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見習い勇者と落第魔王の大冒険  作者: 話太郎
第六章 勇者との会合
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今回の真相

 宿屋の食堂でおばさんがご飯を出してくれる。

「ありがとうございます」

 ローナは掛け声みたいに言う。

「それじゃ、」

「「いただきます」」

 宿屋で出された晩御飯はとても美味しい物だった。

 僕は言う。

「やっぱりあのヒマワリの十字路が手掛かりなんだろうね」

 それを聞いた宿屋のおばさんが話しかけてきた。

「ヒマワリの十字路? あんたたちあそこまで行ったのかい」

「はい」

 ケインが説明する。

「行方不明者があの辺りで迷ったみたいで」

「あそこは目印がね」

「目印?」

「昔馴染みの冒険者の一部の話しなんだけどさ、ヒマワリの向きを目印にして目的地へ進む奴が居るらしいんだ」

「ヒマワリの向き?」

「ほら、花の向きを見てさ。なんだっけ、太陽の丘とか言うんだろ、そこへ向かう際の目印にしてるって話さ」

 セリアは言う。

「なるほど、そういう事ね」

「どうしたんだい?」

「いえ、こっちの話しです、気にしないでください、それより、情報、ありがとうございます」

「大した事じゃないよ」

 そう言いながらおばさんは仕事に戻って行った。

 僕はセリアの言葉が少し気にかかり聞いてみる。みんなも同様に思っている筈だ。

「セリアは何か気付いたの?」

「ええ。おそらく、行方不明者はヒマワリの向きを当てにして、逆に迷ってしまったのよ」

「ヒマワリの向き?」

「ヒマワリは太陽に向かって咲く話は知ってるかしら?」

 ケインが答える。

「ああ、陽の光に向かって咲く花、がその名前の由来だよな」

「その通り。掻い摘んで説明するけど、若いヒマワリや蕾の時は朝は東向き、夕方は西向きに育つの。そして夜のうちに東向きに戻る。茎に当たる陽の加減とか関係してるんだけどね。それが、成長しきって花が咲く頃になると一定の方角を向いたままになるの」

 ローナは驚く。

「え、そうなんだ」

「元気がなくなっちゃって、向きを変える力が無くなるのよね。一般的には東向きのままになる事が多いと言われてるわ」

 僕は思いつく。

「じゃあ、行方不明者は」

「そう。ヒマワリの向きを東だと仮定して、あの十字路を曲がった。生存者の聞き取りの「向きを確認した」っていう証言はそれね。でも、その花の向きが何らかの理由で変わったんだと思う」

「なんらか?」

「一応目星は付いてるけどね」

 そこまで聞いて隊長は言う。

「原因は分かったのか」

「明日の午後には分かるわ」

 ケインが言う。

「楽しみだ」

「確認作業とかあるから、少しだけ時間を頂戴ね。明日勇者のパーティーも呼ぶといいわ」

 セリアのそんな言葉を聞いた僕は嬉しく思った。

 これで迷ったりする人も減る、そんな風に思いながら。

 僕らは宿屋のベッドで明日への期待をしながら睡眠へと落ちるのだった。


 翌日の午後。

 メイトさん一行を宿の前に集めて説明をする。

 メイトさんは言う。

「ヒマワリの向き、ですか」

 セリアは言う。

「そう。それで、今回の実験。宿の女将さんには許可を貰ってるんだけど、何か気付かない?」

「気付く?」

 セリアの言葉に僕らはやや疑問に思う。

 何か、と言われても。

 僕は周囲を見渡す。

「あ…」

「ラルスは気付いたのかな?」

「もしかして」

 僕が気付いた物。

 それは、宿の入り口の脇に咲くヒマワリ。

 僕らを出迎えるように咲いていた宿屋のアクセント。

「もしかして、ヒマワリの向きが」

「そう」

 ケインが聞く。

「このヒマワリの向きがなんだってんだ?」

 僕は説明する。

「ヒマワリがこっちを向いてたのに、今は違う方向を向いてる」

 ローナが代表して質問する。

「でもセリアの説明だと、花が咲いたヒマワリは向きを変えない筈なのよね?」

 セリアは笑顔で事件の真相を語りだす。

「今回、原因になったのはこれ」

 言って、薬品を取り出した。

 ザレスが聞く。

「それは、ポーション?」

「少し特殊なね。体力を回復して、一時的に限界値も引き上げて成長させる高級ポーションなの。これがヒワマリの十字路で採取した土から検出されたわ」

 説明を聞き、いまだ理解に至らない僕らにセリアは続ける。

「思い出して。ケインたちがギルドでの情報収集で十字路で魔物に襲われたパーティーが居て荷物を落としたという話があった事」

「あ」

 僕らは報告を思い出す。

「冒険者は魔物に遭遇、逃げる際に大きな道具袋に噛み付かれたか、爪での攻撃をされたか、道具袋が破れて飛んだ。その荷物の一部がこのポーション。割れた入れ物は中身を飛び散らせた。土に交じっていたガラスか陶器の破片はそれね」

 レミアは言う。

「もしかしてそのポーションが」

「ヒマワリの成長を助け、元気にしてしまった。本来、花が咲ききって向きを変えないで、一定の方角を指し示す筈のヒマワリの花は、ポーションの効果で元気になって時間によって変わる太陽の方角を向いてしまったの。この宿屋のヒマワリで実験した結果がこれ」

 咲いてるヒマワリを指し示す。

 ボドリーは答えを推察する。

「東を向いて咲いてる、と十字路を曲がる方向を決めたら、花は違う方向へ咲いていて、沢へ迷い込んだのじゃな」

「その日、運悪く迷い込んだのは二人。でも翌日にはポーションの効果が切れて花は再び一定の方角を向いた。だからそれ以降は行方不明者は出なかった。土を採取してくれたおかげで判明したわ」

 隊長は言う。

「ローナのおかげだ」

「え? 私?」

「ヒマワリの根元の小さな草花も咲き乱れていて、成長している、と気付いただろう。あれがヒントになった」

「そ、そうなんだ」

「よく気付いた」

「え、えへへ、役に立てて嬉しいわ」

 僕も労う。

「すごいね。ローナ」

「頑張った甲斐があったわ!」

 メイトさんは言う。

「偶然から発生した事故だったんですね。すぐに対策を立てましょう」

 こうして、僕が勇者さんに会う為にここへ来て遭遇した事件は解決へと向かうのだった。


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