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アウトローに学ぶ異界生存戦略  作者:
1章 異世界で奴隷から神官、そして魔の者への扉を開く
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アウトローに学ぶ異界.8

 次の日の夜明け前。

 荷車内をパンパンに奴隷でいっぱいにした奴隷商の馬車が、それなりの数でブリュータス帝国所有の港兼開発特区への移動を開始する。

 俺を連れてきた時のとは違い、今度は檻までつけてあるような奴だ。


 少尉から聞いた話だと帝国側の領土ではヤヌ族などに襲われることより同業者に積み荷を奪われる事の方が懸念材料らしい。

 魔法で縛った契約内容は未だ穴がある部分が多いそうで、そこは売り払う際に改めて契約させるらしい。

 港までたどり着ければ帝国兵の厳しい監視の元、奴隷商人の所有する船舶に積むことが出来る。


 その後も帝国の領海内を通って帝国まで向かうのであれば海賊や他国の戦艦に捕まることもないらしい。


 奴隷商の小規模キャラバンにはあの大男も乗っていた。

「奴は日雇いの冒険者だ」


 怯えながらも目を離さない俺。酒樽にもたれかかったフーガ少尉がチーズをナイフで切っては口に運びながらも教えてくれた。

「この地での一攫千金を狙った流れ者だろうが、とんだ博打をしたもんだ。この地には奴らが活躍するような仕事はないだろう」


 帝国本国。そして未だ群雄割拠だがタイタニア人の領土であることには変わらない海を越えた大陸では、あのような強さの傭兵はごまんといるらしい。

 それが、この新天地で発行されるはずだった数多くの依頼をいち早くクリアし、評判を広め活動基盤を作るつもりであったのだろうが、大した原生生物も魔物もそして強い人型種族もいないため目論見はご破産した。


「奴も腕は悪くない。私の部隊の駐屯するこの野営キャンプでは暇だろうから少しの間雇ってやったが、奴はスリルを求める自殺志願者だ。兵士には向かない」

 あの化け物じみた瞬発力の高さも少尉からすれば"悪くない"程度なのだそうだ。


 もしあの時、小男だと侮って抗いぶん殴ろうとでもしていたら大男ではなく少尉に何かしらの方法で命を奪われていたのかもしれない。


「よし。カーマ、貴様には今日から私たちの遠征に付き合って貰おう」

 少尉はナイフを酒樽に突き刺すとさっそく準備だと言い俺についてくるように命じた。


 俺の手足の枷に再び鎖を繋ぎ(といっても軽い長めの鎖なので動きを制限することは少ないだろう。)、俺を遠征のメンバーに加えいれた。

 兵士たちの中には不服な表情をする者もいたが、昨日の今日で俺は少尉に従順な奴隷として見られているため表立ってちょっかいは出されなかった。

「よし最低限の荷物を持って再集合だ。食料や飲み水はここのカーマに持たせる。」


 部隊としての行動ではなく少人数での現地調査をするらしい。

 兵士たちは号令がかかるとすぐさま準備を開始した。行動を阻害しない程度の武器や、移動のための馬などを用意して少尉の前に集まった。

「少尉殿。馬の準備をしました」


 その中の一人が、少尉の馬を牽引してきた。

「うむ。君も隊列に戻りたまえ」


 今回俺には荷物運びをさせるようだ。集まった5人の部下を合わせて7人分の軽食や飲料水の入ったリュックを渡されたので背負う。

 少尉は長い髪をかきあげ兵士たちと俺の顔を見渡し、それぞれに役割を言い渡す。

「――その距離を保って後方の警戒は怠るな。でカーマ、貴様にも特別に馬を用意した。」


 他の兵士たちの馬と比べても小柄な馬だが、俺はなかなか跨ることができない。

 その様子に兵士たちからは笑い声が起こる。少尉はため息交じりに言った。

「はぁ……。ヤヌ族もそうだが馬を乗りこなすなんてことすら出来ないのか……。まあここの奴等と我々では家畜にする動物の種類も違うようだし、発展の違いというやつか」

 少尉に言われた後も、俺は何度も乗ろうとしたが荷物の重さもあってなかなか乗れない。

「もういい!荷物を馬に乗せて貴様が牽引して歩け!馬は貴重だ!逃がすようなことは許さんぞ!」


 俺は言われた通りに荷物を馬の背に乗せ、手綱を握り歩いて行くことにした。

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