもピリピリしていると流歌は考える。
(・・・それに巻き込まれても面倒だしな・・・、行くとしたら消去法で獣族の大陸だな。)
獣族が住むのはジニアス大陸。
次に流歌が目指す場所は決まった。
「ルカ様、ジニアス大陸に行くには海を渡れば近道になります。」
「・・・お前、目を使ったな?」
「ふふ、ルカ様が考えている事が少し気になりましてね。申し訳ありません。」
「え、ルカは獣族の大陸に行くの?」
「ああ、戦争に巻き込まれでもしたら大変だしな。」
「そうなんだ・・・。」
リンがガックリとしたのを見ると、流歌は少しバツの悪そうな顔をした。
「そんな顔するな、元の世界に帰る前には一度こっちには戻ってくる。」
「・・・絶対だよ、絶対戻ってきてね・・・。」
「ああ。」
「いつ頃行くのですか?」
「それについてはまだ決めていないが、力の使い方も少しは分かってきたからな・・・そう遠くはないと思う。」
「・・・そうですか、寂しくなりますね。」
「あと一ヶ月、訓練と本・・・こっちの知識をもっと入れておきたいからそれが済んだら俺は出ようと思う。」
流歌は一ヶ月後、この長耳族のアルデイン大陸を出ようと決めた。
正直ここは居心地が良い。
最初は周囲のエルフは警戒した目でみる事が多かったが、ニーユウスやリンが俺と一緒に話をする、一緒にいてくれる。
それだけで周りの目が和らいでいっているのは理解していた。
だからこその決断だった。
あまりに長いこといると、もっとこの里にいたいと思ってしまうから。




