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アウトローに学ぶ異界生存戦略  作者: 沖
1章 異世界で奴隷から神官、そして魔の者への扉を開く
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アウトローに学ぶ異界生存戦略.66 得難き認知

 世界が神性で包まれているとすれば、この目を開けた先にも神はいることになる。

 あの視線が忘れられない。

 天空より俺を恨めしそうに羨ましそうに見つめていた視線という視線。

 世界の全てが俺に嫉妬の感情を抱いていた。

 煌々と光る星空。それがなぜ俺を妬むのか……?


 あれから俺はこの部屋から出ていない。

 この部屋の中でもそうだ。

 人の目が恐ろしい。


 人為的な加工がされた石。

 整備された部屋内。

 ショーイの視線。

 中に入ってくる他者の視線。


 それらだけでも耐えがたい。

 誰もが私の敵であるようであった。


 だが、彼らは知らないのだろうか?

 彼らの中にも確かに神は宿っているというのに。

 私の心臓に宿った神は世界に溢れんばかりの神々の一つに過ぎないというのに。


 とすれば……。

 俺の心臓以外にも神は宿っているはずなのだ。

 ただ見ることが出来ないだけで。


 そうか……。

 私は当然の物に気づき、当然ではない優越感に浸っている。

 だから、気づけない者たちから妬まれるのだ。

 鼻で笑い飛ばせばいいのか。


 だが、だからこそ俺はこの心臓に宿った神を誇る。称える。拝める。


 すべての不幸な記憶を洗いざらい流してくれるようなこの心の安寧。

 俺が得た物は素晴らしい祝福だ。


 俺は自分だけの世界に閉じこもり笑う。


 人より先んじた自分を。世界より一歩踏み込んだ自分を。


「気色悪い笑い顔だ……」

 ショーイが椅子に座っていた。


「見てたのか?俺の事見てたのか?」

 俺は笑いながら話しかける。こいつもそうだ。俺が羨ましいのだろう。


「まあお互い生きてたことを神に感謝しよう。信仰する神は違うがね」

「そうだね。ショーイ」

 可哀想ににコイツは気付いていないのだ。自分中の神が俺を恨めしく睨んでいることに。気づかなければ神はいないも同然なのだ。


「だいぶ参っているようだな……。まあ今は休め……」

 彼からの言葉も気休めや嫉妬からの言葉にしか聞こえない。

 俺は引き攣る笑顔をショーイに向けて頷いた。


「ほら、奴隷にされてからヤーラカーンに着いてからも休む暇なんてなかったから」

 どうでもいい話を振る。

 ショーイは俺が奴隷にされていたことを根に持っていると感じたのか、フンッと鼻を鳴らしそっぽを向く。

 どうでもいいことだ。そんなこと気にしてなどいない。

「これからもよろしく頼むよ」

「私は当分自由とは縁遠いようだな!」

 嫌味を言われたような気がした。それも大したことではない。


 今、俺が守るべきはこの心臓に宿った神である。

 自分の命よりも大切な気がする。


 深く空気を吸い込む。

 首から脈拍が伝わる。とても心地いい。


 俺の存在こそが、俺の神秘性を認めるのだと。俺がいるからこの尊い心臓は動いているのだと。

 ふと思った。


 何もない自分の中に、とても大切な物がある。たった一つ。

 とても生きているのが気持ちが良かった。


 俺の中で一つの結論が出る。

 魔法を見ることが出来、魔法の発言でこの世の真理と接続を感じることが出来る俺は選ばれたのだと。

 世界の中のほんの一握り、心臓に宿る程度の神にだが選ばれたのだ。

 そして、そのことを俺は自覚している。見えるのだ。


 怨恨や嫉妬の眼差しを向けてくる他の神々。祝福した者に気付かれない事はそれほど辛いのだろう。


 その点において、小さな神であっても俺には尊い。

 俺はその存在をこの身に感じることが出来る。


 こうして俺が自分の価値を見出してから数日後。

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